楽天、欧州での成長を見据え戦略の再編発表

ECのミカタ編集部

 楽天株式会社(以下、楽天)は、欧州において将来的に大きな成長が期待できる分野に集中するために、戦略を見直す計画を発表した。詳しい内容としては、フランスとドイツにおいてのマーケットプレイス型EC事業に大きな事業規模と持続的な成長の可能性があると推測し、投資を集中する。また、英国とスペインにおいては、事業と成長規模を踏まえ、投資戦略を見直すとして従業員への伝達を始めている。

 英国とスペインにおいての投資戦略見直しとあるが、具体的には、英国におけるRakuten.co.ukのマーケットプレイスと拠点のケンブリッジ、スペインにおけるRakuten Spainのマーケットプレイスと拠点のバルセロナを閉鎖する予定である。また、オーストリアにおいてはRakuten Austriaのマーケットプレイスを閉鎖し、
オーストリア国内の出店者とユーザーへは、ドイツのマーケットプレイスからサービスを提供する予定である。それに伴ってRakuten Austriaの拠点(ウィーン)は閉鎖する方針だ。

 楽天は、発表した計画により影響を受ける地域の従業員と話し合いをし、各国の法律上の手続きの完了を条件として、計画に該当するマーケットプレイスとウェブサイトを今年の8月末までに閉鎖する予定としている。そして閉鎖するマーケットプレイスとウェブサイトを利用している出店者やユーザーに対して、サイトが営業している内に全ての取引を完了することができるように、必要な情報やサポートを提供していく方針である。

 楽天グループは、欧州各国で新たなビジネスモデルによるECサービスを提供することを検討している。フランスにおけるEC事業についてはもう既にユーザーのロイヤルティの強化をはかるため、新しい会員制プログラムの「Price Club」を開始を始めた。またドイツでは、楽天が提供するサービスの質の向上を目的とした、システム利用料を引き下げた「Rakuten Pro」プランの提供を開始した。

 今後も楽天グループは欧州内にEC事業を展開していく予定であり、動画配信サービスの「Wuaki.tv」や電子書籍サービスの「Kobo」などのデジタルコンテンツ事業や、無料通話・メッセージアプリの「Viber」、Rakuten Marketingといったアドテック事業などを通して多角的な事業展開を継続し、成長するとコメントしている。

 今回の楽天の動き、欧州内にもたらす影響は大きいだろう。今後も楽天の海外での動きを追っていきたい。


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