2018年度の市場規模は2826億円 拡大する電子書籍市場について明らかにするインプレス社の調査レポートが公表される

ECのミカタ編集部

インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小川 亨)のシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、電子書籍市場の動向を調査し、電子書籍に関する調査結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

同調査は、「出版社」「電子書籍ストア」「取次事業者」「通信事業者」「ポータルサイト」「コンテンツプロバイダー」「インターネット広告事業者」等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したものとなっている。なお同調査報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号目を発行し、今年で17年目を迎える。

◆電子書籍の利用率調査

[調査対象]
コロプラスマートアンサーの保有するモニター

[有効回答数]
12,212サンプル

[サンプリング]
性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出、ただし年代により回収率が異なっており母集団との乖離がみられるため、比重調整を行った上で分析している

[調査手法]
スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート

[調査期間]
2019年6月21日(金)~6月28日(金)

◆電子書籍利用実態調査

[調査対象]
上記の利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人

[有効回答数]
3,560
[調査手法]
スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート

[調査期間]
2019年6月28日(金)~7月4日(木)

電子書籍市場は拡大も電子雑誌市場はマイナス成長

【図表1. 電子書籍・電子雑誌の市場規模予測】

2018年度の電子書籍市場規模は2826億円と推計され、2017年度の2241億円から585億円(26.1%)増加している。社会問題化していた海賊版サイトが2018年4月に閉鎖されて以降、多くの電子書籍ストアが多額のマーケティング予算を前倒しで投入したこと、結果的には海賊版サイトが電子書籍の認知度向上につながったことも遠因となり、新規ユーザーの増加や平均利用金額の増加につながり、売上は劇的に拡大した。

一方で電子雑誌市場規模は296億円(対前年比6.0%減)と推計され、はじめてマイナスに転じた。電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は3122億円になった。2019年度以降の日本の電子出版市場は今後も拡大基調で、電子書籍市場は2023年度には2018年度の1.5倍の4330億円程度、電子雑誌も合わせた電子出版市場は4610億円程度になると予測される。

電子コミックは前年度比542億円増

【図表2.電子書籍市場規模のジャンル別内訳】

2018年度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から542億円増加の2387億円(市場シェア84.5%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同43億円増加の439億円(同14.5%)となった。

無料マンガサービスが拡大

【図表3. マンガアプリ広告市場規模】

無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が拡大している。2018年度のマンガアプリ広告市場規模は167億円になった。動画リワード広告と読了後に表示する静止画・動画広告が主流で、特に動画リワード広告が急拡大。2019年度は1.5倍の250億円程度に達すると予測している。

「Kindleストア」が24.2%で利用率トップ

【図表4. 電子書籍利用率の推移】

モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は19.8%となり、昨年から2.1ポイントと大きく増加した。「無料の電子書籍のみを利用している」は23.9%となり、昨年からは0.6ポイント増加している。

有料電子書籍の利用率が高いのは男性30代の27.0%、女性30代の25.1%、男性20代の24.7%、男性40代の22.0%であり、男女とも30代の有料利用率が最も高い。

無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代の36.2%で、女性20代の31.6%、男性10代の30.3%と続く。男女とも10代が最も高い比率であり、高年代になるほど低下する。性年代別の利用率を昨年度と比較すると、ほとんどの年代で昨年調査時よりも有料での利用率が増加していて、特に男女とも10代から30代で顕著だ。

有料、無料を問わずに電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「Kindleストア」が24.2%で最も高く、2位は「LINEマンガ」が23.3%、3位は「楽天Kobo電子書籍ストア」が12.4%、4位は「少年ジャンプ+」が12.0%、5位は「comico」が10.6%で続いている。

上位は、電子書籍ストアやマンガアプリが混在しており、定額制読み放題サービスや投稿サイトもランクインしている。

電子書籍が本質的に紙の本に取って代わる日は来るか?

調査結果にあるように、2018年度の電子書籍市場規模は前年比26.1%増の2826億円、電子雑誌市場規模は前年比6.0%減の296億円となった。また2018年度の電子コミック市場規模は2387億円に増加、コミックの市場占有率がさらに上昇した。

さらに2018年度のマンガアプリ広告市場は167億円、2019年度は250億円に拡大し、有料電子書籍利用率は19.8%、昨年比+2.1ポイントとこちらも大きく拡大した。

このように電子雑誌市場が縮小に転じるなど一部に例外はあるが、電子書籍市場全体は大きく拡大を続けている。紙媒体としての書籍から電子化への流れはもはや不可逆と言えるが、一方で既存の出版社などは依然としてこうした流れに機敏に対応しているとは言えず、電子書籍が紙の本に本質的に取って代わるには、もう何歩も踏み込んだ出版業界の変革が必要となってきそうだ。

そういった日本国内の既存の業界を尻目にAmazonなどでは定額で電子書籍が読めるサービスが定着するなど、そうした古い日本の業界風土に風穴を開けるのは、ここでも外部のプラットフォーマーによる一撃なのかも知れない。


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