中国市場へ新しい道、iZeneジャパン設立

ECのミカタ編集部

越境EC、注目の新企業にお話を伺ってきました!今年3月に設立した越境ビジネスに特化したグローバル企業、iZeneジャパン合同会社。中国を基点として日本、韓国、アメリカの商品をクロスボーダーに往来させ、各国の消費者に海外製品をもっと手軽に買ってもらえるプラットフォームの提供を目指しています。そんなiZeneジャパンを運営する、黄氏にお話を伺いました。

越境EC、BtoBからBtoCへの成長曲線

 弊社は、ECプラットフォームを使ってサービスを提供しているグローバル企業です。現在の主なビジネスは韓国と日本の商品を中国で販売しています。本社は上海にあり、ソウルと東京に支社があります。また近い将来アメリカにも支社を構える予定です。



 弊社の販売チャネルは、主に3つあります。1つ目が、BtoB。日本や韓国の商品をバルクで仕入れて、それを中国のKAOLA(网易考拉海购)やJD(京东JD.COM)などの直販越境オンラインショップへ卸しています。2つ目が、BtoBtoC。ショッピングモールに出店しそこで日本や韓国の商品を、中国のエンドユーザーからの注文が入ったら、商品を仕入れてエンドユーザーに直接販売しています。人気の商品については、予め仕入れておいてすぐに発送できるようにもしています。3つ目が、BtoCで、B5M.com(帮5买(www.b5m.com))というサイトを運営しています。もともとは、商品比較検索サイトでしたが、今は、そこから発展して直接中国のエンドユーザーに商品を販売しているプラットフォームです。



 長期的な視点で言うとBtoCにフォーカスしていますが、短期的にはBtoBを重視しています。ソーシングのパワーを拡大して、もっと大きなボリュームで商品を仕入れて卸すことで、より多くの企業との販路を拡げることができます。そうすることでよりリーズナブルな値段で商品を消費者に提供することができるようになります。BtoBでより多くの企業と提携することによって、将来的にBtoBtoC、BtoCにつながっていくと考えています。

中国市場における消費者ニーズの変化

 注力したいカテゴリーとしては、スキンケア、ヘルスケア、家庭用品の3つがあります。中国の消費者は、今、価格よりクオリティーを重視する傾向にあります。特に私たちがターゲットとしているお客様は、中流~上流の比較的お金に余裕があるお客様が多いので、より本物で質の良いものを望む傾向が強いです。
 
 中国市場において、偽物商品は社会的問題となっています。。特にベビー商品は大きな問題になっています。高くても、日本のもの、韓国のもの、ドイツのものを子供のために買いたいという親が多いですね。中国の人の心理として、日本の商品は良いものだという信頼は非常に高いです。日本の商品が中国で成功する可能性はとても高いと感じています。

 実は、中国の消費者は、まだ半分しかオンラインでの買い物を利用していません。しかもそのうちの10%しか、海外の商品を購入していません。だからこそ、今後伸びる可能性がもっとあります。特にヘルスケア商品の品質に関する意識が高まっており、海外から買いたいという消費者が急増しています。2018年には、1800億ドルの中国越境ECの売上が見込めるというレポートもあり、その中でも1000億ドルが韓国と日本の取引であると予測されています。

現地を知らなければ、本当の商売はできない

 弊社の強みは、グローバルな企業だということです。これまで、中国では8年間のビジネスをしてきて、中国市場においてどんな問題があるか、どんな難しさがあるかということを、身をもって体験をしています。日本企業が進出する時にどういうところが問題になるかというのも、よく判っています。弊社はそれを解決するサービスを包括的に提供することができます。

 そのためにも、現地中国人を雇用してチームを作り、現地の商習慣にに即したマーケティングやオペレーションを行っています。日本企業が越境ECに求めているのは、短期的な売上ではなく長期的な売上、もしくはブランド認知だと考えています。そこに対して、我々は、マーケティングやブランディングのサービス・サポートを提供しています。上海では300人、韓国では30人の現地スタッフを雇っています。日本はちょうどオフィスを開設したところなので、今、人員を増やしているところです。

