LINE「Clova」とトヨタ「SDL」連携へ。未来の「買う」を考える
LINE株式会社(本社:東京都新宿区、以下LINE)とトヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、以下トヨタ)は、LINEが開発を進めるクラウドAIプラットフォーム「Clova」と、トヨタをはじめとする各社が推進する車載機器とスマートフォンアプリ、およびタブレットアプリとの連携規格Smart Device Link(以下「SDL」)を活用した協業の可能性を検討すべく、協業基本合意書を締結した。
世間を賑わせているニュースだ。トヨタが推進するスマートフォンアプリとクルマがつながるためのオープンソースである「SDL」と、LINEが開発を進めるクラウドAIプラットフォーム「Clova」が連携するという。
トヨタの「SDL」とはどういったものかというと、クルマとスマートフォンを連携させ、スマートフォンアプリを車載ディスプレイ上で操作するというもの。SDLを介してスマートフォンとナビゲーションシステムが連携することで、必要な操作は全てナビゲーションシステム上で可能に。運転中にスマートフォンを操作する危険行為がなくなるというもの。
一方、「Clova」は、LINEとNAVERが開発したクラウドAIプラットフォームで、LINEが持つコミュニケーション技術や、豊富なコンテンツ・サービスとNAVERが持つ検索技術や数多くのユーザーベースとビックデータを駆使した、量・質ともに兼ね備えた学習データを使用することができる良質でスマートなAIである。
「Clova」と「SDL」が連携するとどうなるのか
この2つが連携するとどういうことが起きるかというと、ユーザーは、車載の音声認識機能や操作パネルを通じ、車内でアプリを操作することができる。つまりは話すだけで、様々な操作を車が行ってくれるようになるということ。スマートフォン操作による、よそ見を防ぎ事故を予防してくれる。
将来的には自動運転にも活用される予定だ。韓国でNo.1のシェアである検索ポータルサービスをもつNAVERも、先端技術への取り組みに注力しており、自然言語処理やドキュメント推薦エンジンなどの強固な検索技術に加え、音声認識・音声合成、画像認識、ニューラルネットワーク翻訳なども高いレベルで実現している。自動車の自動運転技術においても、すでに韓国国内でlevel3を実現しており、トヨタとの連携はお互いにとって良い技術交換につながるのではないだろうか。
「購入する」という行為の多様化は更に加速する
EC事業者もこれは他人事ではない。
「話すだけで、様々な操作を車が行ってくれる」と前述したが、車が行ってくれる操作はLINEが持っている様々なコンテンツやサービス、情報によって導き出された答えによるものだ。LINEが精度を高めることで「Clova」の精度が向上する。「SDL」からも多くの情報が得られるだろう。するとまたお互いの精度が向上する。
「LINEが持っている様々なコンテンツやサービス、情報」の中にはもちろんECが含まれる。多くの情報をもとに、売る側・買う側に新しい価値が見出されるはずだ。車を運転しながら、話しかけるだけで購入が完了し自宅に荷物が届くという未来もそう遠くはないのかもしれない。
購入するという行為の多様化は驚くべきスピードで進んでいる。もはやPCやスマートフォンを介さずに購入を進めることもできるようになるだろう。そうした未来に対応した小売を意識しておかなければならないな。と感じさせる大きなニュースだったように思う。