お中元商戦が続々開始。ネット通販が拡大、贈り合う商品も多様化

約6兆円と横ばいで推移しているお中元市場の中で、ネット通販が年々拡大している。従来ではビール、そうめん、洗剤といった定番商品が贈られてきたが、ネットでは「サマーギフト」の形で、贈り合う商品が多様化しているようだ。

ネット通販でお中元ギフトを購入する人が増加

楽天リサーチが昨年6月末に調査した「中元に関するインターネット調査」によると、お中元の購入場所は百貨店が38.7%と最多だったが、ネット通販が29.4%と拡大し、2番目に利用者が多いことがわかった。

特に、30代〜50代は全体の36%がネット通販を利用しており、百貨店の33%を抑えて最も利用者が多くなっている。ネット通販が選ばれる理由には「時間の拘束がない」「相手の喜びそうなものがじっくり検討できる」「ご当地品など近所で買えないものが買える」などが多く挙げられている。

相手の好みやライフスタイルをより考慮したお中元を選ぶ傾向が年々強まっていることから、食品を多く取り扱う通販サイトは、お中元の打ち出し方に工夫を凝らしている。

定番の「ビール」も日常よりも高級な「プレミアムビール」が売れ筋

お中元商戦の「定番」とも言えるビール。中でも、ギフトでは日常よりも高級なものを贈りたいという心理が働くことから、「プレミアムビール」に手を伸ばす人も増えているようだ。

ビール市場は、第3のビールの売上がビールや発泡酒を「補填」する状況が続いている。そうした中で、ビールはここ最近、家庭用こそ振るわないが、高級ビールやギフトの売上は伸びている。減少し続けるビール市場で人気急上昇中なのが、原料や醸造方法にある種のこだわりをもたせた、高級志向の「プレミアムビール」だ。

「プレミアムビールを飲む人」は1年前と比較して増加傾向に

サントリー酒類の「プレミアムビールに関する消費者飲用動向調査」(2014年5月19日公表、対象は20〜59歳の男女1000人のインターネット調査)によると、家庭でプレミアムビールを飲む回数の増減を聞いたところ、1年前と比較して「増えた」と答えた人は40.8%にのぼった。

また、4月の消費税増税後にプレミアムビールを飲むことが増えるかの問いには、9割以上が「増えていくと思う」もしくは「あまり変わらない」と答えた。プレミアムビールが人気なのは、景気の回復傾向による後押しが強いようだ。

一方、プレミアムビールは男性が父の日やお中元、お歳暮のギフトとして、「もらって嬉しいもの」の上位を譲らないといった側面もある。

明太子のふくや、新たなギフトサービスを展開

明太子通販をおこなう株式会社ふくやは5月22日に、新たなギフトサービス「うれしいギフト」を開始した。選びやすさを重視して、これまで売れ筋商品だった価格帯で3ラインを用意した。3150円の「笑」と3675円の「楽」、4200円の「歓」の3つを提案。

加えて、同ギフト商品はすべて送料無料で販売する。同社は、ユーザーがギフトを購入する場合に1件あたりの予算を決めてから購入するケースが多いと分析。別途送料がかかる場合にギフト1件あたりの予算があがることが購入のハードルになっていたという。

送料無料でも利益を確保できる体制とは

ギフト商品はそれぞれの価格帯別に、内容を見直して販売する。少量ずつの明太子をセットにした「小分け」タイプと、いろいろな明太子をセットにした「よりどり」タイプ、ボリューム感のある「満足」タイプの3タイプを用意している。

また、送料の無料化に伴い、ギフト商品にセットされている和え物明太子の内容量を縮小した。それぞれ30gずつ減らし、送料分のコスト負担を吸収。これまで、ふくやでは製造や物流のシステムの効率化を図ってきた。送料を無料化しても利益を確保できる体制が整ったとしている。

同社は6月1日より、中元商戦を開始。ギフト商戦のリニューアルに伴い、既存客に加えて休眠顧客20万人にもDMを発行した。ギフトのニーズが多い購入金額の3150円で送料無料としたわかりやすさが功を奏し、休眠顧客の活性化につながっているという。