人材不足時代のEC物流、どう回す?省人化のアイデア集

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SBSホールディングス

日本国内の物流業界は今、かつてないほどの人材不足に直面しています。特にEC市場の急拡大に伴い、出荷件数は増加の一途をたどる一方で、現場では人手が足りず「回せない」「間に合わない」という声が多く上がっています。そんな中、注目されているのが「省人化」です。つまり、人に頼らず業務を効率化する工夫です。では、どのようにしてEC物流を省人化し、持続可能な体制を作れるのでしょうか?今回は具体的なアイデアをいくつかご紹介します。

目次

1. 自動化設備の導入
最も分かりやすい省人化の方法が、自動化設備の導入です。例えば、倉庫内では自動搬送ロボット(AGV)や仕分けロボットを使うことで、ピッキングや仕分け作業を大幅に効率化できます。これにより、従来は数人がかりで行っていた作業を少人数で回せるようになります。初期投資は必要ですが、長期的には人件費削減とミスの減少につながります。

2. WMS(倉庫管理システム)の活用
人的ミスを減らすためには、WMSの活用が不可欠です。紙のピッキングリストや人の記憶に頼る作業は、ヒューマンエラーを引き起こしやすいのが現実です。WMSを導入すれば、在庫情報のリアルタイム更新、最適なピッキングルートの提示、作業進捗の可視化が可能になります。データに基づいた作業指示によって、現場の混乱を防ぎ、省人化を加速させます。

3. 梱包・ラベル貼り工程の簡略化
EC物流では、梱包とラベル貼りが多くの人手を必要とする工程です。しかし、あらかじめ専用サイズの段ボールを用意する、適切な資材を自動供給する機械を導入するなどの工夫で、この工程を大幅に短縮できます。また、ラベルの自動貼付機の導入も効果的です。梱包作業に関わる人員を減らしつつ、スピードと正確さを維持できます。

4. 外部パートナーの活用
全ての作業を自社だけで賄うのではなく、外部の物流パートナーと連携することも一つの手です。フルフィルメントサービスを利用すれば、保管、ピッキング、梱包、出荷までを一貫して任せることができます。これにより、自社スタッフはコア業務に集中でき、全体の省人化と業務効率化が進みます。

5. 人員配置と教育の最適化
最後に忘れてはいけないのが、人員配置と教育の見直しです。多能工化(1人が複数の業務を担える仕組み)を推進することで、急な欠員や繁忙期の波に柔軟に対応できます。また、マニュアルの標準化や作業の見える化を進めることで、短期間での教育が可能になり、戦力化までのスピードが上がります。

人材不足の問題は、今後さらに深刻化すると予想されています。EC物流業務の省人化は、単なる「コスト削減策」ではなく、予期せぬトラブルや急な需要増加にも柔軟に対応できる強い組織づくりのための「リスク対策」です。ロボットやITシステムの導入、外部パートナーの活用、人材の多能工化といった取り組みを進めることで、急な欠員や繁忙期にも業務を止めずに回せる体制を整えることができます。

競争が激化するEC市場で生き残るためには、予測不能な状況にも耐えられる「強靭な仕組み」を持つことが不可欠です。今こそ、省人化を通じてリスクに強い物流体制を築き、さらなる成長の基盤を固めてみませんか?