日本郵便、宅配ボックス普及促進で迅速なサービス提供

利根川 舞

記者の論点:「はこぽす」や宅配ボックス普及によって、再配達を未然に防ぐだけでなく、ユーザーの利便性を向上させることができる。

集合住宅で大型郵便受を設置した人には手数料の支払いも

 本日、11時と16時に「はこぽす」に関するニュースをお届けしたばかりであるが、日本郵便が力をいれている荷物受け取りのサービスは「はこぽす」だけではない。

本日、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」)は、住宅における荷物等の受け取りの利便性向上に向けて、各種の取り組みを拡充していくことを発表した。

まず、新たに、郵便受箱メーカー、ハウスメーカー等の関係者と共同で戸建住宅向け宅配ボックスの普及促進の取り組みを開始する。また、現在取り組んでいる集合住宅用の差入口の大きい郵便受箱の普及促進の取り組みを延長する。

中でも、戸建住宅向けの取り組みとしては、新築戸建住宅に、郵便受箱と宅配荷物や書留郵便物を受け取ることができる宅配ボックスをセットで設置することの普及促進が挙げられる。そのため、各業界のリーディングメーカーである株式会社ナスタ(以下「ナスタ」)、大和ハウス工業株式会社(以下「大和ハウス工業」)等の関係者と宅配ボックスの規格に関する検討を開始するという。なお、既築住宅についても、今後、宅配ボックスの普及促進を図るための方策を検討するという。

一方で、集合住宅向けの取り組みとしては、現在日本郵便が定める規格に適合した大型郵便受箱を設置した人を対象に、1戸当たり500円の手数料を支払っているが、その申込受付期限を2017年3月31日までに延長するという。

日本郵便が大型郵便受箱設置を促進する理由としては、インターネット通販等の普及により、郵便受箱に投函できない形状の荷物が増加し、再配達が増加してることが挙げられる。再配達の増加が環境汚染や配達員の不足などを引き起こすうえ、消費者にとっても不在配達の手続きが生じ、手間がかかる。

そのため、郵便物等の差し入れ口の大きな郵便受箱を普及させ、迅速かつ利便性の高いサービスを消費者に提供するための物流インフラを構築することができる。

これらの取り組みには再配達の増加を食い止める以外にも、郵便受箱メーカーのビジネスチャンスを提供することもできる。また、住民から不在時の荷物を預かって欲しいと頼まれてしまったりするマンション管理組合の人々の問題解決や、デベロッパーにとっては新しくマンションを建てる際の、他にはない利便性という魅力を得ることもできるのだ。

「はこぽす」での取り組みも、荷物受け取りの利便性は向上するに違いないが、自分宛の荷物はやはり家で受け取ることが何よりも便利であると考える消費者も、もちろんいるだろう。出先のついでとはいえ、コンビニや郵便局へ寄るのを忘れてしまったりする人もいるはずだ。後払いサービスを利用していれば、支払いが遅れるきっかけにもなるし、個人間のやり取りであれば不信感を生む原因にもなりかねない。送り主になる際にも、受け取り手になる際にも、自分や相手にあったサービスを選ぶ、それこそが関わる人々の気持ちを考える上で重要なのではないだろうか。


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

利根川 舞 の執筆記事