 また、マーケティングやブランディングだけでなく、法律的な部分もサポートしています。中国の企業と仕事をするときは法的なトラブルが起こりがちです。例えば、契約が守られないとか、お金が払われないとか、偽物が販売されているとかとか、そういったトラブル時には、中国の法務部チームが全面的に協力しています。通常、そういった場合は、日本企業が賠償金を回収しようとするのは、ものすごく難しく、時間もかかるし、お金もかかります。

 中小企業は、中国ビジネスに対する知識も人材も不足している中で、中国に進出するのは難しいと思われているでしょう。一方、大企業は、リソースやお金はあっても、中国のビジネスが理解できていなかったり、文化を知らなかったりします。けれど、我々とと組んでいただければ、中国の消費者に合わせて、マーケティングもブランディングも、戦略的にサポートすることができます。日本にもオフィスができて、日本のスタッフを雇って、日本の法律に則ってオペレーションしていますので、透明性も担保されています。

越境EC、店舗はまず何をすべきなのか

 ECでは、まず、どの商品を売りたいかというのを決める必要があります。長期的にどんなゴールを持つかというのを最初に決めておくべきです。それがあってこそ、プラットフォームも活かされますし、マーケティング、ブランディングも展開していけます。例えば、日本ではそんなに人気がなくても中国で人気が出る商品や、その逆もあります。

 中国でのニーズを理解して、そこにPRするということが、特に中小企業にとっては重要です。それがマーケティングやブランディングの力です。まだ日本では知られていない企業でも、成功する可能性は非常に大きいです。弊社は、中国では価格比較サイトを運営していて、多くのユーザーがいます。そこから中国のサイトにトラフィックを流すこともしています。

 また、中国ですごく売れるからといって、闇雲に売ってしまった結果、価格が崩れて、安く売られてしまうということも最近起きています。弊社は市場のニーズを判っているので、そうならないように販売チャネルをコントロールしたり、価格をコントロールしたりということもサポートしています。日本では考えられませんが、中国では売れなかったら返すというブローカーも普通にいて、トラブルになることも少なくありません。

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一緒に成長したい、こんな日本企業を探しています

 弊社は、資金が豊かなことも特徴の一つです。これまでに、世界規模のVCから資金調達を3回受け、現在までに6500万USドルを調達し、近々2億USドルの調達予定です。中国の投資家にも市場にも認められているビジネスとなりつつあります。資金が潤沢で、売上も様々に入ってきますので、サービスを提供する際も、マージンを抑えてこのビジネスを推進しています。短期的な売上よりは長期的にご一緒にできるビジネスをやりたいと思っています。



 例えば、上海の自由貿易区に倉庫を持っているのですが、6日以内に発送されるものであれば倉庫の費用がかからないというサービスを提供しています。あるいは、独占販売権を与えてくださった企業に関しては、マーケティングもブランディングも無料でやらせていただいています。実際に、韓国のある有名なコスメブランドからは、中国の独占販売権を頂いています。販売独占権を頂いた企業に関しては、売上保証の制度を行っています。比較的リスクを低く抑えられることもあって、多くの企業から独占販売権を頂くようになりました。



 今回、日本で会社を設立した理由は比較的シンプルでして、弊社は韓国の商品はずっと扱ってきたのですが、その中でお客様から日本の商品はないのかというお問い合わせがものすごく増えたんですね。それだけ日本の商品に対する需要が増えている中で、日本の商品をきちんと輸出する体制ができていない状況でしたので、今回の、タイミングだと思って日本にオフィスを構えました。



 中国の消費者というのは、日本の商品の質の良さというのをとても信頼していて、日本の商品を買いたいという人が多いんです。しかもそれを信頼できるサイトから買いたいと思っています。大きなマーケットが、そこにあります。しかも弊社は、日本国内で決済をして、日本の商習慣で取引ができるので、日本で物を売るのと同じ感覚で、中国にも、韓国にもチャネルを持つことができます。今後、中国や韓国の商品を日本国内のマーケットに販売するというような、クロスボーダーも考えています。一緒に成長しようという企業さんと、ぜひ一緒にお仕事ができたら幸いです。


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