『b→dash』導入でEC売上が昨対比400%超の増加 デジタルの力で変化する阪急百貨店

ECのミカタ編集部

阪急阪神百貨店に導入されているフロムスクラッチ社の「b→dash(ビーダッシュ)」を通して、「巣ごもり消費」などへ対応するために、さらなるデジタルトランスフォーメーション強化をする方針であることが公表された。

DXの成功事例創出を目指す

株式会社フロムスクラッチ(本社:東京都新宿区/代表取締役:安部泰洋)は、同社が開発・提供するデータマーケティングプラットフォーム「b→dash(ビーダッシュ)」を、株式会社阪急阪神百貨店(本社:大阪市北区、以下「阪急阪神百貨店」)のビッグデータ活用のためのマーケティングソリューションとして提供している。

今回、新たに「阪急婦人ファッション部門」、「阪急メンズ部門」のECのデータを統合し、巣ごもり消費などの生活者の新たな行動様式(New Normal)へ対応するために、さらなるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する取り組みを強化することを公表した。同社は、この取り組みによって、百貨店業界におけるデジタルトランスフォーメーションの成功事例創出を目指すとしている。

阪急阪神百貨店は、関西を中心に16店舗の百貨店を展開する大手百貨店だ。2016年より、中長期的に注力する取り組みの1つとして、“デジタルトランスフォーメーション“を掲げ、デジタルへの投資を進めており、その一環として、ECの主要5部門のうち「阪急ビューティー部門」、「阪急フード部門」、「阪神オンライン」を中心に「b→dash」を導入・活用している。

b→dash導入後は、店舗顧客のデータ、ECの購買データ、アクセスログ等、多様なビッグデータを統合させることにより、ユーザー1人1人の行動に即したきめ細やかなアプローチができるようになったそうだ。

しかし、コロナウイルス感染症拡大に伴う"巣ごもり消費"などをはじめとする生活者の行動様式の変化に対応するべく、EC事業基盤のさらなる強化策の一環として、「b→dash」の活用領域を「阪急婦人ファッション部門」、「阪急メンズ部門」にも広げ、さらなるEC強化、およびデジタルトランスフォーメーションを加速させる運びとなったのだ。

先行の取り組みでは、EC売上が昨対比400%超の増加

先行の取り組みでは、EC売上が昨対比400%超の増加

同社がまとめた今回の取組みで予定している主なテーマは次の通りだ。

◆ビッグデータの活用によるECマーケティングの強化

ECの主要5部門のうち「阪急ビューティー部門」、「阪急フード部門」、「阪神オンライン」を中心にb→dashを導入・運用してきたが、「阪急婦人ファッション部門」、「阪急メンズ部門」、実店舗のデータもb→dash内に統合をすることで、EC分野における最適なプロモーション・マーケティング施策が実行可能な基盤を構築し、阪急阪神百貨店が蓄積するデータを最大限に活用した顧客の潜在ニーズに応えるマーケティング施策の開発を目指す。

◆EC化率のさらなる向上(EC経由の売上)

阪急阪神百貨店は、幅広い顧客のニーズに答えるべく、OMO(Online Merges with Offline)を推進し、さまざまな接点での顧客体験の向上に取り組んでいる。引き続きb→dash内にデータを蓄積し、最先端のマーケティングテクノロジーに基づく各種施策の実行を進める。

◆実店舗顧客のEC利用促進によるオムニチャネル推進

これまで実店舗顧客の多くはECサイトの利用経験がなく、実店舗での利用のみにとどまっていたため、ECサイトと店舗両方を顧客がシームレスに利用することが課題となっていた。そこで、b→dashを活用し、実店舗顧客のデータや、過去に店舗で購買したデータをもとに、興味関心度の高い商品をECでも購買できるよう訴求することで、ECサイトの会員登録、およびECサイトでの購買を促進することにより、実店舗顧客の方々にも阪急阪神百貨店の商品を購入頂く機会を創出していく。

すでに先行的な取り組みでは、実店舗顧客のEC利用を促進することで、EC売上が昨年同月比400%超の増加(2020年4-6月実績)を実現しているという。

デジタルの力で変化する百貨店の姿

今回の公表に際して、同社では次のように述べている。

「2019年には世界初の技術を使った新機能の『Data Palette(データパレット)』を実装しました。これは、世界で初めてノンプログラミングでデータの統合や変換がGUI上で実現できる新たな技術です。UI/UXがわかりやすく設計されており、SQLやプログラミングの技術がなくとも、b→dashの操作画面上で直感的にデータを使いこなすことができるようになり、データを誰でも扱うことができる世界が実現されます。

今後、データ統合基盤や処理エンジン『Data Palette』の開発強化に加え、「b→dash」に蓄積された膨大なマーケティングデータを活用することで、マーケティングテクノロジー領域における新たなソリューションを開発予定です。「b→dash」は企業のマーケティング・ビジネス改革はもちろん、データを活用した労働生産性の向上に寄与して参ります」

「百貨店冬の時代」が言われて久しいが、小売りとしての価値を百貨店としていかに再構築していくかは、業界全体の大きな課題ともなっている。同業界は、EC化が遅れていることも各方面から指摘されてきたが、そうした中で、阪急阪神百貨店は、意欲的にデジタルトランスフォーメーションを進めていることになる。

同百貨店は、b→dashを導入し、先行する取り組みではすでに、EC売上が昨年同月比400%超の増加という大きな成果を出した。今後の新たな取り組みによって、百貨店ならではの強みと相互作用しつつ、どのような成果がもたらされるか注目と言えそうだ。

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