中国人旅行者のモバイル決済が初めて現金支払いを超える

ECのミカタ編集部

世界規模の調査会社「ニールセン」と、アント フィナンシャル サービスグループが提供する世界最大規模のモバイル及びオンライン決済プラットフォーム「アリペイ」は、海外観光における最新の動向や中国人の海外旅行者の消費習慣について分析した報告書「2018 trends of Chinese mobile payment inoutbound tourism」を共同で発表した。以下その概要について見ていく。

調査概要

[調査対象]
①中国人海外旅行者2,806名
2018年の海外旅行経験者および1年以内の海外旅行予定者。
・居住地:中国の1級都市・2級都市・3級都市
・年齢:20代~50代
②海外販売店1,244店
シンガポール、マレーシア、タイにおける、中国人海外旅行者が頻繁に訪れる人気店。

[調査方法]
対面インタビューおよび海外販売店9店とのデプスインタビュー

中国の旅行トレンドをリードするミレニアル世代

2018年に中国人海外旅行者が訪れた国/地域数は平均2.8で、2017年の平均 2.1 から増加した。中国人海外旅行者の実際の平均支出は昨年比6%増の6,026ドル、旅行予算も昨年比15%増の6,706 ドルだった。

支出カテゴリー上位3つは、引き続き「買い物」、「宿泊施設」、「食事」となった。「買い物」の決定を左右する重要な要素は、割引、品質、価格の3つという結果が出た。

中国の海外観光市場における新たな原動力は、2級都市の中国人海外旅行者だという。特に 2018年は、ヨーロッパを旅行した2級都市の中国人海外旅行者が初めて1級都市を上回り、38%となった。さらに、北米を旅行した2級都市の中国人海外旅行者は、1級都市と同程度の割合だった。

また、旅行先の選択がより冒険的になったようだ。2018 年の中国人海外旅行者の 10%は、中央アジア、西アジア、アフリカを旅行している。マイナーな旅行先の選択というトレンドは、中国のミレニアル世代が先導しているという。1990年から1999年の間に生まれた中国人海外旅行者の18%が中央アジア、西アジア、アフリカを旅行し、5%が北欧諸国を旅行していることが明らかになった。

モバイル決済は幅広い世代に広がる

今や、中国のミレニアル世代だけが、海外でのモバイル決済における主要な利用者グループというわけではないようだ。より上の世代の利用者も増加している。2018 年には、1970 年から 1979 年の間に生まれた中国人海外旅行者の 68%が海外旅行中にモバイル決済を使用し、ミレニアル世代に匹敵する割合となった。

中国人海外旅行者は現在、世界中でモバイル決済を使用している。2018 年には、シンガポール、マレーシア、タイ、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアにおいて、中国人海外旅行者の 60%以上が携帯電話で支払いを行っていた。シンガポール、マレーシア、タイの販売店の 90%が、モバイル決済の使用可否について問い合わせた中国人消費者に遭遇したと回答しているという。

モバイル決済は、中国人消費者に便利な選択肢を提供するだけでなく、地元販売店の売上向上にも役立ちそうだ。アリペイを採用した販売店の 71%が、同業者にアリペイを推奨するだろうと回答している。

海外でモバイル決済を利用する中国人海外旅行者の増加、および既存の加盟店による中国のモバイル決済ブランドの理解の深まりに伴い、さらに多くの海外販売店が中国のモバイル決済ソリューションを採用していくかも知れない。

シンガポール、マレーシア、タイでは、既に中国のモバイル決済ソリューションを採用している販売店の 60%が、これらの決済方式を同業者に推奨するだろうと回答しているからだ。まだモバイル決済を導入していない販売店の 55%は、将来的に中国のモバイル決済ソリューションを採用する可能性が非常に高いと回答しているという。

モバイル決済が初めて現金支払いを超える

調査ではまた、海外旅行中にモバイル決済を利用する旅行者の増加とともに、中国人海外旅行者の平均予算も増加したことが分かった。モバイル決済による支払いが取引の 32%を占め、初めて現金を超えている。

同社によれば、中国のモバイル決済方法は、海外販売店のオペレーション強化にも役立っているという。アリペイ導入後、海外販売店の 58%で来店数が増加し、56%は売上が改善したと回答した。同社は今後ますます中国人の海外旅行が増加し、その消費と選択がより影響力を及ぼすようになることが予想されるとしている。

日本への外国人旅行客数の上位を占め、越境ECでも日本製品のファンが多い中国。EC先進国でもある同国の消費動向は、日本の同市場の近未来を予測する上でも大きな要素となる。

そこにおいてモバイル決済が現金支払いを初めて超えたのは、大きな転機とも言えそうだ。今後の日本のEC市場、そしてそれぞれのビジネスを考える上でもさらなる調査に期待したいところだ。


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