スタートトゥデイ、通期決算を発表!さらなる展開とは

ECのミカタ編集部

ユーザーとブランド双方にとって魅力的なサイト作り!

 株式会社スタートトゥデイ(以下、スタートトゥデイ)は、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念のもと、日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」及びファッションプラットフォーム「WEAR」の運営を中心に事業活動を行っている。当連結会計年度における日本国内の衣料品・アクセサリー市場は、中国経済の減速、消費税増税、マイナス金利といった不安材料を背景に節約志向が一段と強まっている。だが、スタートトゥデイグループが軸足を置くファッションEC市場においては、百貨店およびブランドによるオムニチャネル戦略の積極化、マイクロBtoC、CtoC、キュレーション系サービス等に参入する企業が増加することで、着実に裾野は拡大している。

 このような環境下、当連結会計年度におけるスタートトゥデイグループは、「ZOZOTOWN」のユニークユーザー数拡大及びコンバージョンレート(ユニークユーザーの購買率)向上のために、ユーザーとブランド双方にとって魅力的なサイト作りに一層傾注してきた。具体的には、新規出店の加速、ポイントプロモーション等の積極化、リアルタイムでのコミュニケーションを重視したCRMへのリプレイス、コーディネートレビューの充実、各ユーザーインターフェイスのユーザビリティ改善等を実施した。

 また、ファッション市場全体の活性化を狙ったファッションプラットフォーム「WEAR」については、引き続きマスメディア等を活用したプロモーションによらず、堅実な啓蒙活動に終始してきた。その結果、平成28年3月にはアプリダウンロード数約650万超、月間利用者数700万人超と、堅調に推移している。

決算の結果は・・・

 3月期の通期決算は、当連結会計年度の商品取扱高は159,500百万円(前年同期比23.6%増)、売上高は54,422百万円(同32.1%増)、差引売上純利益は50,085百万円(同29.2%増)となった。セールスミックスの変化及びZOZOUSEDの伸長に加え、その他売上高も増加したことから、差引売上総利益率(対象品取扱高)が31.4%(前年同期比1.4ポイント増)となった。

 販売費及び一般管理費は32,328百万円(前年同期比36.4%増)となり、商品取扱高に対する販売比率は前年同期実績18.4%から20.3%へと上昇した。前年同期は抑制していたプロモーションコストを幾分増やしたことに加え(商品取扱高に対する比率が前年同期実績1.3%から2.5%に上昇)、ZOZOUSEDの伸長に伴いフルフィルメントコストが増加したことと、即日配送エリア拡大に伴う利用率の上昇及び出荷単価の下落により荷造運賃費の負担割合が上昇したことなどの販管費率の上昇に繋がった。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は17,756百万円(前年同期比17.7%増)、経常利益は17,883百万円(同18.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,988百万円(同33.2%増)となった。

ZOZOTOWN事業別の決算!

 ZOZOTOWN事業は185,000百万円(当期実績比26.6%増)、BtoB事業は5,000百万円(同62.4%減)、フリマ事業は5,000百万円(同4,251.2%増)を計画している。ZOZOTOWN事業はさらに受託ショップ172,800百万円(同25.7%増)、買取ショップが200百万円(同71.2%減)、ZOZOUSED12,000百万円(同50.8%増)に区分している。

 ZOZOTOWN事業のうち、受託ショップ及び買取ショップにおいては、引続き「購入者数の拡大」及び「ファッション消費におけるZOZOTOWN利用率上昇」にフォーカスしたサイト作りに注力し、多様化する消費行動に的確に対応することで、商品取扱高の高い成長速度を維持し、加速させていくことを目指す。具体的には、当連結会計年度の下期より本格的に取り組んでいる積極的な新規出店やポイントプロモーションを継続していくほか、新たな施策にも取り組んでいく。
 
 ZOZOUSEDは、引続き商品の買取りを強化していくことで事業規模の拡大を図っていく。また、BtoB事業は、引続き従来型の事業形態からの脱却を進めていく上での端境期となることから、商品取扱高が前年同期比減少となる見通しである。さらに、フリマ事業は、「ZOZOTOWN」や「WEAR」との間でデータベースを共有するなどグループシナジーを活用することで、先行するフリマ事業者との差別化を図っていく。

ファッションメディアとしての地位確立を第一義!

 収益面は、フリマ事業等の初期立ち上げコスト負担があるものの、増収効果及び効果的なプロモーション施策の実施による限界利益率の改善により、営業利益率(対商品取扱高)は前年同期比0.3ポイント改善の11.4%となる見込みだ。また、WEAR事業は、引続き安易な収益化に走ることなく、当面はファッションメディアとしての地位確立を第一義としていく。スタートトゥデイグループでは、オムニチャネル戦略の本質は「実店舗とECサイトが敵対するのではなく、互いの強みを生かし、力を合わせ、ファッションやお洒落を楽しむ人を一人でも増やし、ファッション業界全体のマーケット拡大を目指すことにある」と考えている。そして、「WEAR」がユーザー、ブランド双方にとって欠かすことのできないファッションプラットフォームとなることを目指していく。

 将来を見据えた展開として、ボタン型ビーコン、海外展開、プライベートブランドの販売等にも取り組んでいく。ボタン型ビーコンは、ボタン型ビーコンとLINEのビジネスアカウントを連携したサービスを共同で展開していく予定だ。海外展開については、引き続き海外ファッションEC企業への投資等を通じ各国ファッション市場の情報を収集し、事業機会に模索していく。

 プライベートブランドは、平成29年3月期中の事業開始を念頭に「ZOZOTOWN」及び「WEAR」のユーザー向けに、インターネット又はスマートフォンアプリを通じた商品販売を展開していく予定である。これらの取り組みは、現段階で合理的に算出可能なコストのみを織り込んでいる。今後、事業の進捗によりスタートトゥデイの業績に対し大きく影響が生じることとなった場合には、その影響額が算定可能となり次第、速やかに公表していく。

 女性から人気が高い「ZOZOTOWN」を運営しているスタートトゥデイの通期決算は注目を集めている。結果を見ると、前期よりも増加していることが分かる。先日、「アパレルECサイトの利用に関するアンケート」でZOZOTOWNが圧倒的に1位となっていた。それが決算にも数字として表れており、今後も伸びていきそうだ。今後も様々な施策が用意されているスタートトゥデイから目が離せない。


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