楽天の欧州事業拡大、フランスNextperf社買収の意図

楽天株式会社（以下「楽天」）は、同グループであるRakuten Marketing LLC（以下「Rakuten Marketing」）が7月12日（米国時間）に、オンライン広告ソリューションを提供するNextperf社（以下「Nextperf」）を買収し、完全子会社したことを発表した。日本においては今後、楽天の子会社であるリンクシェア・ジャパン株式会社がNextperfと連携し、同社の広告ソリューションの提供を検討していく。楽天の欧州事業戦略が表れる今回の連携、その詳細を見ていく。

楽天の欧州事業における戦略とは

　楽天は先月上旬、欧州における事業戦略の見直しを発表した。その中で、フランスとドイツのマーケットプレイス型EC事業において持続的な成長の可能性があると推測し、投資を集中すると発表している。具体的には、フランスでは、ユーザーのロイヤルティ強化のため、新たな会員制プログラム「Price Club」を開始、ドイツでは、サービスの質の向上のため、コミッション（システム利用料）を引き下げた「Rakuten Pro」プランの提供を開始した。

　EC事業の他にも、欧州内において、動画配信サービス「Wuaki.tv」や電子書籍サービス「Kobo」などのデジタルコンテンツ事業、無料通話・メッセージアプリ「Viber」、Rakuten Marketingといったアドテック事業などの多角的な事業展開を継続し、成長を図ることを発表している。

今回の連携と欧州事業の関連性

　今回の連携は、前述の欧州における事業戦略の一環であると考えれる。Rakuten Marketingはこれまで、モバイルやソーシャル、クロスデバイスなどの新しいアドテクノロジーに投資を行い、高度なユーザー識別や最適な広告出稿が可能なディスプレイ広告ソリューションを提供してきた。今後はNextperfのテクノロジーも取り入れ、広告ソリューションの機能をさらに強化・拡張し、ディスプレイ広告における消費者体験の効率的な形成や様々なチャネルでの広告パフォーマンスの最適化を通して、広告主のマーケティング活動を支援していくとのこと。

　Rakuten MarketingおよびNextperfのCEO（最高経営責任者）のコメントは次の通り。

■ Rakuten Marketing　CEO　トニー・ジトー

「Rakuten Marketingは、テクノロジーを活用したイノベーションの創出を大切にしており、提供する広告ソリューションを継続的に改善して進化させていくことが重要であると考えています。Nextperfが加わることにより、Rakuten Marketingの持つテクノロジーに新たな広告ソリューションが追加されるだけでなく、欧州における事業拡大の基盤が形成されます」

■Nextperf　CEO　ヴィンセント・カラシラ

「Rakuten Marketingに加わることで、未来に向けた大きなビジネスチャンスを得られると期待しています。広告主のマーケティング活動を支援するというRakuten Marketingのビジョンを共に、グローバル規模で広げていきたいと思っています」

Nextperf/Rakuten Marketing/LinkShare Japan各社情報

■Nextperfについて


Nextperfは、リターゲティングソリューションや人工知能（AI）を採用したオンライン広告プラットフォームを提供する世界的なリーディングカンパニー。欧州やブラジル、北米において、約1,000の広告主に対して、リアルタイムでのユーザー解析やダイナミックバナーの生成、広告主のマーケティング予算の最適化と最大化が可能な、ROI（投資利益率）の高いプラットフォームを提供している。


■Rakuten Marketingについて


Rakuten Marketingはオムニチャネルマーケティング領域における世界的なリーディングカンパニーとして、「Rakuten Affiliate Network （旧：LinkShare）」、「Rakuten Display」、「Rakuten Search」、「Rakuten Attribution」といったサービスを、最新の消費者動向やカスタマーインサイトとともに広告主に提供してる。



■リンクシェア・ジャパン株式会社（LinkShare Japan）について


リンクシェア・ジャパンは、楽天グループのB2B（Business to Business)マーケティング会社として、大手のECサイトや金融サイトを主要顧客とし、ROI（投資対効果）の高いオンラインマーケティングサービスを提供している。