Googleがデジタルヘルス事業を強化、人体情報を解析・管理してビッグビジネスへ
Googleがデジタルヘルス事業を強化、人体情報を解析・管理してビッグビジネスへ
■急速に進むIT企業大手によるヘルス・医療事業への参入
Googleは8月、フィットネス情報を共有するフレームワーク「Google Fit」のプレビューを公開した。
Google Fitを利用すると、ダイエットの管理が容易になる。例えば、従来はユーザーが体重を測ってダイエットプログラムの管理画面などに入力していたが、ダイエット・アプリ「Noom」を使えば、運動量や食事内容などのデータを元に自動化できる。スマート体重計「Withings」と連携しており、計測した体重を自動で読み込めるのだ。
Google Fitのパートナーとして公開されたのは14社。NoomやWithingsの他に、高機能スマートウォッチ「Basis」などが名を連ねている。
最近はIT企業大手のヘルスケア関連事業への取り組みが目立つ。
Appleは個人の健康情報を病院やアプリと共有するプラットフォームである「HealthKit」に関して、多種多様なヘルスケア関連事業者と会合を持っていると報じられている。
また、ヤフーは個人の遺伝情報を解析し、病気のリスクなどを割り出すゲノム解析サービスを、10月から一般向けに提供すると発表している。
なぜIT企業大手がヘルスケア関連事業に参入するかと言えば、IT技術が役立つ分野であることに加えて、ビジネスとしてのパイが大きいからだろう。
■ウエアラブルで膨大な情報をデータマイニング
Googleは、「23andMe」というベンチャー企業経由で、個人向け遺伝子解析サービスを展開しており、7月には、健康な人体を定義する研究「Baseline Study」を開始した。
「Baseline Study」は、175人の健康な被験者から遺伝子と分子情報を収集し、健康な人体のベースラインを定義する研究で、将来は数千人規模に研究を拡大する予定だ。分子生化学研究者Andrew Conradの指揮の下、高度技術研究所Google Xで行われている。
被験者から収集したデータはコンピューターで処理され、身体特性を特定する。Googleは監視対象の例としてコレステロールを挙げている。脂質を分解するBiomakerを解明すれば、健康な生活を送ることが可能となる。
また、収集するデータには、被験者の遺伝子情報などが含まれ、被験者が食べ物を消化する方法、薬に対する反応、ストレスがかかった時の心拍数の変化なども記録される。
Baseline Studyは、人体に関する膨大な情報をデータマイニングすることで、医療に関する多くの知見を得ることを目指している。心臓疾患や癌など病気の兆候の早期発見も可能になり、予防医学も進歩しそうだ。
これらの情報は、Google Xで開発しているウエアラブルで計測する。被験者がバイオセンサー「BioStamp」を身体に貼ると、脈拍数、体温、紫外線吸収量、脳の活動などがモニターできるようになっている。また、開発したコンタクトレンズでは、血糖値も計測できるという。
従来、東芝などの大手電機メーカーが医療機器の開発にあたることが多かったが、IT企業が参入することで、今後ますますケルスケア事業や医療機器事業の競争は加速していくだろう。