「Uber Eats」が2年で約9倍の伸び フードデリバリーとモバイル決済が急成長
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、PC版インターネット視聴率情報ニールセン ネットビュー(Nielsen NetView)、スマートフォン視聴率情報ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView)のデータをもとに、2018年のPCとスマートフォンの利用実態をまとめたレポート「Digital Trends 2018」を公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
デバイスとしてのスマホは安定成長期に入った
2018年第4四半期(10‐12月)のスマートフォンからのインターネット利用者(月間平均)は7,009万人となった。伸び率は2017年まで年々鈍化しながら2桁成長を続けてきたが、2018年は計測後初めて一桁の成長率(+7%)となっている(図表1)。
スマートフォンからのSNSアプリの利用状況をみると、「Twitter」は利用者数が3,053万人と3,000万人の大台を突破し、前年同月比で10%増加だった。また2017年には『インスタ映え』で流行語年間大賞になった「Instagram」は2018年も引き続き堅調に利用者数を増やし、2018年12月で2,233万人、前年同月比で23%増加と3大SNSサービスで最も高い伸び率となった(図表2)。
「Uber Eats」は約9倍の顕著な伸び率
次にモバイル決済サービス(上位11アプリを集計)では、利用者数が2,704万人と前年同月比でほぼ倍増した。特に、前年同月比で約3倍に利用者を増やした「Rakuten Pay」と2018年12月に実施された『100億円あげちゃうキャンペーン』で急速に知名度と利用者を獲得した「Pay Pay」の2サービスがモバイル決済サービス全体の成長をけん引した(図表3)。
またフードデリバリーサービスでは「出前館」「Uber Eats」ともに過去2年間で急成長し、2018年12月時点で利用者数はそれぞれ373万人、80万人まで拡大した。特に「Uber Eats」は利用可能エリアの拡大に伴い、過去2年前から約9倍の顕著な伸び率を見せた(図表4)。
プラットフォームを横断した消費行動が増えていく
調査結果にあるように「Twitter」は3,000万人、「Instagram」は2,000万人の大台突破。モバイル決済は「Rakuten Pay」と「Pay Pay」が成長をけん引し、フードデリバリーサービスの「Uber Eats」は過去2年で100万人近くまで利用者が拡大した。
同社シニアアナリストの山腰知美氏は、次のように述べている。
「2018年もスマートフォンの利用者数は継続的に増加し、7,000万人を突破する規模に成長しました。一方で伸長率は年々鈍化し、2014年以降で初めて1桁成長に留まったことから、今後、利用者数の増加は落ち着いていくものと考えられます。
スマートフォンの市場への浸透が一段落し、2018年はモバイル決済サービスやフードデリバリーサービスなど、オフラインで消費者の生活をより便利にするサービスの成長が顕著でした。スマートフォンのサービスは、従来のエンターテイメントやコミュニケーション等のスクリーン上で完結するサービスの枠に留まらず、今後はオフラインでも消費者の生活にますます入り込んでいくことでしょう。消費者にとっては選択肢が増えて利便性が向上することになりますが、同時にその行動はますます多様化し、様々なプラットフォームを横断した消費行動が増えていくことを意味しています。
事業者としては、オンライン・オフラインの垣根を越え、市場にどのようなカテゴリーが生まれ、その中でどのようなプレーヤーが競い合っているのか、常にトレンドを追いながら消費者を的確に把握する必要があります。そして、潜在ニーズの喚起につながる新カテゴリーの開拓や、また、競合となる他業種からの参入および新規参入に対応していくことが今後ますます重要な課題となっていくでしょう」。
デバイスとしてのスマートフォンは安定成長期に入り、キャッシュレス決済をはじめとした、そのプラットフォーム上での各種サービスが花開いている。今後もその流れは続くものとみられ、ECでの利用もモバイルシフトへの移行がさらに進むことにもなりそうだ。