日本の「WABI」「SABI」が海外で人気 九谷焼など伝統工芸が脚光を浴びる

ECの発達がもたらした日本文化の海外進出 焼き物の未来は海外にあり?

日本刀や伝統工芸の人形、勲章など、日本の古物が今海外でコレクションとして人気を博している。地方の古い蔵などを巡り、持ち主でさえ何年何十年も手を付けていない古い小物などを買い取り、海外ECサイトに出品する商売を営む事業者などはその人気に驚いている。柄が派手であったり、日本伝統工芸品の名称が刻印された品などが特に海外で人気とのことだ。日本だと売れない着物なども海外では高く売れる。観光に来ている外国人が浅草などで両手いっぱいにおみやげを買っている光景などから、日本文化に興味を示す外国人が多くいることは分かるだろう。

日本の伝統文化を世界に広げたいという理念の下、数珠、九谷焼等日本の伝統工芸を幅広く海外にもEC展開する香源香カフェを運営している株式会社菊谷生進堂では、九谷焼のマグカップ、パスタ皿、ワインカップなど、日本伝統工芸品を外国人の生活スタイルに合わせた小物類を開発し、世界へEC展開している。

また、一風変わったところでは、ガイコツをかたどった九谷焼の置物「九谷焼SKULL(スカル)」などオリジナル商品多数を販売、展開する五彩ネットショップを運営する株式会社五彩がある。サイケデリックにペイントされたガイコツや招き猫などは、「日本伝統工芸」「外国人好みの造形物」「外国人好みのデザイン」といったように、ターゲットが明確に浮き彫りとなる秀逸な商材である。

広がる市場にいかに乗せるかがカギとなる

かつて焼き物の国内マーケットは非常に大きく、輸出を考える必要がなかったのは事実である。しかし、海外文化の国内流通や海外企業の進出が進むと同時に文化の欧米化も進行し、国内焼き物マーケットはピーク時の半分以下に収縮しているとの見解もある。伝統文化や生活様式を色濃く反映する日本の焼き物は特殊過ぎて国外では受け入れられないのでは、という焼き物業界にあった懸念も、昨今の海外進出の例、たとえば、Amazonが日本企業の海外進出を支援するプログラム、Amazonマーケットプレイスなどの実例としてあげられる株式会社九谷物産の成功例など受け、払拭されている。海外文化に押しやられ落ち目にあった日本文化が、海外に出て受け入れられるという興味深い減少が起こっているのである。
ECの発達により、その気になれば明日からでも顧客を全世界に想定することが可能となっている昨今、ちょっとした一工夫が意外なヒット商品を生む可能性は、決して夢物語ではないのだ。