1)キャッシュレス市場の今
現在、日本政府のキャッシュレス推進の影響もあり、キャッシュレス市場が急速に成長しており、2016年には62万人ほどだった「スマホのQRコード決済サービス利用者(アクティブユーザー)」が960万という約15倍の成長推移を見せています。
引用元:ICT総研/2019年 モバイルキャッシュレス決済の市場動向調査
(https://ictr.co.jp/report/20190107.html)
キャッシュレス決済市場の成長にともない、サービス提供会社も続々と増えています。しかしキャッシュレス決済の種類としては大きく分けて4つと以前から変化はなく、カード決済(クレジット/デビット/プリペイド)・電子マネー(ICカード/チャージ型ウォレット)・ID決済(またはQRコード決済)・後払い決済となっております。特にID決済に関しては、大手携帯キャリアや大手ECモール、SNSなど多くの消費者情報を保持している会社が提供する傾向にあります。
更にID決済の中にも、キャリアの月額費とまとめて請求が来るキャリア決済、銀行の口座残高から直接振込が出来るネットバンキング、AmazonやLINEなどと紐づいたアカウントから、独立したアカウントを作成し支払いをする方法など大きく分けて3種類があります。そして、決済サービスを提供している会社は全てで20種類ほどあり今後も増えると思われます。
このように拡大していくキャッシュレス業界で、PayPayの様な話題の決済手段に注目し消費者側のニーズを先回り出来れば、その決済方法やポイントを使いたい顧客を獲得できるので、売り上げの拡大に貢献してくれるのではないでしょうか。
2)ID決済とは
ID決済は、クレジットカード情報や口座情報を紐づけてアカウントを作成し、そのアカウント情報を利用すればその後もいちいちカード情報などの入力の手間なく、決済ができるという仕組みです。この便利さに慣れてしまっている現代の消費者は、自分が使っている決済方法が利用出来ないと離脱する傾向にあります。その為、EC事業において決済手段を複数準備しておくのはベターな手法と言えます。
引用元:SBペイメントサービス/【調査結果】ECサイトで希望の決済手段がない場合の離脱率は?
(https://www.sbpayment.jp/support/ec/survey/exit-rate/)
また、ID決済を提供する会社によっては決済金額に応じてポイント還元がされ、貯まったポイントで商品購入や、ポイント分の値引きなどが出来るようなっています。主に消費者はそのポイント還元率や対応店舗やサービスの多さを決め手に同じID決済を使い続ける事が多いと予想されています。
3)ID決済の利用状況
引用元:MM総研/個人消費動向・EC・キャッシュレス決済市場調査(19年10月)
(https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=373)
そこで重要となるID決済の利用率です(実店舗含む)。2018年10月の後発参入から「100憶円あげちゃうキャンペーン」などの大型キャンペーン施策で、利用者を伸ばし続けている「PayPay」が最も高い利用率を保持しています。
数字に表してみると「PayPay」27.2%、「d払い」23.1%、「楽天ペイ」15.6%、「LINE Pay」13.8%の順となり、上位4サービスで約80%もの利用率があります。
しかしPayPayほどの大胆な施策を打っているID決済は他になく、今後も様々なキャンペーンを行い認知度や利用者を増やしていく事が予想されます。
また、PayPayでは金額をチャージして利用する電子マネー形式だけでなく、クレジットカード登録、口座登録など様々な方法で利用ができ、ユーザビリティの充実もさせています。近い未来、キャッシュレス決済を導入する際にはPayPayが鉄板となる可能性は十分あると考えられます。
4)実店舗だけではない!PayPayオンライン決済導入メリット
PayPayは実店舗向けの決済方法だという認識が大きいかも知れませんが、ソフトバンクグループとの提携からECにも勢力を伸ばしています。同グループのYahoo!ショッピングでの利用はもちろん、PayPayモールやPayPayフリマなどでも利用できるようになっています。
そして2019年10月からはPayPayに登録したカード情報を使い、ECサイトでも決済が利用できる「PayPayオンライン決済」をスタートさせ、独自ドメインサイトへ導入が可能となりました。
そこで考えられる「PayPayオンライン決済」導入に関してのメリットとしては大きく3つあります。
一つ目は新規顧客の獲得による集客力の強さです。現状のPayPay利用率の高さ、サービス拡張への消費者の期待感などからもわかるように、ソフトバンクグループの資本力を生かした施策で、決済サービスでの圧倒的ポジション確立を行っています。それにより、PayPayを導入しているショップでの消費者の利便性向上が図れます。
二つ目は、還元キャンペーンによる売り上げの増加です。PayPayはリリース以降、オフラインにおいて数多くの還元キャンペーンを実施してきました。
現在は、「PayPayフリマの購入で最大20%相当戻ってくるキャンペーン」や「PayPayモールで100億円相当あげちゃうキャンペーン」など、オンライン上でも続々とキャンペーンが実施されています。躍進を続けるPayPayにおいて、今後もオンライン上での還元キャンペーンを実施していくことが予想されます。消費者から注目を浴び続けているPayPayが自社サイトへの対応を可能にしたことを受け、EC事業者においては強い味方になるでしょう。
三つ目は、あんしんの不正利用防止制度です。不正利用を未然に防ぐことはもちろん、万が一何か起こってしまった場合でも、対加盟店への保証・対ユーザーへの補償が備わっているため、リスクを少なく利用することが可能です。また原則被害の全額をPayPayが負担するという対策を取っており、これは他決済会社と比較しても手厚く、安心して利用が可能となります。これは加盟店・ユーザー双方にとって大きなアドバンテージになることでしょう。
5)PayPayのECサイトへの導入方法
PayPayを導入する際は現状2パターンの方法があります。
まずは決済代行会社に契約から委託する方法です。
決済代行会社を通じて契約することで管理工数がかからず、決済手段を複数展開することが可能となります。
2つ目の導入方法はPayPayと提携しているショッピングカートを利用する事です。その際は、カートシステム自体がどの決済代行を利用しているかが重要となってきます。契約している決済代行がPayPayを取り扱っていれば、上記の方法に当てはまり導入することが可能です。
カート側で提携が出来ていれば、PayPayを決済画面で表示するなど、ECサイトへの反映がスムーズになります。よってPayPay対応のカートシステムを利用することが、一番簡単な導入方法ではないでしょうか。