『広告取引に関する広告主実態調査』が実施される【トーマツ調べ】

ECのミカタ編集部

有限責任監査法人トーマツ(東京都千代田区、包括代表 國井泰成)は、広告活動を行っている上場企業105社を対象とした「広告取引に関する広告主実態調査」についてとりまとめ、その内容を公表した。

調査概要

今回の調査は、有限責任監査法人トーマツにて、広告・メディア投資における企業の実態の把握を目的として実施された。詳細レポートでは、不正広告への取り組み内容や、マーケティング投資の透明性向上の推進者などの状況を明らかにし、広告・メディア投資における課題を分析している。なお調査結果に係る割合は小数点第二位以下を四捨五入しており、合計値が100%にならないものがある。

広告戦略を重要視しつつも課題が浮き彫りに

広告戦略を重要視しつつも課題が浮き彫りに図表1 広告戦略上の重視項目(母集団:105、複数回答可)
図表2 デジタル広告に対する印象(母集団:105、複数回答可)

広告戦略上の重要項目について質問したところ、74.3%の企業が回答した「ブランド価値の向上」が最重要であることがわかった。また50%を超える企業が、「デジタル媒体の利用拡大」および「ブランド評判の確立」を回答し、半数以上の企業が媒体のデジタル化およびブランド評判の確立に積極的であることがわかった(図表1)。現在と比較してさらに今後重要視したい項目は、「マーケティングROI」(+29.5%)、「アナリティクス・AIの活用」(+13.4%)、「顧客経験価値の向上」(+10.5%)となった。

各広告メディアに対する重要度では、現在、および、今後ともにデジタルメディアに対する重要度が高い一方で、デジタル広告に対する印象について質問したところ、「若年層獲得の効果が高い」(61.9%)、「費用対効果が測定しやすい」(53.3%)、動画や音声によるコミュニケーションに適している」(43.8%)と評価する一方、「媒体としての信頼性に疑問がある」(22.9%)、「メニューが複雑で理解しづらい」(20.0%)と課題も感じていると見受けられた(図表2)。

広告・メディア戦略の実行や投資に対する課題としては、82.9%の企業が「広告測定結果の難しさ・不透明さ」を、次いで51.4%の企業が「媒体単価などコスト面の不透明さ」を問題視していることがわかった。

「デジタル広告不正」への取り組みにも課題

「デジタル広告不正」への取り組みにも課題図表3「デジタル広告不正」に関する認知状況(母集団:105、単一回答)

デジタル広告不正についての認知度について調査したところ、「内容まで知っている」(34.3%)、「内容は知らないが見た・聞いたことはある」(43.8%)となり、78.1%の企業が認知していることがわかった(図表3)。

一方で、認知している企業に対して、具体的にどのような内容について知っているかを調査したところ、「不正事例」(91.5%)、「不正の仕組み」(65.9%)、「不正の原因と予防策」(57.3%)、「対応策」(50.0%)となり、不正事例を中心に認知が浸透しているものの、具体的な項目名や仕組み、予防策はいまだ知られていないことがわかった。

社内ルール整備も道半ば

社内ルール整備も道半ば図表4 広告・メディアの取引に係る社内のガイドラインやルールの有無(母集団:105、単一回答)

広告・メディアの取引に係る社内のガイドラインやルールの存在を調査したところ、「ガイドラインがあり、準拠した運用をしている」(28.6%)、「ガイドラインはないが部門内や関係者でルールを保有」(16.2%)となり、半数以上の企業が社内ルールやガイドラインが設定されていないことがわった(図表4)。

「重要性」と対策との間にギャップ

調査結果にあるように、半数以上の企業がデジタル広告の利用拡大を重要視している一方、課題に感じている部分もあり、またデジタル広告不正に対する知識および取り組みも十分ではない状況であることがわかった。

同時に、9割を超える企業が「何かしらの取り組みが必要」とマーケティング取引における透明性に課題を感じている一方で、広告・メディアの取引に関する社内ルールやガイドラインを設定している企業は半数にしか満たないことがわかった。

このようにブランディングや自社および自社製品やサービスの浸透の面で各企業が広告および広告戦略を重要視しているものの、デジタル広告不正への対策や社内ルールの整備との間には大きなギャップがあることが浮き彫りとなった。

EC事業を考える上でも、ペイドメディアたる広告の重要度は、依然として高い。そこにおける適切な対策は、長い目で見た時に、より費用対効果に見合った施策の実施や自社のブランディング向上にも寄与することになるとも言えそうだ。

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