日通とアリババグループが業務提携!越境ECへ向けて動き出す企業

ECのミカタ編集部

 日本通運株式会社(以下、日通)は、中国ECモール最大手の阿里巴巴集団(以下、アリババグループ)と業務提携し、8月から同グループの越境ECサイト「T-MALL国際(天猫国際)」出店者への物流サービス提供を本格的に開始すると8月2日に発表した。

越境EC物流界の熾烈な競争

 現在、中国への商品発送は日本郵便株式会社(以下、日本郵便)による国際スピード郵便(以下、EMS)が9割を占めているということで、日本郵便は収支の改善を図るために、アジア地域への送料を300円上げるなど、強気の値上げを今年の6月に行った。そのような中で、日通は現在主流のEMSに対抗するために今回の提携へ踏み切った。日通はアリババグループと業務提携することで、EMSよりも3割程度輸送費を安くし、中国向け通販の商品輸送で5割のシェアを目指していくという。

 さらに、日通は中国の消費者が日本から商品を購入する際に、日本の出展企業の通関業務まで一括して請け負うということだ。中国では、4月に越境ECの通関制度が改正され、商品の内容や販売額、物流などの情報を電子データで提供することが要求されるようになったが、日通はアリババと情報システムで連携し、通関業務まで一括して行うといったように、中国の制度改正に対応し、連携に臨んだ。

 ここまで、越境ECの物流を行っている企業に日通と日本郵便を上げたが、越境ECの物流を行っている企業はもちろん他にもある。例えば、ヤマトホールディングスは、中国の通販モールの2番手である京東と4月に提携していて、消費者への配送まで一括して受託するサービスを行っている。また、ANAホールディングスは、通関支援から輸送まで請け負う事業を9月に開始するといったように、様々な企業が越境ECへ向けて動き出しているのである。このように、越境ECでは熾烈な競争が繰り広げられているが、それを勝ち抜くためには、国外のEC制度に関する理解と、日通のような他国の制度を見据えた上での心配りが求められる。

 この春に中国で越境EC制度が改正され、より厳密な制度となったが、これは決して越境ECを妨げるものではない。諸制度が整備されるということは、大手物流会社以外にも様々な企業に越境ECのチャンスがやってくるということでもある。そのようなチャンスを逃さないためにも、EC支援企業とEC事業者は、国外の情報にも常に敏感になる必要がある。


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