国際物流(グローバル物流)とは?流れや現状の課題感についても解説

ECのミカタ マーケティング部

国際物流(グローバル物流)とは?流れや現状の課題感についても解説

国境を超える商品やサービスの流れを理解し、世界各国の市場にアクセスすることはビジネスの成功につながる重要な一手です。

本記事では、国際物流とは何か、そしてどのような流れで進むのか、基本的なことを紹介しています。近年の国際物流における課題にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

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国際物流(グローバル物流)とは

国際物流とは、国際的に取引されるモノの流れのことです。海外物流やグローバル物流とも呼ばれます。

まずは国際物流が何を指すのか、基本的な考え方から順に説明します。

国際物流の基本的な考え方

国際物流は「プロセス」なので、輸出入や輸送、保管、配送の各段階を含みます。

例えば、日本の自動車部品メーカーがアメリカに部品を輸出する場合、製造から梱包、輸送、通関手続きを経て、最終的にアメリカの工場や販売店に到着します。そしてこの過程には、運送方法の選定や通関書類の準備、輸送ルートの計画など、国内物流とは異なる多くの要素が関わっています。

これら一連の流れすべてを指し、国際物流と呼ぶのが一般的です。

国内物流との主な違い

国際物流では、飛行機や船による輸送をしています。国内物流の場合、鉄道やトラックで輸送する方法がメインになっていて、国際物流では飛行機や船舶を利用する機会が多いです。

また、国際物流では保税倉庫を利用しています。保税倉庫とは関税や通関に通るまでの間、荷物を保管する倉庫のことで、港や空港付近に設置されていることが特徴です。そして、保税倉庫がある地域を保税地域といい、保税地域の荷役や港湾荷役などもしています。

国際物流は、通関資料の作成も必要になります。通関資料は複数あり、必要に応じた書類を作らなければなりません。そして、海外へ送るための輸出梱包などもしているのです。国際物流では、国内物流では必要ない手続きや準備が多く、輸送にかかる時間や費用も多くなります。

国際物流の重要性

国際物流に適応できている企業は、世界中のさまざまな市場でのビジネス機会を活用でき、国際競争や、自国内での競争において優位性を確立できます。

近年は越境ECやそれに関連するサービスの発展によって、個人が国際物流に関わる機会が増えています。そのため、自社は無関係だと考えるのは早計で、仕入れや販路拡大において、国際物流のことを考慮しておくことも、今後ますます重要になってくると考えられます。

国際物流の流れ

国際物流の流れは、計画から実行に至るまで、さまざまな段階を含みます。商品の輸出入から顧客への配送までの流れは以下のとおりです。

  1. 商品の準備と輸出入計画の立案
  2. 海上・航空輸送の選択と手配
  3. 通関の手続きの流れと必要書類
  4. 輸入国での配送と顧客への納品

1)商品の準備と輸出入計画の立案

製品が国際市場に出荷される前には、さまざまな準備が必要です。商品の品質基準の確認や適切なパッケージング、輸送方法の選択、輸出先国の法規制への適法性の検討などが行われます。

例えば、電子機器メーカーがヨーロッパ向けに製品を出荷する場合、EUの安全基準や環境規制に準拠しているのを確認しなければなりません。

2)海上・航空輸送の選択と手配

コストや輸送時間、商品の特性を考慮して輸送手段を決めなくてはなりません。

海上輸送はコスト効率が高く大量輸送に適していますが、時間がかかるため急ぎの貨物や痛みやすい商品には航空輸送が選ばれるのが一般的です。

また、輸送会社との契約やスケジュール調整、コンテナの確保などがこの段階で行われます。

3)通関手続きの流れと必要書類

海外から何かのモノを輸出入する場合、通関手続きが必須になります。例えば、海外へ自社製品を輸出する時、海外から原材料などを輸入する時など、いかなるケースでも手続きが必要です。

通関手続きは、貨物を輸出入する人が法定手続きを経て、税関長から許可を得ることを指します。そして、税関で貨物を通過させることを通関手続きと言うのです。例外もありますが、税関を通さないで海外のモノを受け取る、海外へ送るという行為は、密輸と判断されます。

