RECLOが三越伊勢丹と提携!背景には越境も?

ECのミカタ編集部

 日本最大のハイブランド商品の委託販売及び買取サービス「RECLO(リクロ)」を運営する株式会社アクティブソナー(以下、アクティブソナー)は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの100%子会社である株式会社三越伊勢丹イノベーションズより出資を受け、業務提携の検討を開始した。今回は、まず、業務提携の具体内容に軽く触れる。その上で、なぜ三越伊勢丹が業務提携の検討に入ったのか、その背景を両社の最近の動向から読み解いていく。

業務提携の取組例

業務提携の取組例

 今回、このような発表をした両社だが、具体的な内容に関しては検討を開始した段階だという。その中で挙げられた取組例としては、両社の顧客を対象とした相互送客がある。ハイブランドを扱うことが多い両社が連携することにより、顧客は商品を購入するだけではなく、安心して売ることもできるようになるのだ。

 また、MIカード会員向けRECLOサービス専用WEBサイトの提供も検討しているという。上図にあるように、購入額・買取額に応じたエムアイポイントの還元や限定商品の展開など、お得なサービスを展開し、購入から買取まで一括で引き受けることで、顧客を囲い込むことにも繋がるのではないだろうか。

 以上が、現在出されている情報に基づいた考察になる。だが、両社が提携する背景には他にも別の要素がありそうだ。以下では、両社の越境へ向けた動きを紹介する。

三越伊勢丹の動向

 まず、三越伊勢丹の動向だ。三越伊勢丹はつい先日、世界最大の流通企業アリババグループが運営する越境ECサイト天猫国際に、日本の百貨店業として初めて、本格参入へ向けて動き始めているとを発表した。

 天猫国際出店の目的については、三越伊勢丹グループ店舗において、海外からの顧客が多く来店していることが深く関係しているようである。三越伊勢丹グループ店舗における2016年上半期の免税売上高は、2013年上期と比較して、約3.7倍に伸びているのだ。その中でも、中国の顧客は質の高い日本製品や、日本で注目されているものへ高い関心を示しているという。

 そして、日本で商品を購入した顧客との継続的な関係構築に加え、中国での新たな顧客開拓も視野に入れ、今回の天猫国際への参入を開始したとみられる。三越伊勢丹は、日本の高品質商品中心の品揃えを現地店舗や国内店舗と連携させ、中国でのマーケティングノウハウの蓄積につなげていくという。

 ちなみに、扱う商品のカテゴリは、ファッション衣類、雑貨、化粧品、食品など多岐にわたるそうだ。さらに、2017年春以降は、デザイナーとのコラボレーション企画を始め、ブランドアイテムの増加を予定していという。つまり、中国での展開を意識しているのである。

アクティブソナーの動向

 一方、アクティブソナーの動向はどうなっているのだろうか。展開している「RECLO」は、ハイブランドの商品を扱うCtoBtoCサービスとなっている。ベテランの鑑定士が鑑定を行い、100%本物と保証をした上で商品を販売したり、最近では返品保証制度を開始するなどサービスの幅を広げている。もちろん、このような手厚い保証をする背景には、やはりハイブランド品を扱っているということがあるだろう。

 そして、日本における中古ブランド市場の特徴に、海外に対しても信用性が高いという点がある。中古ブランド相場が安定しているため、海外での評価が高いようだ。そのような市場背景から、アクティブソナーは、中国の国営貿易企業HIGHHOPEグループと資本提携を行い、スマートフォン向け中国版「RECLO」である「RECLO.cn」のサービスを今年10月より開始している。つまり、こちらも中国向けの展開を意識しているのだ。

今後の展開に注目!

 以上、両社の越境に向けた動きを考えると、今回の発表では日本国内での活動のみにしか触れられなかったが、今後は連携しながら越境展開をするということも十分考えられるのである。三越伊勢丹としては、日本人顧客の囲い込みを行いつつ、いわゆる”爆買い”の失速を補うためにも、越境ECを展開したい狙いもあるのではないだろうか。

 また、アクティブソナーとしても、日本より大きいブランド品市場を持つといわれている中国に、三越伊勢丹というパートナーと共に進出できるメリットがあるのだ。

 まずは、日本国内においてどのような展開をするか注目したいところだが、両社の動向からして、越境ECに力を入れていく可能性もあるので、今後の動向からも目が離せない。


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