2023年には28兆円規模にまで成長!EC市場を拡大し続けるサービス促進の背景
株式会社矢野経済研究所(本社:東京都中野区/代表:水越孝)は、国内のEC決済サービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
QRコード決済(オンライン取引)の利用促進が堅調
QRコード決済はオフライン取引での利用が拡大している。
QRコード決済サービス提供事業者による大型キャンペーンや、政府が開始したポイント還元事業などがその要因となっているようだ。
ECサイト向けに決済サービスを提供する決済代行業者は、決済サービスのラインナップ拡充を通じて、幅広い加盟店のニーズに対応しているが、中でも特にQRコード決済(オンライン取引)サービスを拡充する動きが出ている。
今後、QRコード決済(オンライン取引)の利用が進むことが見込まれる。
2018年度のEC決済サービス市場は前年度116.8%の14兆1,617億円
経済産業省のデータによると、国内のEC市場規模(BtoC)は引き続き年々拡大しており、EC市場拡大を背景に、EC決済サービス市場も拡大を続けている。
ECサイト向け決済サービス提供事業者が新たにさまざまな決済手段を提供することにより、消費者のEC利用機会も増えてEC市場の拡大にも寄与するなど、双方の市場がともに拡大を続けているのが現状だ。
決済代行業者やペイメントサービスプロバイダー等のECサイト向けに決済サービスを提供する事業者は、これまでEC加盟店向けの決済サービスを主に展開してきたが、競争の激化により、それらのサービスで収益をあげるには厳しい状況にある。
一方、QRコード決済(オンライン取引)をはじめとする新しい決済手段が登場しており、決済代行業者を中心にオンライン取引向けにQRコード決済(オンライン取引)サービスを拡充する動きが出始めた。
多様化する決済手段に対応することで、より広い層の消費者を取り込もうとする加盟店に対して、利用促進を図る意味合いがある。
また、ECサイト向け決済サービス提供事業者は、企業間取引やBtoB向けのECサイトなどの決済領域へ注力しており、顧客企業に対しては単なる決済の取扱いだけでなく、業務削減や資金繰り支援など、利便性を向上させることにより取扱高の拡大につなげようとしている。
こうした要因等を背景に、2018年度のEC決済サービス市場は前年度116.8%の14兆1,617億円と推計された。
デジタルコンテンツをはじめとするサービス分野がEC市場を押し上げる
EC市場の拡大・EC化の促進に加え、BtoB領域でのサービス拡大、セルフレジや自動販売機などの無人機を含めたリアル店舗向けサービスの展開等が、今後もEC市場を成長させる要因となるだろう。
特に、デジタルコンテンツを始めとするサービス分野は物販分野よりもEC化の余地が大きく、今後の市場拡大の鍵になると予測される。
これまで現金決済が主流であった公共料金や家賃、教育、冠婚葬祭等の費用などの生活関連分野においても、決済サービスの利用率が引き続き上昇する見通しだ。
2023年度のEC決済サービス市場規模、それも主にECサイトで発生する決済業務の代行サービス提供事業者の取扱高ベースは、約28兆円まで拡大することが予測される。