アリババの新サービス！越境ECの未来を見つめる

Alibaba Group Holding Limited（以下、アリババグループ）と、その日本法人であるアリババ株式会社（以下、アリババ）は、中国で極めて人気の高い日本製品の安定的調達と、これまでに需要を取り込めていない日本製品の拡販を目的に、本日2016年2月26日にJapan MD centerを、また今春には、China EC workshopを設立することを発表した。アリババがまた新しいかたちで、日本の中国向け越境ECに大きく貢献することになる。

Japan MD centerとは

アリババは日中間の越境ECの課題として、中国消費者のニーズへの理解不足、日本製品の魅力を正しく伝えられていない、正規流通ルートが未確立なため製品を安定供給できないなど、日中間それぞれの理解不足を重要視している。

そこで今回アリババが提供するJapan MD centerというサービスの内容は以下の通りである。

・メーカー企業は、天猫国際出店店舗を通じて、基本的に無料で製品を販売可能
・アリババのビッグデータを元に中国消費者のニーズを可視化しメーカーへ提供
・商材に合わせた販売チャネル設定や、中国消費者へのマーケティング支援も実施

アリババグループは自社が運営する越境ECサイト「天猫国際（Tmall Global）」に出店する日本の小売企業などの店舗に、メーカー企業が製品を販売できる「出品」支援サービスを新たに提供し、中国消費者のニーズに合わせた製品選定、流通チャネル設定など、包括的なマーケティング支援を行い、中国で人気が高く、昨年度の「天猫国際（Tmall Global）」において売上の約７割を占める、ベビー・キッズ、コスメ・パーソナルケア、サプリメントなどの製品を中心に、需要の高い製品の安定的な調達支援も行う。中国消費者、そして事業者双方にうれしいサービスではないだろうか。

China EC workshopとは

Japan MD centerとは別に、今春設立されることが発表されたChina EC workshopとは、長年にわたりアリババグループが蓄積してきた中国EC市場に関するビッグデータや知見を活かし、中国市場に関心をもっている日本企業を対象とした研究会だ。

China EC workshopでは、以下のような取り組みを実施する予定である。

・アリババグループが有するビッグデータの分析を通じて得られた情報の提供
・「天猫（Tmall）」「天猫国際（Tmall Global）」のカテゴリー責任者との情報交換会への招待
・アリババグループおよび「天猫（Tmall）」のトップマネジメントメンバーが参加するエグゼクティブカンファレンスへご招待

Japan MD centerとChina EC workshopは、当面は招待制で運営し、実績にともなって広く開かれたプロジェクトへと発展させる予定とのことだ。

アリババが見つめる日中の未来

過去に当メディアに掲載した「マーケ最前線！ママが見る日本とは？越境ECの可能性」という記事の中で、株式会社リクルートライフスタイルが妊娠中および0～2歳の子供を持つ中国人・日本人の母親に育児に関する意識調査を行った結果を紹介した。その調査結果からは、９７％もの中国人の母親が越境ECを利用していることがわかり、そして、越境ECを利用している中国人の母親が日本の商品に対して何を求めているかということついては、品質と安心と安全を求めているという回答が多かった。

幼い子を持つ母親ならば、安心・安全・高品質の商品を求めることは当たり前のことではあるが、もし中国で母親達が求める安心・安全・高品質な商品が揃うのならば、わざわざ越境ECを利用することはないだろう。そこでの信頼を、日本の製品に求めているのかもしれない。そのことを、日本の人たちが知ることで、一気に中国のビジネスへの力の入れ具合が変わってくるかもしれない。

今回のアリババの新サービスは、そんな中国消費者のニーズに応えるとともに、日本の事業者に対しても中国消費者の正確な情報を伝えることもできる。アリババの今回のサービスは、今後の日中間の越境ECに勢いをつけることとなりそうだ。