SD export利用状況に見る越境EC、人気は意外な商品?

福島 れい

日本郵便の航空便・船便導入で前月比3倍の流通額に

 株式会社ラクーン(以下、ラクーン)より、輸出販売サービス「SD export」の利用状況や商品の動きなどをまとめた越境ECサービスの状況が発表された。SD exportは昨年8月にスタートした、国内のファッションや雑貨メーカーと海外の小売店が取引できる卸・仕入れサイト。メーカーは日本国内にあるスーパーデリバリー倉庫に商品を発送するだけで、世界134ヵ国の海外の小売店や企業に対して手軽で安全に取引することができる仕組みだ。

 ラクーンは、SD exportの提供開始後、今年2月に決済サービスPayPalを導入、3月には新たな輸送手段として日本郵便の航空便と船便を導入する等し、改良を進めてきた。特に、輸送手段の追加は効果が高く、今年3月のSD exportの流通額は前月対比で約3倍にアップしている。また、それまで中心となっていたアジア圏の受注に加え、アメリカやヨーロッパからの受注も増加しているという。

 以下、SD export を利用した越境ECの状況を見ていく。

 まず、海外小売店の登録数は4,000件を突破しており、エリア別の登録数でみると、アジア圏が最も多くなっている。国別に見ると台湾が約27%と最多、香港が約23%、アメリカが約15%と続く状況だ。(2016年4月26日時点)

 また、SD exportの売れ筋商品をジャンル別で見てみると、雑貨が49%を占め、次いでファッションが45%と続く結果になっている。その中でも、アジアやヨーロッパをはじめ地域を問わず、マスキングテープが人気を集めているという。人気の要因はデザイン性の高さや薄さに対して頑丈な強度であること、何度も貼り直しができる品質の高さにある。

 国別に売れ筋商品を見ていく。
 台湾では「食器・キッチン」、「ステーショナリー・クラフト」のジャンルの商品が人気で、モダンな和食器や日本メーカーのボールペンや筆ペンなど日本の伝統的なデザイン、製品が好まれる傾向にある。

 また、香港では「バッグ・財布」、「レディースアパレル」のジャンルが人気で、日本製のパンプルやレインブーツ、アウトドア用のバッグなどが好評だ。

 韓国では「バッグ・財布」、「ステーショナリー・クラフト」に人気が集まる中、特に『ねこあつめ』(※)関連のグッズが注目されているという。

 アメリカでは「ステーショナリー・クラフト」、「日用品」ジャンルが人気で、日本メーカーのボールペンやシャープペン、お箸のセット、和紙のマスキングテープなど日本のテイストを感じられるような商品が動いている。

(※)「ねこあつめ」はスマートフォン向けのゲームアプリ。英語化もされており、東アジアやアメリカでも大人気で、世界中で関連グッズが販売されている。

 アジア圏において日本商品が人気を集めていること、またその人気は欧米にも広がりつつあることがわかる結果となった。マスキングテープの例にもあるように越境ECでは、日本商品ならではの品質、デザインが活きる傾向にある。商品の魅力を発揮する場として改めて越境ECに注目すべき時ではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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