あの企業は何位だった?『世界のブランド価値ランキング』が発表される【カンター・グループ調べ】
世界トップクラスの広告代理店「WPP」の調査・コンサルティング業務を担うカンター・グループは、今年で13年目となる『世界のブランド価値ランキング2018年度版(BrandZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands Ranking )』を取りまとめ、その内容を公表した。
Google、Amazonに加えて中国勢が健闘
『世界のブランド価値ランキング』の「価値の算出」は、カンター・ミルウォード・ブラウン社が行っており、消費者調査に基づいて測定されたブランド資産と、企業の財務実績・業績分析を組み合わせた本調査レポートは、業績と株価の向上にブランドがもたらす価値を明らかにすることで、毎年企業やブランド担当者の注目を集めている。
今回発表された最新のランキングでは、テクノロジー大手のGoogle(グーグル)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)に加え、中国のAlibaba(アリババ)が初めてトップ10にランクインした。また、カンター・グループによれば、今年はブランド全体の総資産価値が、これまでのランキングにおいて最大の成長幅を見せているという。以下その興味深い内容について見ていく。
テクノロジー・デジタルコンテンツ関連企業が上位に
同社によると、上記ランキングを見ると、グローバルブランドトップ10のうち、半数はテクノロジー関連企業、またはテクノロジーをベースとしたサービスを提供している企業だ。このカテゴリーは、引き続き1位と2位にランク付けされたGoogleとAppleが支えており、それぞれ前年比 23%増の3,021億ドル、 28%増の3,060億ドルの成長を続けている。
2018年のトップ100ランキング全体で見ると、さらにテクノロジーの貢献は顕著で、デジタルコンテンツ関連のサービスが大きく貢献している。大きくランキングを上げたNetflix(61位)はセットトップボックス(STB)サービスにより、今年+73%もの成長率を見せ、その他Facebook(6位)のストーリー、Apple(2位)のiTunes、Alibaba(9位)のアリババ・ピクチャーズなどが見られる。
また、従来のマーケティング手法にも、人工知能(AI)や拡張現実(AR)などにより、多くのブランドが顧客の理解を深め、パーソナライズされたコンテンツと優れたブランド体験を提供することができるようになっているのも影響しているとしている。
頭をもたげる中国企業、躍進がランキングにも反映
今回のランキングでは、米国ブランドが前年比成長率において中国ブランドに抜かれるという結果になった。2006年の同ランキング(第一回目の調査)では、TOP100にランクインした中国ブランドはわずか1ブランドだったが、12年後の今年のランキングには、実に14の中国ブランドがランクインしている。
さらに、地域別上位10ブランドの価値総額ランキングを見ると、中国の成長率は前年比+47%となり、これは、米国ブランドの前年比+23%と比べると2倍以上の成長を表している。
今年、最も高い成長率を誇り、急成長を遂げた中国ブランドは、チャットアプリ「WeChat」を運営し中国のEC市場を牽引するJD.com(59位)で、ファイナンスなどの新しいカテゴリーへの参入によってブランド価値が94%も上昇しているという。
続いて、Alibaba(9位)は、世界的なリーチの広がりと「シングルズ・デー」の特売日による成功などで前年比+ 92%の成長を遂げ、初めてのトップ10入りをはたした。
最も価値のある日本のブランドは?
日本のブランドでは、自動車カテゴリーの2ブランド(Toyota、Honda)と通信カテゴリーで1ブランド(NTT)がトップ100ランキングに入ったが、いずれも前年から順位を落としている。
調査が始まって以来ずっと、Toyota(トヨタ)は常に日本のトップブランドとしてランクインしているが、今年の「アジアのブランドランキング上位10ブランド」を見ると、Toyotaは7位となっている。10ブランドのうち8ブランドが中国ブランドとなった。
今後の世界がどうなっていくか
今年のランキングでは、総保有価値総額が年間で前年比+ 21%もの大幅な増加が見られた。これにより、BrandZ Global トップ100ブランドの総保有価値総額は4.4兆ドルとなっている。これまでになく、すべてのカテゴリーにおいてブランド価値の成長が見られる結果となった。
総合ランキングでのAmazonやアリババの上位ランクインや中国企業の急成長をみても、EC分野とそのテクノロジーが全体の成長と価値上昇に貢献している度合いはかなり大きいと言えるだろう。主要国をはじめとした各国が好景気にあったのも成長の大きな要因と思われる。
一方で、アメリカのFRBによる利上げや欧州中央銀行の量的緩和の終了などが現実のものとなっており、それに日銀がどう続くのかにも注目が集まる。不測の金融危機などがなければ、しばらくは世界経済も堅調だと思われるが、世界的な好景気の行方と、その後の世界における各企業の成長がどうなっていくかも気にかかるところだ。