新法で激変する中国。70%のソーシャルバイヤーが取り止めの意向を示す。

ECのミカタ編集部

バイドゥ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:Charles Zhang、以下「バイドゥ」)は、『中華人民共和国電子商務法(2019年1月1日施行)』の代理購入事業者への影響を把握するため、日本在住の中国人103人を対象に、代理購入(ソーシャルバイヤー)に関するアンケート調査を実施した(調査時期:2018年12月18日~ 2018年12月26日、有効回答:103サンプル)。以下、その概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

[調査目的]
『中華人民共和国電子商務法』施行前の、バイヤー実態の把握

[調査内容]
・バイヤーの概要と購入実態
・購入重視点や宣伝方法
・法施行後の取引継続意向や懸念点

[調査対象]
18歳~59歳男女 在日中国人のうち、 日本で購入した商品を1年以内に中国へ販売したことがある人

[調査方法]
インターネットリサーチ

[調査時期]
2018年12月18日(火)~12月26日(水)

[有効回答]
103サンプル

代理購入を行う事業者や個人が減少する可能性あり

バイドゥ社では、調査実施の背景として次のように述べている。2019年1月1日に、『中華人民共和国電子商務法』が施行された。同法は、電子商取引の事業者や消費者の権益、責任などを規定した法律だ。

中国では、海外で購入した商品をSNSやCtoCのECサイトを通じて販売しているケースが多いが、同法では、電子商務経営者が経営活動に従事する場合、関連する行政許可の取得が必要であることが規定されており、代理購入を行う事業者や個人が減少する可能性がある。

また、同法の施行により納税義務が発生するため、代理購入事業者は海外で購入した商品の価格を引き上げざるを得なくなり、販売商品の価格優位性を維持することが困難だと予測される。このような背景を鑑みて、バイドゥでは、在日中国人バイヤーに対して実態調査を実施したのだ。

法施行後のビジネス継続意向は約3割

法施行後のビジネス継続意向は約3割

法施行認知率と取引継続意向率については、バイヤー全体のうち、中国電子商取引法施行の認知率は68.0%、法施行後の代理購入継続意向率は29.1%だった。

既存の販売先は「一般消費者向け」が多数

既存の販売先は「一般消費者向け」が多数

直近1年以内の販売先をみると、取引継続者・休止者ともに9割以上が「一般向け」に販売している。販売相手をみると、取引継続者は休止者に比べて「SNSフォロワー」が目立つ結果となった。

販売品をみると、取引継続者・休止者ともに「スキンケア」「栄養補助食品」「メイクアップ化粧品」が上位となり、休止者は「家電」の販売が多い。仕入れ場所をみると、取引継続者・休止者ともに「ドラッグストア」「Amzon.co.jp」が上位。
加えて、取引継続者の半数以上は「ショッピングモール」「スーパー」「百貨店」でも仕入れている。

バイヤーが重視するポイントは?

バイヤーが重視するポイントは?

年間取引5万元以上のバイヤーが重視する点では、「中国で人気がある商品・ブランドであること」が48.5%、「仕入れる際に、安売りやセール中の商品であること」が42.4%だった。

長期的には公平かつ健全な市場育成に寄与か

調査結果にあるように、バイヤー全体のうち、中国電子商取引法施行の認知率は68.0%で法施行後の代理購入継続意向率は29.1%であり、既存の販売先としては、取引継続者・休止者ともに9割以上が「一般向け」に販売していることなどが明らかとなった。

つまり法施行後に代理購入を取りやめる在日中国人バイヤーは、7割程度にまで上る可能性があることになる。当面はまず日本国内の小売業界への影響は必至と思われるが、越境ECの面でも対中国でのビジネスを展開している日本のEC事業者は有意な変化があることを覚悟する必要がありそうだ。

一方で同法の施行によって、長期的には並行輸入とそれによる関税回避を抑止し、より公平かつ健全な市場の育成を促すと見る専門家も多い。中国国内はすでに成長が鈍化しており、景気が低迷しているとの見方が支配的となりつつある。こうした同国での景気動向を含め、法施行後の中国市場の変化について視線が集まる状況が続きそうだ。

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