ANAからの新提案!中国越境ECにおける新しい物流の形

日本の商品を要望する海外ユーザーが増加

 ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD)は、越境EC物流事業者である株式会社ロケーションホールディングス傘下の株式会社ACD(以下、ACD)に出資し、中国向け越境ECにおける物流ソリューション「新越境EC物流サービス」の提供を今年9月から開始する。

 昨今、訪日旅行等の契機として日本の優れた商品の購入を要望する海外のユーザーのニーズが高まり、特にマーケット規模が大きい中国の消費者向けに「商品を届けたい」という日本の事業者も急速に増加している。一方、中国向けの越境EC商品の輸送・通関については適切に対応されていないことが多く、今年の4月から中国の税関当局によって越境ECに代表される個人輸入に関わる新たな通関申告制度(正式名:輸入電商用通関申告システム)が導入されるなど、関税の適正納付に向けた規制強化が進んでいる。

 この新制度の下で、EDI(電子データ交換)による通関業務を認められる企業が複数社指定されることとなり、ANAグループの物流会社である株式会社OCSの中国現地法人である欧西愛司物流(上海)有限公司(以下、OCS中国)は、北京税関において当該業務の実施を認められた指定企業のうちの1社となっている。

安全かつ確実な高速一貫輸送を組み合わせたサービス

 今般展開する「新越境EC物流サービス」は、既に世界109ヶ国で販売実績を誇る越境ECプラットフォーム“マルチリンガルカート”を運営するACDがこれまで培ってきたノウハウを活用して、OCS中国と連携の下、新たに開発する事前通関用商品登録システム「EKKYO.NET」と、ANAグループが展開する安全かつ確実な高速一貫輸送を組み合わせた日本で初めて提供される中国向け総合越境ソリューション(サービスモデル)となる。

 これまで中国向けEC貨物の輸送・通関においては、現地制度への対応不足等により消費者への遅配・未達といった事例も散見される。しかし、今般新たにスタートする「新越境EC物流サービス」は、EC貨物の新通関申告制度への対応、高速一貫輸送という2つの強みにより、中国向け越境EC市場および日本のEC事業者の双方の健全な成長に寄与することができるものと考える。

 今後、ACDの既存顧客や国内大手電量販店など越境EC事業者に対する「新越境EC物流サービス」の提案・物流面でのサポートに加え、ACDによる越境ECモールの運営等も検討していく。さらに、ANAグループは、今後もアジアを中心とした物流ビジネスの拡大を進めると共に、訪日を含めた海外のユーザーの様々な需要に応えていく。

実際の中国におけるEC市場は?

 経済産業省の「電子商取引に関する市場調査2015年版」によると、日本・アメリカ・中国間の越境EC市場規模において、総計額は27,664億円であった。その中でも、中国からの購入額は210億円となった。

 また、ペイパルの調査では、2019年までの推移を想定した越境EC市場規模のポテンシャルを推計の結果を2015年と2019年で比較すると、中国は約2.94倍になると予想されている。さらに、購入商品に関しては、中国の1位が「衣類・アパレル」、2位が「化粧品・コスメ」、3位が「食品・アルコール」となった。

経済産業省の詳しい調査結果はこちら

 このアンケートの結果からすると、中国における越境EC市場は伸びていることが分かり、今後も伸びていくことが予想される。国境を越えて日本の商品が注目され、海外ユーザーによる「日本の商品が欲しい!」という気持ちが高まっている。その意味でも、今回の「越境EC物流サービス」は大活躍するはずだ。これにより、スムーズに日本の商品を海外に届けることができ、ユーザーやEC運営者の「物流」の問題が解決されることだろう。