潜入取材!EC事業者が語る!ecbeingカンファレンス2016

福島 れい

2月23日午後、品川グランドセントラルタワーにて「ecbeingカンファレンス2016」が行われ、EC業界の最先端を走る4社の講演とパネルディスカッションが行われた。講演行った4社は主催であるecbeingのEC構築パッケージをフルに活用、講演中にはサイト構築段階での裏話が聞かれるシーンもあった。

ロッテ 「ロイヤルユーザーの育成」!

まずはじめの登壇者は、株式会社ロッテ マーケティング統括室 デジタルマーケティング部 部長 緒方 久朗氏だ。講演テーマは「売り上げと顧客満足度を両立!これぞ、知恵と工夫のメーカーEC」、大手メーカーECならではの悩みと施策を語った。商品に強みを持つメーカーはECを得意とするのかと思っていたのだが、実際には実店舗ではなく、”ECで購入する意義をどこに見出してもらうか”、に真摯に向き合い、様々な工夫を重ねていることが感じられた。

ロッテではオンラインショップ開始直後から「ロイヤルユーザーの育成」に力を入れているという。そのために重視しているのが、「会員を活かす」ことと「自分たちでやる」ことだ。「会員を活かす」というのは、ここでは新規会員を増やすのではなく、既存の会員を購入につなげるための施策のことを言う。例えば会員向けにキャンペーンを実施したりクーポンを発行するなどだ。緒方氏は「予算が限られるなか、売り上げを伸ばすには会員施策が重要だ」と説き、ロイヤルユーザーの構築、満足度向上の重要性を訴える。

また「自分たちでやる」ということに関しては、「自分で実務をやることで、現状がわかる」のだと話す。実際に緒方氏は、新規会員の承認作業を自身で行っているそうで、「新規の会員登録者のリストを見てみると特典目当ての不正登録もかなり多いことがわかった。」と自身の経験を語った。このような問題はデータだけでなく、自分で実務をやってこそわかる事実だとし、自ら手を動かすことで、会員を肌で感じることの必要性を説明する。

緒方氏の講演から学べることは、EC事業において、会員を正しく認識し、それに合わせた施策を実施すること、また、そのために必要なのはなんでも自動化するのではなく実務を自身で行うことが必要だということだろう。他にも、「結果がすぐに反映されるECだからこそ、トライ&エラーを短いスパンで回す」ことを意識すべきだとも語った。

タカラトミー 「売り上げは集客に比例」!

続いて登壇したのは、株式会社タカラトミー 次世代マーケティング室Web部 部長 中村 駒夫氏。講演テーマである「3年連続200%成長の秘訣~笑いと涙のメーカー通販物語~」に沿ってタカラトミーでの成功事例と失敗事例を語った。

印象的だったのは「売上は集客に比例する。」と明言したことだろう。この考えのもと、タカラトミーは公式HPやSNSなどを積極的に活用し集客に力を注いでいる。中村氏はメーカーECについて「定価販売が基本のECサイトで購入してもらうには、なんらかのきっかけが必要と。」とし、リカちゃんTwitter、トミカ組み立て工場、ニコ生TVショッピングなど商品の特性を生かし、ファンの心を掴む施策の数々を披露した。

中村氏の講演から感じた事は、なにより商品の魅力の引き出し方やファンの作り方がうまいということだ。そもそも商品の認知度が高く、特徴的だということもあるのだが、各広告媒体、SNSのユーザー層やユーザー層を的確に捉え、そこに合わせた情報発信を行っていることが、EC事業でも成功している大きな要因だろうと感じた。

また、革製品ブランド「ココマイスター」を展開する株式会社ルアンジュ 代表取締役社長 林 佑磨氏は「金なし、コネなし、新規立ち上げからの年商30億サイトへの道のり」をテーマにユーザーの属性やニーズ、趣向性に合わせた広告戦略、商品展示を行うことが重要だと説くなど、ecbeingカンファレンス2016は盛り上がりを見せた。記者も含む参加者にとって、自身の事業を見つめ直すよい機会となったのではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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