また、通関業務を行うのは、「通関士」という国家資格を持つ専門家です。通関士は輸出入の申告書類の審査・申告などをしています。

輸出通関の手続きの流れ

  1. 輸出通関手続きでは、最初に貨物を保税地域へ持っていきます。
  2. 保税地域で輸出の許可を受けることが必要です。保税地域は「指定保税地域」「保税蔵置場」「保税工場」「保税展示場」「総合保税地域」の5種類あり、貨物を置ける期間や機能などが異なります。一般的に輸出入をする時には、「指定保税地域」を通過することになるでしょう。

出荷から実際に輸出するまでの流れは、以下の通りです。手続きの段階に応じて、決められた書類の提出が必要です。

  1. 出荷
  2. 他法令手続
  3. 輸出申告
  4. 審査
  5. 検査
  6. 輸出許可
  7. 船積み・搭載

輸出通関手続きで「特定輸出者制度」を使うと、手続きは少なくなります。この制度を使うと、保税地域ではない任意の場所で許可を得ることが可能です。

よって、保税地域まで持っていく予定だった輸送コストを減らせるでしょう。輸送にかかる時間も短くできます。ただし、関税法の第67条の要件を満たし、必要書類や税関長からの承認をあらかじめ得ることが必要です。

輸出通関の手続きで必要な書類

輸出通関では、自分で手続きする「自社通関」と「業者に依頼する通関」があります。

▼自分で通関申告する時に必要な書類

  • 輸出通告書
  • 仕入書(インボイス)
  • 包装明細書(パッキングリスト)

▼業者に依頼する時に必要な書類

  • 仕入書(インボイス)
  • 包装明細書(パッキングリスト)
  • 船積依頼書(ショッピングインストラクション)
  • 委任状

仕入書は取引を示す書類で、何をどの金額で販売するかを記載する書類です。輸出申告をする時に、税関で輸出許可が必要になりますが、提出を求められたときに渡します。

包装明細書のことをパッキングリストと呼び、どのように商品を積み込んでいるかを示す書類です。仕入書の補完資料とされ、「輸出貨物の個数」「包装後の重量」「包装後の容積」などを記載します。ただし、仕入書と包装明細書を1つにまとめる場合も多いです。

船積依頼書はショッピングインストラクションとも呼び、通関業者が「船荷証券」「航空運送状」などを作成する時に使います。通関業者から船積依頼書の書式を指定された場合は、それに従うことが必要です。

委任状は、初めて通関業者と取引する時に用意します。通関業者は業務に関する帳簿などを一定期間保存する義務があり、依頼を受けた証明として、委任状が必要になるのです。

4)輸入国での配送と顧客への納品

商品が通関を通過したあと、目的地までの配送が行われます。

配送には現地の物流業者との連携が不可欠です。配送中の追跡システムを利用して、商品の所在をリアルタイムで監視するのも有効でしょう。

国際物流におけるコンテナについて

国際物流においてコンテナは、商品の安全な輸送と効率的な取り扱いを可能にする重要な要素です。

コンテナは標準化された寸法と設計で作られており、世界中のどの港やトラック、貨物列車でも取り扱えます。もっとも一般的なタイプは、20フィートと40フィートのドライコンテナです。ドライコンテナは主に乾燥貨物の輸送に使用され、衣類や家電製品、食品など幅広い商品に対応しています。

一方、液体や気温に敏感な商品の輸送には、特殊なコンテナが用いられます。例えば、冷凍または冷蔵が必要な食品や薬品の輸送には、冷蔵コンテナが使用され、液体化学製品や燃料の輸送には、タンクコンテナが利用されているのです。

国際物流におけるコンテナ利用の最大の利点は、柔軟性と効率性です。コンテナ1つで海上や陸上、鉄道輸送をシームレスに連携できるため、貨物の積替にかかる時間とコストを削減できます。また、コンテナの堅牢性は、長距離輸送中の商品の保護にも寄与します。

