「eBay」決済サービスをPayPalからAdyenに段階的移行。独自の決済システム導入へ
eBayは、大手のグローバルペイメントプロセッサーAdyen(アディアン)社と、主要な決済システムパートナーになる契約を結んだと発表した。
世界中から多くの売り手(セラー)と買い手(バイヤー)が集まる世界最大規模のオンライン・マーケットプレイスeBay。そのeBayが独自の決済システムを導入するためにAdyenと決済システムパートナー契約を結んだと発表した。
独自ペイメントシステムの完全移行には複数年かかることが想定されるが、eBayは2020年まで継続するPayPalとの決済パートナシップ契約の範囲内で、独自ペイメントシステムの導入準備をできるだけ早く進めていくとしている。
支払いフローをシンプルにすることで、セラーとバイヤー双方の顧客体験のさらなる向上を図る狙いがある。なお、2023年7月までPayPalもペイメントの選択枠として残るとしており、今後もPayPalがeBay購入者のための決済手段のひとつであることは変わらないという。
eBayとAdyenのパートナー契約はどう進んでいくのか
Adyenは、世界的な規模の複数のマーケットプレイスの決済処理を担当しており、柔軟かつスケーラブルな技術プラットフォームを構築してきた。これまで150以上の通貨と200以上の決済方法および経験と実績を擁しており、eBayがそれを高く評価した形だ。
eBayは、独自ペイメント導入に必要な機能を構築するために、事業全域に大規模な投資を開始しているとも明かしている。今後eBayは数百人規模のビジネス、プロダクト、リスクマネジメントに関する決済スペシャリストを擁し、決済機能を強化していく予定だとした。
eBay独自の決済システム導入の計画としては、まず2018年下半期に北米で小規模にスタート。2019年からはPayPalとの契約に基づきつつ、さらなる拡大を予定している。「2021年にはeBayの大多数のカスタマーを新たなペイメント体験に移行できるものと期待している」としており、その開発は急ピッチで進んでいる。
PayPalからの脱却。相関図を塗り替えそうな大きな契約
PayPalというパートナーの存在が大きかったeBay。2015年の分離後も契約で関係を保ってきたが、徐々にAdyenが多くの決済を担っていくことになる。PayPalにとっては取引額が大幅に減少する恐れがあるが、これからPayPalがどう動いていくのかも注目が集まる。
また、様々な決済方法に精通しているAdyenがeBayの決済をどう変えていくか。Fintechや仮想通貨がこれから世界を大きく変えていこうとしている中で、お金の流れを掌握することはビジネスにとって大きなメリットがある。世界的企業の勝負どころ。さらなる情報を追いかけていきたいと思う。