【第4回】花屋の軌跡!店舗からECまで生き残るための術
誤解を恐れずに言うと、遠くない将来、街の花屋はなくなると思います。もちろん全ての花屋がなくなる訳ではありません。
駅に隣接している花屋、商業施設にテナントとして入っていたり、集客力のある立地にある花屋は生き残っていけるでしょう。もしくは、これからお話しする「店舗販売だけでなく、他の利益を生み出す仕組みを作っている花屋」は生き残るはずです。
本コラムでは私が10年間に「花」を商材とした「仕組み作り」を行っていた軌跡をお話しさせていただきたいと思います。「花」をみなさんの商材に置き換えていただき、少しでもみなさんのヒントになれば幸いです。
第1回:https://ecnomikata.com/column/10455/
第2回:https://ecnomikata.com/column/10508/
第3回:https://ecnomikata.com/column/10509/
AさんからBさんへ、ギフト商材の難しさ
前回も述べさせていただいたように、花屋の売上を支えていたのは「仏花」でした。それにも拘らず、その売上げが減少しています。そうすると、一般の方が思い浮かぶのはギフトとしての花ですよね。ここで明確に異なるのが「仏花」は自分用として購入する目的。「ギフト」は自分から別の方へプレゼント用として購入する目的となります。
ここで、みなさんに質問です。今まで花を誰かにプレゼントしたことはありますか。
私自身も含め、私の周りの方々へもヒアリングを行いましたが、「年間に2、3回」、もしくは「一度も花をプレゼントしてことがない」という人が大半です。年間に数回購入するかしないかという「顧客層」をターゲットにする難しさを実感していただけると思います。
この状況だけを考えると、この「顧客層」はターゲットにしない方がいいのではないか、という方向に行ってしまうかと思いますが、逆の発想をしてみると新しい仕組みが作れると思っています。それは、「年間に数回しか購入したことがない=花を贈り慣れた人は少ない」ということです。恐らく購入する際に色々と迷われるのではないでしょうか。
そこで花急便ではコールセンターを設け、気軽にオペレーターと話をできる仕組みを構築しました。一般的にEコマースのホームページでは問合せ電話番号を目立つところに掲載していないことが多いかと思います。オペレーションの効率だけを考えれば、その方法も正しいことだと思います。
しかしながら「花」という商品は迷って、悩んで、相談したくなる商品だと思い、ホームページにも大きくフリーダイヤルを掲載し、いつでも気軽にご相談いただけるようにしています。インターネットで購入していただくにも関わらず、裏側には人がいることを前面に打ち出すような仕組みを作りました。
結果的にお客様からのご相談を直接オペレーターが対応することにより、お客様の不安も解消され、結果、インターネットから購入いただくという流れが作られています。
次回は、ついに最終回です。最後にお客様への想いをお話します。
布団屋さんの仕組み作り
次に布団屋さんの事例をご紹介しておきたいと思います。弊社と同じ商店街にある布団屋さんからお聞きした話なのですが、とても素晴らしい仕組みを創られていたのでぜひご紹介させてください。
こちらの布団屋さん、やはり来店顧客で布団を販売するのは難しい時代だと判断され、ホームページで布団のレンタル事業をしていらっしゃいます。一般家庭はもちろん、法人企業までレンタルのニーズがあるとのこと。
ここまでは他の競合の布団屋さんもあるそうですが、こちらの布団屋さんは葬儀会社にニーズを見つけたそうです。葬儀の場合、色々な斎場やホール、ご家庭で葬儀を行い、お通夜でお泊りになる方がいらっしゃいます。会場に布団が用意されていないこともあるようで、その場合、葬儀会社が寝具の手配を行うとのこと。レンタル事業をスタートされ、誰が、いつ、どのような場面で布団を使うかを考え抜いた末に活路を生み出されたのだと思います。
今では布団だけでなく、座布団、浴衣(寝間着)まで商品ラインナップを広げ、商店街の店舗でも元気に商売をされていらっしゃいます。皆さんの街にも外からでは分からない商売をしてらっしゃるお店があるのではないでしょうか。