ショッピージャパンが越境ECにおける2022年の総括と展望について発表

ECのミカタ編集部

【越境ECにおける2022年総括と2023年展望】2022は事業者が続々参入し、越境ECが認知された1年に 2023年は越境ECが販売チャネルの一つになる時代になる

東南アジア・台湾で最大規模のEコマースプラットフォーム、Shopeeの日本法人であるショッピージャパン株式会社(以下:ショッピージャパン)は、「越境ECにおける2022年の総括と展望」に関する内容を公表した。

本記事の概要

◆2022年は、越境ECが認知された1年となった

◆越境事業者は前年比3~4倍に増え、国内ECの実力者も続々参入

◆インバウンドと関連性の深いダブルイレブンでの売れ筋カテゴリー

◆台湾市場が大きく伸長、新しいマーケットとしてフィリピンとタイが注目される

◆日本では売れないが、越境だと売れる商品の代表として「ホビー系」があげられる

以降でそれぞれのポイントについて詳しく確認していく。

越境ECへの参入は当たり前になりつつある

2022年はコロナ禍によって失われたインバウンド需要を補填するため、多くの事業者が越境EC市場に参入した年であった。日本経済新聞社によれば、越境EC事業者数は、2021年と2022年を比較すると5倍から6倍に増加、そして2022年の1年間では、3倍から4倍は増えていると考えられている。

当初、既に越境販売の経験がある層や、Amazonで本格的に販売をしている層が越境ECプレイヤーになると考えていたが、円安の影響もあり、国内で充分に活躍されている事業者も越境ECに参画し始めた。このことは越境ECが業界の一部になったとも捉えられ、これまで国内のみで活躍していたEC事業者がこれからは海外に挑戦していくといった、期待感が高まっていると言えるだろう。

また2022年は、入国時の水際対策が緩和されたことも大きなニュースであった。当初は、インバウンドが直接日本に来るようになれば、越境ECの売上は落ちてしまうかもしれないと懸念されていたが、予想に反して、ダブルイレブンを皮切りに、日本のお土産品がの売れ行きが好調となった。それまでは、コロナ禍で日本に来れなくなり、日本に対する関心が薄れていたが、久しぶりの来日によって「そういえば、日本のあの商品が美味しかった」、「あの商品の使い勝手が良かった」と再認識したことが推察できる。

日本でしか買えない商品にプレミア感がある

日本の越境ECの強みは、売れ筋商品のカテゴリーが多岐に渡っているという点だ。例えば韓国の商品カテゴリーはビューティー商品が大きな割合を占めている一方で、日本越境商品はホビー系、食料品、ホーム&リビングと呼ばれる家庭用品が売れるなど、バリエーション豊かである。しかし、その中でも最近は売れる商品カテゴリーが絞られる傾向にあるという。

例えば、2022年のダブルイレブンでの売れ筋商品カテゴリーは、ヘルスケア/化粧品やホーム/リビング、食料品となった。

これらの売れ筋商品というのは、インバウンドと深い関係があると言える。東南アジアや台湾からの来日客は、日本の化粧品やスキンケア製品、サプリメントや薬用育毛剤などを大量に購入する上、白い恋人やインスタントラーメン、インスタントコーヒーなど、日本の食品に対しても購買意欲は高い傾向にある。

海外でも日本製品を買うことはできるが、円安の影響によってお手頃価格で購入できることや、日本の最新の商品が買えること、さらに日本でしか買えない商品を買うことにプレミア感じていると考えられるだろう。

伸長する台湾と続くフィリピン、タイ

現在、越境EC市場において一番伸びている市場は「台湾」だという。他国マーケットとの違いとも言える特徴は、「他の国では売れない家電商品が売れる」という点だ。

その理由はインフラに依るもので、電源プラグの形状が同じであり、かつ電圧も110ボルトと日本で使うのと同様に全ての電化製品を使えるからだという。他国でも電源プラグを変換すれば使えないことはないが、他のマーケットではあまり売れない炊飯器や髭剃り、ドライヤーなどが台湾で売れ筋商品となっている。

また、新しいマーケットである「フィリピン」と「タイ」も注目すべきである。東南アジア・台湾では、特にハイブランドの鞄や財布の中古品が売れ筋となっている。日本の中古品は、セカンドハンドとは言わずに、ユーズドと言った方が正しいくらい、綺麗で丁寧に使われていて、まだまだ使える美品が多く、新品と見間違うほである。そのため中古市場では日本で販売しきれないものを、海外にも販路を広げて業績を伸ばしている事業者が多数存在しているようだ。

海外需要の高いホビー系商品

ハイブランド商品に関しては全世界的に似たトレンド傾向であるが、日本では売れないけれども、越境だから売れる商品というものも存在している。その代表的な例が「ホビー系」だ。

「ホビー系」に関しては、国によって趣味嗜好が異なっている。例えば、一昔前に日本で流行ったアニメグッズが、東南アジアではプレミアがつき、高値で取引されることもあるようだ。日本では流行りが過ぎて売れないものでも、海外で売れば勝機を見出す可能性も秘めていると言えるだろう。

日本のアニメのおもちゃは世界的に人気が出ており、ショッピージャパンの調査(※1)でもおもちゃ・ホビー系の販売企業の81.0%が「越境EC」を実施していると回答していた。越境ECのメリットとして、約7割が「日本文化・製品が受け入れられやすい国が多い」という意見が挙げられており、マレーシアやシンガポールで頻繁に越境ECが行われていることが分かるだろう。

※1:おもちゃ・ホビーと越境ECに関する実態調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000075777.html

越境ECが販売チャネルの一つになっていく

今回の内容を踏まえて、ショッピージャパンは以下のようにコメントしている。

「2022年の今、越境ECが日本のECプレイヤーの中で浸透してきている感覚があるので、2023年は、越境ECが販売チャネルの一つになっていく時代になると期待しています。例えば、大手のECプラットフォームに出品すれば、その情報がそのままショッピーにも反映できるシステムを確立するなど、様々なECプラットフォーマーとの連携を進めることで、一つのプラットフォームではなく複数のプラットフォームを活用してビジネス展開ができればと考えています」

EC市場は、事業者と顧客の物理的な距離を問わない購買体験が大きな魅力の一つだろう。そのため越境ECは、その魅力を最大限に活用したマーケットであるとも言える。懸念されていたインバウンド需要の増加による影響も、日本製品の魅力を再確認してもらえる機会となった。各国が求めている商品を的確に訴求しながら、シーズン特徴やキャンペーンに合わせた展開によって、越境ECはこれからも大きく伸長していくことが期待されるだろう。

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