中国人ユーザーに人気のあるコスメブランドなどを明らかにする最新調査が実施される【ヴァリューズ調べ】
アンケートとインターネット行動ログデータを組み合わせた市場調査と事業成長支援サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、中国本土でインターネットリサーチを実施し、中国人女性の日本と韓国の化粧品ブランド認知状況について調査し、その結果を公表した。
調査概要
ヴァリューズ社は、中国本土の大手市場調査会社モニター会員の協力のもと、越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人女性に対して、化粧品ブランドの認知、購買状況や越境ECの利用状況、美容に対する意識等についてアンケート調査を実施した。
[回答期間]
2018年6月28日~2018年7月9日
[全体回答者数]
4,112人
[本調査対象者数]
1,059人
※性年代別インターネット人口に則したウェイトバック集計後の有効サンプルサイズ: 1,032 ss
認知率9割超えは日本のあのブランド
越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人女性の各化粧品ブランド認知率をランキングにしたところ【図1】、認知率90%に達した資生堂が圧倒的1位となった。
日本のブランドでは資生堂以下、SK-Ⅱ、雪肌精、花王、コーセーと続き、DHCまでが過半数からの認知を得ていた。一方、韓国のブランドも高い認知率を得ており、雪花秀 (ソルファス)、innisfree (イニスフリー)、LANEIGE (ラネージュ) の3ブランドが日本ブランド2位のSK-Ⅱを上回る順位となった。
コスメブランドの年代別認知度は?
続いて年代別の認知率をランキングにすると、全年代で資生堂が1位となった。2位には30歳未満では低価格帯ブランドのinnisfree、30歳以上では高価格帯ブランドの雪花秀と、いずれも韓国を代表するブランドがランクインしている。
雪花秀は30歳未満では比較的下位となった一方、innisfreeは逆に35歳以上で下位となっており、年代による人気差が強く表れたと分析している。24歳以下では日本のドクターシーラボも8位となっており、若年層ほど低価格で親しみやすいブランドが人気を集めている様子がうかがえるとしている。
リピーターの多いブランドは?
さらに認知率だけでなく、各ブランドの購入経験やリピート状況についても調査された。図を見ると、資生堂は認知されているだけでなく購入率、そして購入者のリピート率も群を抜いて高いことがわかった。
SK-Ⅱもまた、購入率は6割強である一方リピート率が7割を超えており、利用者のロイヤリティが高いブランドとなっていることが明らかとなっている。韓国の雪花秀、innisfree、LANEIGEもロイヤリティの高いブランドであることがうかがえるとしている。
根強い日本のコスメブランドへの人気
調査にあるように、訪日経験のある中国人女性の9割が資生堂を認知しており、韓国の3ブランドがSK-Ⅱを超えている。また、全年代で資生堂が認知率1位となり、30歳以上で特に韓国の雪花秀 (ソルファス) の認知率が高い結果となった。さらに 資生堂は購入者のリピート率が8割以上でSK-Ⅱも7割を超えている。
同社によれば、訪日中国人観光客は年々増え続け、2017年には延べ700万人以上が日本を訪れた(*1)。中国人の消費は、「爆買い」が落ち着いてからもインバウンド産業の最大のターゲット層であり続けていると分析している。
最近では中国人の中でも旅行先として日本の人気が高まっており、中国の旅行予約サイト大手、携程旅行網(シートリップ)が発表した今年の国慶節期間中の人気旅行先ランキングでは、日本が初めて首位に立った(*2)。
直近のヴァリューズの調査では、訪日中国人が日本滞在中に購入する品目の中で最も多くの人に購入されているのは化粧品だ。また、日本滞在中に限らず、帰国後の越境ECでの購入率も化粧品が1位となっている。
中国の国内経済は、安定成長期に入っていると言われて久しいが、中国人ユーザー、そして訪日中国人観光客にとって、日本製コスメはリアル店舗での購入でも、帰国後の越境ECの面でも根強い人気となっていることが浮き彫りとなったようだ。
同時に韓国のコスメ各ブランドも猛追をしており、認知率やリピート率で君臨する日本のコスメブランドも、その地位をいかに守るか常に競争にさらされているとも言えそうだ。
*1 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
*2 中国人の「国慶節」人気旅行先、日本が初の首位 (写真=共同) :日本経済新聞