ペイパルが決済サービスを拡充 銀行口座登録機能、CtoC対応、SMB向け機能
先日PayPal Pte.Ltd(以下「ペイパル」)が新機能発表会を行なった。
今回された発表された機能は3つ。世界中に決済サービスを展開しているだけあり、多くの人から注目されていた。2018年の収益も前年比+22%と波に乗っているペイパルだが、今回の新機能はどのような取り組みになるのだろうか。
簡単でカードいらずの決済手段
最初に発表されたのは銀行口座登録機能だ。
従来のペイパルはカード情報を伝えずに支払いが可能であったり、ペイパルアカウントを所有していれば個別のサイトで会員登録をしなくてもチェックアウトができる。以前からユーザーの手間を削減していたが、今回追加される機能は手間の削減ではなく、決済方法の追加だ。
銀行口座登録機能はカードを持っていない人や、持っていても現金払いを希望する人向けのサービスとなっている。
画期的なのは従来の銀行振込と比べ手数料がかからない、毎月定額の支払いも銀行口座から振り込む必要がないことだ。
この機能の追加により、カードを持っていない若年層などを新たに会員化していく狙いがあるようだ。
現在、口座振替に対応している銀行は
・みずほ銀行
・りそな銀行
・三菱UFJ銀行
・埼玉りそな銀行
・三井住友銀行
・ゆうちょ銀行
の6社となっている。
カード決済と同じレベルの利便性と、日本文化に根付いた現金での支払いの導入はカゴ落ちを防ぐ方法としては有効だ。希望する決済方法がないと多くの人が離脱してしまうシビアな世界だからこそ細やかなサービスは必要になってくる。
企業が個人への支払いが可能に!
続いて紹介された機能は企業が、個人に対して支払いを行う機能だ。
つい先日メルカリが上場したことからもわかるように、CtoC市場は非常に活発的である。それに伴い企業が個人に対して送金を行う需要は今後も増えていくことが予想される。
このような社会背景があるなかでペイパルは個人間売買の取次を行なっている企業に対して新しいサービスの提供を行う。
企業側のメリットは安価な手数料で支払いが実現できることだ。企業側が管理する情報はメールアドレスだけになる。API連携を行うことにより従来よりも作業工程を削減でき、銀行手数料より安価な支払いを実現できるとのことだ。
また売り手への支払いおよび通知を即時化することで顧客満足度の向上につなげるという。このメール送信もペイパルが自動で行うということで、企業側が行う工程は非常に少ないと言える。
すでに、チケット流通センターやピクシブ株式会社などは導入を表明しており業界内での注目度の高さが伺える。
CtoC市場により多くの企業やサービスが参入できるようになる決済システムなのではないだろうか。企業と個人の両方がWin-Winの関係になる興味深いサービスだ。
ペイパルはSMB・個人事業主向けにもサービスを提供している。それがPayPal.meだ。
インフルエンサーや、副業ベースでビジネスを行う人はEC業界では珍しくなくなってきている。そのような小規模でのビジネス決済の際に有効なのがPayPal.meだ。
もっとも特筆すべきことは簡単、これに尽きる。マイアカウントを作成したら、自分専用のURLを作成することができる。SNSなどでURLを送れば、支払う側はそのリンクからの支払いが可能となる。
活用事例としてはインスタグラマー・フォトグラファーとして活動しているフリーランスの方や、セミナー参加者の集金に利用などが挙げられていた。
EC事業者には個人事業主はもちろん、副業、主婦でも行えるほど参入障壁は低くなってきている。そのなかで限られたリソースでどのように運営をしていくかは悩みのタネである。今回のサービスはECにより多くの人が気軽に参入できるようになるサービスでもあることは注目すべきポイントなのではないか。
より多くの人にペイパルのサービスを提供するために
ペイパルは200以上の国と地域、そして100以上の通貨での決済に対応している。非常に多くのユーザーの決済情報を所有するペイパルだからこそ把握できるユーザーニーズは非常に多いと思われる。そんな中で今回発表した新機能は社会背景をしっかり捉えたサービスといえる。
キャッシュレスを推奨しているものの、日本でのカード利用率はまだ高くない。消費者のニーズを汲み取った「銀行口座登録機能」。メルカリ上場に代表されるCtoC市場の活性化に対応する「個人ユーザーへの支払い機能」。個人ブランディングや副業など働き方の多様性が求められる中での個人事業者でも簡単に使える決済機能「PayPal.me」。
ただ単純に便利、なのではなく背景にしっかりとしてユーザーの需要があり、それを形にできているのがペイパルの強みなのではないか。より多くのユーザーに安心で便利な決済方法を提供し続けていってほしい。