楽天がお歳暮のあり方を変える?ネットで躍進する鍋市場

石郷“145”マナブ

鍋を頼んで、鍋を贈り、鍋を知る

 楽天株式会社(以下、楽天)が運営する「楽天市場」は、GOBLIN. 千駄ヶ谷で、2015 年の冬に食べたい選りすぐりのおとりよせ鍋料理が楽しめる「鍋大学」を開催した。ここには楽天市場の鍋の顔とも言える二人「もつ鍋・水炊き 博多若杉」代表取締役 松尾 直幸氏と越前かに問屋「ますよね」 店長 橘高 友樹氏が来場し、自ら美味しい鍋の作り方を伝授した。

 そもそもなぜ、鍋にフューチャーしたのだろう。一つとしてお中元、お歳暮が伸び悩むと言われる中で、楽天市場に関して言えば、ここ5年間で、2.5倍となっており、その中でも、それらの定番と言われるハムやスイーツと並んで、注目を集めているのが、鍋だというので、フューチャーしている。特に、昨年12月の鍋の売上に関して言えば、前年の約2倍となっており、その背景には、やはりお中元、お歳暮での需要も増えていることも要因だという。

楽天市場で、鍋が話題になる理由

楽天市場で、鍋が話題になる理由

 では、なぜ、楽天市場で鍋が人気なのだろう?その背景には、まず、種類豊富なことがあげられ、商品点数は5万5000商品にも及ぶという。また、その売り方も通販らしくちゃんと自宅で安心して食べられることを意識した仕様になっており、包装なども凝っていることから、贈り物としても好まれるのだという。また、売れている商品の多くが地方の個性を生かしたご当地鍋であることを鑑みると、鍋は、お中元、お歳暮でも、地域に縛られることなく提案できる、ネット通販の特性を生かした最適な商品なのかもしれないと思えてくる。いわばインターネット通販の「楽天市場」の強みをしっかり発揮した、その一端がこの鍋にあるというわけだ。

 鍋大学というくらいなので勉強になる知恵も伝授いただいた。ショップオブザイヤー2014を受賞した強者「若杉」松尾氏は、もつなべという食文化と共に、博多の文化を伝えていきたいと、いう理念を持つ。歴史を辿れば、もとは鍋に関連して、いろんな部位のホルモンを販売していたのを、通販を不慣れな人を配慮をして、くせのないものに絞り、鍋を楽しみやすく、博多らしさが伝わることを念頭に3種に厳選したのだと、ヒットの秘訣を話しいてくれた。鍋大学ということもあり、今日は特別に、と「前日、一手間で、くせのない仕上がりにする方法」を伝授してくれた。そのやり方はすごくシンプルで「お水の中にさらす」ということだった。それだけで、くさみがなくなるのだという。

鍋が、お歳暮の「常識」すらを変えるかもしれない。

 食べさせて頂けるそうなので、調子に乗っていただく。すると、野菜を多めなので、外側の野菜のさっぱりとした感じが、ホルモンの濃厚な味わいを引き立たたせる。柔らかく口の中でとろけるようなホルモンは、一度口にしたら病みつきになる。

 越前かみ問屋「ますよね」橘高氏も「グルメ大賞かに部門」を6年連続受賞する強者。ここでは、まず、カニの解凍に関して触れ、解凍は流水でと強調した。その理由として、実は、カニは鮮度劣化の起こりやすい生き物で、時間をかかるうちに風味が悪くなるのだという。流水による急速解凍でこそ、鮮度が維持される、とした。また、鍋において、かには加熱時間について伝授。実は、「半生くらいのが一番美味しい」とし、時間にして、棒肉は15~20秒。爪下 30~40秒が最適なのだという。カニもいただいてしまい、橘高氏自ら、棒肉を15〜20秒でさっとつゆにつけていただき、渡されたカニの棒肉を食べた際には、本当に程よい弾力感と柔らかさとが、素材の新鮮さを思わせるものだった。

 この2店舗以外にも、レモン汁に牡蠣が入った鍋などもあった。一見すると、違和感のあるものであるが、レモンは全体の味をキュッと引き締め、その引き締まった感じがちょうど牡蠣のシンプルな味わいとマッチしていた。どれもヘルシーで、なにより寒い冬で冷え切った体を温めてくれるのは、鍋の素晴らしい点だろう。

 肌寒い日が続き、いよいよ鍋の季節が到来。鍋をする機会があっても、実は、まだまだ知らない鍋はこの世に多く存在し、それを堪能していない。鍋はそんなもんじゃない。もっと奥が深いのだ。こういう企画を実施することは、多くの人が、自宅やスマホの空き時間で、新たな鍋のことを知る格好の機会となり、それは楽しみである。そして、それは同時に、日の目の当たらなかった優れた鍋商品を持つ店舗たちに光をあてることにもなる。その意味では、きっとECはお歳暮のあり方を変える可能性を秘めているし、それが、ニッポンの文化をちょっとだけ変えてくれるかもしれない。だから、引き続き、楽天の企画力を期待したいのだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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