食品通販市場に関する調査結果 2015

矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の食品通販市場の調査を実施した。
1.調査期間:2015年6月~8月
2.調査対象:通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸等
3.調査方法:当社専門研究員によるアンケート調査、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の食品通販市場の調査を実施した。
1.調査期間:2015年6月~8月
2.調査対象:通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸等
3.調査方法:当社専門研究員によるアンケート調査、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

<本調査における食品通販市場とは>
本調査における食品通販とは、①ショッピングサイト(カタログ通販含む)、②生協、③自然派食品宅配、④ネットスーパー、⑤コンビニ宅配、⑥食品メーカーによるダイレクト販売(直販)、を対象とする。
また、製品(商品)については生鮮3品(水産、畜産、野菜・果物)、米、飲料(ミネラルウォーターは含み、宅配水は含まない)、酒類、菓子類、健康食品、その他加工食品を対象とし、日用雑貨等を含まないものとする。

【調査結果サマリー】

◆2014年度の食品通販市場規模は3兆1,772億円、前年度比104.8%で安定成長の見込

2014年度の食品通販市場規模は小売金額ベースで、前年度比104.8%の3兆1,772億円と拡大の見込みである。
2014年4月の消費税増税時における駆け込み需要が見られ、2014年度はその反動がありつつも、大手ショッピングサイトを中心に好調であった。

◆大手ショッピングサイトの食品取扱い強化が市場拡大に寄与

ここ数年の傾向として、インターネット通販を中心とする大手ショッピングサイトが大きく拡大しており、従来、当該市場で最も構成比の高い生協に迫る規模となっている。
食品通販市場の拡大を背景に、食品メーカーのダイレクト販売(直販)における参入企業が増加の一途を辿っている。大手ショッピングサイトにおける食品取扱い強化の影響を受けてはいるものの、食品通販市場全体は拡大基調にある。

◆2019年度の食品通販市場規模は2014年度比118.2%の3兆7,539億円を予測

食品通販市場規模は、今後も3~4%程度の伸長率で推移し、2019年度には2014年度比118.2%の3兆7,539億円(小売金額ベース)に拡大すると予測する。
特に、ショッピングサイトにおける食品強化の流れはしばらく継続すると見られ、2017年度前後には、生協とショッピングサイトの構成比が逆転する可能性もある。

◆資料体裁

資料名:「2015年版 食品の通信販売市場」
発刊日:2015年8月31日
体 裁:A4判219頁
定 価:110,000円(税別)


【調査結果の概要】

1.市場概況

2014年度の食品通販市場規模は小売金額ベースで、前年度比104.8%の3兆1,772億円と拡大の見込である。
2010年度以降、5~10%前後の比較的高い伸長率で拡大しており、特に2011年度は東日本大震災の影響により、飲料や健康食品が伸びたほか、自粛ムードや節電対策で、自宅での飲酒が増加したことによる酒類の拡大が寄与した。

2013年度は、消費税増税前の駆け込み需要で、飲料、米、健康食品など、長期保存が可能な品目が拡大したことが影響している。
2014年度は、その反動がありつつも、大手ショッピングサイトを中心に、食品の取扱い強化が行われ、食品を通販で購入するという消費者需要自体が拡大していることも、市場全体を押し上げていると考える。

一方、食品全体の市場は、少子高齢化に伴う人口の減少や、消費者の価格志向の強まりを受けて、総じて微減推移であるが、食品通販市場は拡大していることから、食品全体市場における通販比率は上昇傾向にある。

2.チャネル別の動向

2014年度の食品通販市場について、各販売チャネルの構成比を見ると、生協の構成比が41.1%と最も高く、次いでショッピングサイト33.9%、食品メーカーのダイレクト販売(直販)18.3%、ネットスーパー3.8%、自然派食品宅配2.4%、コンビニエンスストア宅配0.6%の見込である。
近年の傾向として、インターネット通販を主とする大手ショッピングサイトが大きく拡大しており、従来、当該市場で最も構成比の高い生協に迫る規模となっている。

また食品通販市場の拡大を背景に、食品メーカーのダイレクト販売(直販)は、参入企業が増加の一途を辿っているが、大手ショッピングサイトにおける食品取扱い強化の影響を受け、わずかに縮小している。
一方でネットスーパー、自然派食品宅配、コンビニエンスストア宅配は全体に占める構成比は低いものの、いずれの市場規模も拡大傾向にある。

従来、インターネットショッピングは、書籍やホビー品など、趣味嗜好品を単品購入する場合に使用されることが多かったが、インターネット通販が広く普及する中で、食品や日用雑貨などの日用品の購入先としても存在感を示すようになってきている。

3.将来予測

食品通販の市場規模は、今後も3~4%程度の伸長率で推移し、2019年度には2014年度比118.2%の3兆7,539億円に拡大すると予測する。
特に、ショッピングサイトは、大手企業を中心に、食品強化の流れがしばらく継続すると見られ、2017年度前後には生協の構成比を逆転する可能性がある。
インターネット通販の利便性が日に日に改善されていく中、消費者の多様化するニーズや利便性に対する要求は更に加速をしている。

こうしたなか、大手ショッピングサイトを中心としたサービス向上や品揃え強化により、単一の食品メーカーによるダイレクト販売(直販)は年度により浮き沈みが出てくることが懸念される。

一方で、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、日本国内の全体的な景況感の改善が期待されているほか、食品を基軸とした、各種イベント関連のプロモーションが各社で展開されることが予想されることから、食品通販市場は堅調に拡大すると予測する。