LINEモバイルがサービス開始 スマホECに影響?
LINEモバイル株式会社は、MVNO事業「LINEモバイル」の本格販売を21日より公式サイトにて開始した。今回は、「LINEモバイル」の特徴に触れ、その上でサービス開始がECもたらす影響について考えていく。
「LINEモバイル」の特徴
つい先日にサービスが開始された「LINEモバイル」だが、その最大の特徴といえば、LINEの通信量をカウントしない”カウントフリー”とLINE・Twitter・Facebookの通信量をカウントしない”コミュニケーションフリー”という他社にはできないサービスだろう。
そして、月額利用料に関しても500円〜ということで、主にLINEのみを利用するユーザーにとっては、他社サービスを利用するよりかなりお得になっているのだ。SNSの通信量がカウントされないことの他にも、月額基本料の1%がLINEポイントとして還元されることや、LINEでつながっているユーザー同士でのデータ容量を送り合うなどのサービスも充実している。今や日常生活において欠かすことのできないSNSだが、それをお得に利用できるサービスということで、「LINEモバイル」に対する期待は高まっている。
また、現在のところ、LINEが使い放題となる「LINEフリープラン」の割合が、18歳以下のユーザーでは80%、40歳以上では71%となる一方、LINE・Twitter・Facebookが使い放題になる「コミュニケーションフリープラン」は19〜29歳で67%(LINEフリープランは33%)、30〜39歳で45%(LINEフリープランは55%)となっているそうで、年代別で契約するプランが異なっているようだ。
「LINEモバイル」がECに影響するかも?
では、「LINEモバイル」はECに何か影響をもたらすのだろうか。そこで気になるのは、スマートフォンの普及に合わせ、ECサイトにモバイル端末からアクセスし、商品を購入するユーザーが増えているということである。ECのミカタではこれまでに、Criteoが調査したモバイル端末からの商品購入率について記事として掲載しているが、その調査の中でも、PCやタブレット、スマートフォンなどの複数デバイスにまたがった購入について、興味深いデータが発表されている。調査結果によると、PCによる買い物客のうち、37%が、購入の前に別のデバイスで同じサイトを閲覧しているということだ。
この調査結果から読み取れることは、ユーザーはまず、普段持ち歩いているスマートフォンなどのモバイル端末などで欲しい商品について調べた上で、商品の購入に至っているということである。今回、新たにサービスが開始した「LINEモバイル」は、先述の通り、LINE・Twitter・Facebookなどを多用するユーザーに対しては、大きなメリットをもたらす。しかしその一方で、プランによってはその他の用途にスマートフォンを利用しにくくなるので、スマートフォンをコミュニケーションツールとして限定して利用することも考えられるのだ。
ゆえに、「LINEモバイル」の格安プランが普及すると、スマートフォンにおけるECサイト閲覧率が下がり、ECサイトでの商品購入率が低下するということもあるかもしれない。
ここまで、EC業界にとって否定的な側面について考えてきたが、最近ではLINEのビジネスプラットフォーム化に向けた動きも見られているというように、今後ECに関するサービスが「LINEモバイル」で充実していく可能性もあるのだ。
また、同じようなサービスとして、事業に成功しているのが「楽天モバイル」だ。「楽天モバイル」では、楽天ポイントを支払いに利用できたり、ネットショッピングでの活用を含めて成功を収めている。一方、「LINEモバイル」は、コミュニケーションを重視するユーザーにとっては非常に役立つものであるので、コミュニケーション特化のサービスとして普及していくかもしれない。
格安SIMの登場によって、用途によりスマートフォンを使い分ける時代にさしかかっている。そのような中で企業は、「楽天モバイル」の普及に注目し、優位にネットショップを展開するために楽天市場に出店するというような戦略を考えていく必要がある。今回紹介した「LINEモバイル」がどのように展開していくかはまだわからないが、LINEとECの距離感も含め、今後の展開が気になるところだ。