【第1回】花屋の軌跡!店舗からECまで生き残るための術
誤解を恐れずに言うと、遠くない将来、街の花屋はなくなると思います。もちろん全ての花屋がなくなる訳ではありません。
駅に隣接している花屋、商業施設にテナントとして入っていたり、集客力のある立地にある花屋は生き残っていけるでしょう。もしくは、これからお話しする「店舗販売だけでなく、他の利益を生み出す仕組みを作っている花屋」は生き残るはずです。
本コラムでは私が10年間に「花」を商材とした「仕組み作り」を行っていた軌跡をお話しさせていただきたいと思います。「花」をみなさんの商材に置き換えていただき、少しでもみなさんのヒントになれば幸いです。
第1回:https://ecnomikata.com/column/10455/
第2回:https://ecnomikata.com/column/10508/
第3回:https://ecnomikata.com/column/10509/
スーパーで何でも揃ってしまう世の中
今回の「花屋はなくなる?!街の○○屋さんが生き残るために」というテーマを読んでいただいた方の中には花屋がなくなるはずがないじゃないか、と思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
この「街の○○屋さん」ですが、○○には何が当てはまると思いますか。答えから申し上げると「街の米屋さん」「街の薬屋さん」「街の魚屋さん」「街の布団屋さん」などが当てはまると思います。みなさんの街から○○屋さんがなくなっていませんか。実際、私も米や魚を買うのにスーパーに行きますし、薬は大手ドラックストアーで買っています。さらに布団に関しては重たくかさばるものなのでネット通販で購入してしまいました。
昔から地元でご商売をしていらっしゃる米屋さん、魚屋さん、薬屋、布団屋さんがあるのにも関わらずです。みなさんはいかがでしょうか。大半の方々も同様ではないかと思います。
逆に言うとスーパーに行けばなんでも揃ってしまうのです。肉も魚も米も当然売っていますし、生活用品が充実しているスーパーであれば布団も置いてあるでしょう。最近では大手ドラックストアーでも食品を取り扱っているところも多いと思います。
花屋の売上げはどこから来てる?
では花屋はどうでしょう。最近ではスーパーの花売りコーナーも充実しています。中には常駐のスタッフを置いて販売しているところも多く見受けられます。スーパーだけではありません。100円ショップやコンビニでも生花を扱うお店が増えてきました。
私としては「街の○○屋さん」の中で、最後まで生き残らせてもらっていたのが花屋だと感じています。花の取り扱いは非常に手間暇がかかる部分が多く、ひと昔前まではスーパーでも取り扱っているところは多くありませんでした。
ところで、街の花屋がどこで売上げを確保しているか、みなさんはご存知でしょうか。意外に思われる方も多いかもしれませんが、売上げを支えているのは「仏花(ぶっか)」「榊(さかき)」です。ここの「仏花(ぶっか)」とはお墓や仏壇にお供えする仏様用の花束です。また、「榊(さかき)」は神棚や祭壇にお供えする常緑樹です。
昔からの習慣で月に2回、1日と15日にお仏花をお供えするのが一般的でした。しかしながら、最近のご家庭にはお仏壇も神棚もありません。当然、一般のご家庭での需要は減少しています。更に昔から購入していただいていたお客様も高齢化が進んでおり、需要は減少傾向にあります。先に申し上げたように、ご高齢の方がわざわざ遠方の花屋まで買い物に行く必要もなく、スーパーで綺麗なお花を販売しています。
全国の花屋は苦戦が強いられる・・・
このような日々の花屋の売上を支えていた商材も減少傾向にあり、更には「物日(ものび)」と言われる、季節行事の需要も減少傾向にあります。具体的には、お正月飾り(しめ縄、門松)、母の日のカーネーション鉢など、時期が近づくとスーパーで大々的に販売コーナーを設けていらっしゃいます。それも非常に安価で販売をされているので価格だけでは街の花屋は太刀打ちできません。
このような状況の中、当然のごとく全国の花屋は苦戦を強いられています。実際、私が花屋を継いだ10年前、全国に24,000店あった花屋が、現在は15,000店にまで減少していると言われています。もちろん後継者がいなく、しかたなくお店を閉じたケースもあると思いますが、改めてこの数字を見るとショックですね。口を開けてお客様がいらっしゃるのを待っているだけで売れる時代は終わりました。
次回は、「街の○○屋さん」が生き残るための方法をお話します。