国際物流の効率化には、適切なコンテナの選択と利用が不可欠です。商品の性質や輸送ルート、コストと時間のバランスを考慮して、最適なコンテナを選定しましょう。

出典:海外コンテナについて|国際コンテナ輸送株式会社

国際物流の3つの課題

2024年1月現在、物流業界は国際情勢の不安定さや持続可能性、最適化の必要性などの課題に直面しています。

ウクライナ情勢がもたらす国際物流への影響

ウクライナ情勢は国際物流業界に深刻な影響を与えています。

例えば、ロシアによるウクライナ侵攻の結果、物流ルートの変更が必要になり、航空や海運においては、運賃の上昇や配送の遅れが発生しました。

この状況下で、物流に関わる多くの企業は、代替ルートの確立やコスト管理の見直しに迫られています。

クリーン物流への移行と持続可能性の追求

環境への影響を最小限に抑えるのは、国際物流業界にとって重要な目標です。持続可能な物流システムを構築するには、エコフレンドリーな輸送手段の採用や包装材料の削減、エネルギー効率の向上などが求められます。

例えば、電気トラックの導入、再利用可能な包装材の使用、炭素排出量の削減に向けた戦略などが挙げられます。

国際物流を最適化することの必要性

国際物流の最適化とは、物流における人件費やコストなどを見直し、最適な方法を考えることです。国際物流においては、前述した国際情勢の変動によるコスト高や為替変動の影響を大きく受けます。

そのため、国際物流を常に最適化することは、「貿易の鍵を握る」と言っても過言ではありません。経費の中でも国際物流の送料にあたる「国際物流費」について、徹底した見直しが必要になります。

国際物流を扱う会社・サービス

国際物流業界には多くの企業が存在し、それぞれが特色のあるサービスを展開しています。

代表的な大手国際物流会社を3つ紹介します。

  • C.H.ロビンソン
  • 株式会社ペガサスグローバルエクスプレス
  • DHL

C.H.ロビンソン

C.H.ロビンソンは、サードパーティ・ロジスティクス(3PL)を含むアメリカの運送会社です。貨物輸送や輸送管理、仲介、倉庫保管などのサービスを提供しています。

同社は3PLの世界的リーダー企業であり、航空運送部門でAFLASの最優秀物流サービスプロバイダーに選ばれています。

C.H.ロビンソンは、さまざまな輸送会社と提携し、顧客の貨物輸送を効率的かつ低コストで手配する代表的な運送会社です。

出典:

C.H. Robinson | Third Party Logistics (3PL) & Supply Chain Management

CHロビンソン、航空運送部門の最優秀物流サービスプロバイダーに選出|businesswire

株式会社ペガサスグローバルエクスプレス

株式会社ペガサスグローバルエクスプレスは、日本の越境EC物流の急成長企業です。国際宅配便やフォワーディング事業、越境EC物流などの国際物流事業を展開しています。

同社は、国際一貫輸送サービス「Pegasus My Choice」とフルフィルメントサービスを組み合わせた「ペガサスステーション」を通じて、越境EC市場での輸送件数を増加させています。また、オンライン販売業者に対して最適化された物流サービスを提供し、国際物流の効率化と顧客満足度の向上を実現しています。

出典:株式会社ペガサスグローバルエクスプレス

DHL

DHL(ディーエイチエル)は、ドイツに本社を置く国際輸送物流会社です。

国内および国際パッケージ配送や電子商取引輸送および履行ソリューション、国際急行、陸上、航空、海洋輸送、および産業サプライチェーン管理を含む幅広い物流サービスを提供しているグローバル企業です。

世界各地に貨物用航空機やトラックを所有し、自国での集荷から通関、空輸、他国での配達までの輸送プロセスをすべて自社で一貫して行っています。

日本でも越境ECの海外発送によく使われており、配送料は高くなるものの、素早い配送が可能です。

出典:DHLホーム - グローバルロジスティクスと国際輸送 Japan 日本

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