ジャパネットホールディングス、再配達率7.8%と全国平均の7割に押さえた取り組みとは?

ECのミカタ編集部

再配達率7.8%を実現、輸送・業務効率アップで物流課題を改善~運送業の負担軽減に配慮したジャパネットの物流~

株式会社ジャパネットホールディングス(以下:ジャパネットホールディングス)のグループ会社で商品の配送・設置サービスを担う株式会社ジャパネットロジスティクスサービスは、配送・設置品質を高く保ちながらも、連携する運送業への負担を最小限にする「ジャパネット物流」を拡充している。本記事では取り組み内容の一部を抜粋して紹介する。

電話、メールなどの確認により23年の再配達率は7.8%に

ジャパネットの2023年の再配達率は7.8%。これは国土交通省発表の宅配便再配達率の全国平均11.1%(※1)と比較して7割まで抑えられている状況である。当社単体では直近6年で配送数が117%まで増加する中、以下3点の取り組みによって再配達率の引き下げを実現した。

◆商品ご購入時にほぼすべての商品の配送日時指定を可能にする
◆商品発送時のお知らせメールを実施
◆事前に電話連絡し在宅かを確認


※1:国土交通省「宅配便の再配達率のサンプル調査」令和5年12月発表内容

また、単品配送について、2023年から56品について梱包された化粧箱のまま配送とすることで、過剰梱包を見直し。段ボールと商品との間に生まれる空間率を最大40%削減、平均約15%削減。トラックの積載効率を向上させるとともに、顧客の梱包資材の廃棄の手間も減らしている。

システム開発により配送員の業務効率を実現

これまで、配送トラックが倉庫に到着しているにも関わらず荷物の積み下ろしでトラックバースが混雑していることで、配送員に対して無駄な待機時間が発生していた。この課題を解決するため、トラックバースの利用予定を「見える化」したシステムを自社開発。

また、倉庫内の商品の置き場所と保管キャパシティを管理するシステムも開発し、その日の納品量に適した荷降ろしのスペース確保、荷降ろし後の商品の格納を迅速化させた。この改善により、納品待機時間ゼロが全体の95%と「お待たせしない」体制へと変化、配送員の業務効率を実現させている。

加えて、ジャパネットではエアコンなどの大型家電を配送する際に設置サービスにおいて、設置作業に必要な情報の登録・管理をスマホ端末で簡易に行うことができる専用アプリを自社開発。ネットワーク環境に左右されず圏外での使用を可能とすることで、配送+設置に必要な情報をアプリで一元管理できるようになり、紙での情報管理が不要となった。

運送業の負担軽減に配慮したジャパネットの物流

設置作業が必要な商品についても輸送途中での破損率改善のため、商品ごとの配送経路を見直し。これまで、設置作業会社への納品に2~3か所を経由していたが、自社倉庫から直接設置会社へ納品する「ルート配送」を2022年に導入した。

スリム化したことで経由地での荷降ろし・トラックの積み直しの必要がなくなり、輸送破損率を35%削減。現在は設置作業が必要な商品の約3割をルート配送としている。

ジャパネットホールディングスは1990年からラジオ、テレビ、新聞折込チラシなどを通じて数々の商品を販売してきた老舗企業だ。2000年にはオンライン通販も開始しており、2024年問題に対しても長年培ってきたノウハウを活かした対策を進めている。運送業の負担軽減に配慮したジャパネットの物流が業界のスタンダードになる可能性は高いといえるだろう。今後の動向に注目しつつ、2024年問題への対策、解決に向けた取り組みに期待したい。


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