販売事業者を拡大「スーパーデリバリー」地方にも力を

ECのミカタ編集部

今まで対象外だった販売事業者に販売する理由

 株式会社ラクーン(以下、ラクーン)が運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、小売以外の事業者への販売を開始した。これにより、スーパーデリバリーは、新たな事業へのサービス拡大とそれによる取引拡大を図る。

 スーパーデリバリーは、基本的にファッション・雑貨の物販スペースを持ち、再販売を行う小売店に利用を制限した会員制の仕入れサイトであり、入会時に厳正な審査を行っている。しかし、スーパーデリバリーで扱う商品数や商品ジャンルの拡大に伴い、什器や梱包資材、販促用の商品や消耗品などの商材も多数出品され、それらの商品を求める小売以外の事業者からサービスの利用を希望する声が増えてきた。それを受け、これまで対象外としていた飲食業や理美容業、教育関連など小売業以外の事業者にもサービスを拡げ、より多くの事業者に有用性の高いサービスを提供するために、今回の取り組みに至った。

 例えば飲食店がお店で使用するテーブル、旅館やホテルが宿泊客用として利用するタオル、病院にあたる売店が患者からリクエストのあった本などをスーパーデリバリーで購入することができる。また、販売側の出店企業はシステム上で小売以外の事業者が分かるようになっており、会社の方針によって取引可否の選択を行うことが可能だ。このようなシステムや商品拡大によって、これまで対象としていなかった小売以外の事業者へもサービスを拡げることができるようになった。

 今回の取り組みにより、これまで獲得できなかった事業へもサービスを拡大することで顧客数と流通額の増加を見込む。また、この非小売業者をターゲットとした他企業とのアライアンスも将来的に視野に入れており、そのアライアンス先との相乗効果によるさらなる集客や流通額への効果も期待している。

地域活性化に貢献し「地方創生大臣賞」を獲得

 スーパーデリバリーをより詳しくすると、商品を卸したいメーカーと仕入れをしたい小売店が取引できる卸・仕入れサイトである。2002年2月から運営を開始し、商品掲載数は約56万点だ。メーカーにとっては、地域を超えた全国52,372店舗への販路拡大ツールとして効果を発揮し、小売店にとっては1,138社の出展企業とインターネットを通して取引ができ、仕入先を大幅に拡大することが可能だ。メーカーと小売店の取引で発生するコストや手間、リスク等を解消し効率的な取引を実現する。(数字は2016年4月末現在)

 このスーパーデリバリーは、優れたサービスを表彰する日本初の表彰制度、日本サービス大賞にて「地方創生大臣賞」を受賞した。地方創生大臣賞とは、地域活性化の視点で大きく貢献したサービスに対して表彰される賞である。

 スーパーデリバリーを利用する小売店の特徴として、東京・大阪を除いた地域の小売店の割合が7割以上を占めている点だ。(2016年ラクーンデータより)そのため、スーパーデリバリーを利用することにより、地方にある店舗も都市部と変わらない品揃えを安定して実現することができる。また、地方での新規開業やそれによる就労機会の増加も望むことが可能だ。このような点が評価され、今回の「地方創生大臣賞」に繋がった。

 スーパーデリバリーは、単なる卸・仕入れサイトではなく、活躍の幅を広げている。今回発表された小売以外の事業者への拡大は、ユーザーの声が実現したものだ。本来ならば、小売事業者に限定するものの、幅を広げ、より多くの人に利用してもらうような新たな施策を実現した。これにより、スーパーデリバリーの利用者が倍増することはもちろん、スーパーデリバリーの認知拡大にも繋がることだろう。

 また、現代では「地方創生」という言葉が注目されている。地方は、都心に比べ、人口が少ない現状にある。その現状を変えるために、地方創生に力を入れ、活性化させている。それにもスーパーデリバリーは力を貸し、「地方創生大臣賞」を獲得した。このようにECでも、地方創生に力を貸すことができ、一緒に日本全体を盛り上げることができるのだ。

 今、地方創生が叫ばれるなかだからこそ、冒頭説明したようなスーパーデリバリーが、自ら扱う商品数や商品ジャンルを拡大させるという動きは、地方にいながらにして、新たな事業を模索する人たちにとって、ビジネスチャンスを掴みやすくなり、彼らに可能性を与える歓迎すべきものと考えていいだろう。


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