コロナ禍がもたらす越境ECの加速化 ペイオニアが「越境セラーインデックス2020年第1四半期」を公表

ECのミカタ編集部

ペイオニア・ジャパン株式会社 (本社:東京都港区、カントリーマネージャー:岡本 王湖、以下 ペイオニア)は、世界中のマーケットプレイスで販売を行っている約20万事業者のデータを使用して、越境ECの状況を分析した調査レポートを公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

調査では世界のセラーの声と、販売量と販売者数に関する各国の統計に基づき、世界のECの現在の傾向から、業界がどこに向かっているかを予測されている。同社によれば主に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がEC業界と越境セラーに与えた影響に焦点をあて、越境ECの流通、販売環境が大きく変化する中、既存データの分析と各国セラー及びパートナーの証言から、今後の動向を探る機会になることを目的としているとしている。

中国ではすでに物流が回復

中国ではすでに物流が回復

世界のECのサプライチェーンの多くを担う中国の物流は、中国の武漢で新型コロナウイルス感染症が発生して間もなく、足踏み状態に陥った。中国の企業は活動を再開したが、業界は世界的なパンデミックに関連した様々な問題への対応を余儀なくされている。

このような問題が続いているにもかかわらず、業界は多くの事業者が業務を再開したことで回復しているという。ある業界の関係者によると、今後は部分的にでも異なる企業が協力し合いサプライチェーンを軌道に戻すべきだという意見もあるようだ。

4PXの代表は、「物流業界は、競争をウィンウィンの状況に変え、業界のリソースを完全に統合し、製品の品質とサービスを向上させ、セラーがこの困難な時期を乗り越えるのを支援するために協力する必要がある」とコメントしている。

コロナ後を見据える日本のセラー

コロナ後を見据える日本のセラー

新型コロナウイルス感染症は日本の越境セラーに大きな影響を与えており、多くの人がAmazonのFBA制限を第1四半期の業績落ち込みの大きな要因として挙げている。このような状況下でも、日本のセラーは新たな現実に適応し、アフターコロナも見据えて、コロナと共存する新しい商品カテゴリーや新たな取扱商品に目を向けたりするなどビジネスを維持し、さらに軌道に乗せる方法を模索しているようだ。

株式会社コンパスポイント代表取締役兼CEOの岡田 昇氏は、「現在の環境は、政府による各種補助金や、オンラインセミナー、サポート企業の増加などにより、本質的にECや越境ビジネスを推進する状況になると思います」とコメントしている。日本の越境セラーは、大きな影響を受けたものの、将来的にはECの未来は非常に明るいものと捉えているようだ。

EC化を進めている企業は早期に復活へ

フランス、イタリア、スペインのセラーも新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けた3カ国に拠点を置きながらも今後はECが回復し、さらに成長すると予想しているという。昨年、スペイン、フランス、イタリアでは、セラーの数がそれぞれ30%、13%、85%増加し、職業としてのECの人気が著しく高まっていることも、この明るい見通しに影響しているとしている。

店舗でのショッピングを好むことで知られる欧州の消費者は、急激にオンラインショッピングへとシフトしている。消費の半分以上をオンラインで済ませる人が急増しており、そのうち60%はパンデミックが収った後も継続するとみられている。

さらに欧州での購入の大半は、国内のショップからの購入か、EU内のショップからの購入だ。欧州でオンライン販売をしているEkeko SportsのJorge Ribera Sanchis氏によると、「デジタル化が進み、オンライン販売に力を入れている欧州の企業は、その他の企業よりもはるかに早く危機から抜け出すことができるだろう」とコメントしている。

このように中国・日本・欧州においても、すでにコロナ後を見据えたセラーの動きが活発化しており、感染拡大がむしろEC化と越境ECを加速させることにつながっているとも言えそうだ。

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