デジタルD2C市場は2025年に3兆円規模へ

ECのミカタ編集部

『売れるネット広告社』は「デジタル D2C」の市場動向調査を行った。同調査では、「デジタル D2C」を、ネットメディアを通じて自社ブランドの商品を消費者に直接に販売する事業と定義したうえで 2019 年の市場規模を推計し、2025 年までの年間の国内市場規模予測が算出されている。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

[調査主体]
株式会社売れるネット広告社

[調査方法]
売れるネット広告社の過去 5 年の独自データおよび関連業界へのヒアリング、各種統計資料

[調査対象]
デジタル D2C(ネットメディアを通じて自社ブランドの商品を消費者に直接販売する事業)

D2C とは

D2C とは、「Direct to Consumer」の略で、“消費者に対して商品を直接的に販売する仕組み”のことを指す。具体的には、自社で企画・製造した商品を、EC サイトなどの自社チャネルで販売するモデルのことだ。仲介業者を挟まずに、企画・製造・販売を自社だけで行うため、会社のビジョンやブランド思想などを何の介入もなく直接消費者に伝えることができる。

さらに上流から下流までを扱うことで、より細かな顧客データの収集および蓄積を行うことができ、新商品開発にも活かしやすい環境を設けることが可能だ。近年スマートフォンの普及とSNSの浸透が、消費者の意思決定や消費行動全般に大きな影響を与えている。これに伴い、企画・製造・販売を一貫して自社で行い、会社のビジョンやブランド思想などを直接消費者に伝えるD2Cが存在感を増している。

成長する「デジタルD2C」市場

成長する「デジタルD2C」市場

2020年の「デジタルD2C」市場は、昨年対比 109%の2兆2,200億円に達する見通しであり、2021年には2兆4,100億円、2025年には3兆円に達する見込みだ。インターネット、スマートフォンの普及により、消費者はテレビに代表されるマスから軸足を移し、メディアやSNSに代表されるデジタル領域で多くの時間を過ごすようになった。デジタル化が進むことにより消費者の消費行動に変化が起き、ECで商品を購入することに抵抗がなくなってきている。その結果、店舗に足を運んでも商品を買わず、後日にECで買うといった購買行動も増加傾向にある。

そのような中、SNS等を利用することで企業と消費者が店舗を介さずとも直接接点を持つことができるビジネスモデルとして注目されているのが「デジタル D2C」モデルだ。仲介業者を挟まず、SNS等を通じて消費者と直接コミュニケーションを図ることで、独自の世界観や今までになかった価値観の提案を明確にできるため、新興企業のみならず大手企業も続々と参入している。これらを背景に、2019年の「デジタルD2C」市場は、引き続き高い水準で成長を遂げている。

「デジタルD2C」市場の未来に向けて

調査にあるように、2020年の「デジタルD2C」市場は、昨年対比109%の2兆 2,200 億円に達する見通しで、2021年には2兆4,100億円、2025年には3兆円に達する見込みだ。

同社では、調査を受けて次のように述べている。

「2019年はインターネット広告費が初の2兆円を超えてテレビ広告費を逆転し、デジタル化の新たな局面を迎えました。これは、人々のいる場所がマスからデジタルへと移り変わっていることを意味します。さらに、スマートフォンの普及に伴い、情報の接点がインターネットメディアや SNS にシフトしたことで、消費者の情報リテラシーが向上してきています。マスで大きく宣伝されているからといって必ずしも購買につながるとは限らず、むしろデジタル接点でのブランドのストーリーに共感して購入する消費者が増えてきているのが現状です。ネットメディアに触れる時間が生活の一部となりつつある今、ブランドのビジョンや思想をうまく伝えることができれば企業規模によらず十分に成長が見込める市場となっています。これらを背景に、2020年の『デジタルD2C』市場は、昨年対比109%の2兆2,200億円に達する見通しです。
(中略)
D2Cは仲介業者を挟まずに消費者に直接商品を届けるビジネスモデルです。SNS 等による双方向のコミュニケーションを通じて商品・サービスのブラッシュアップが常になされること、それにより信頼関係が築き上げられブランドへのロイヤリティを育成し生涯顧客価値・ライフタイムバリューを形成していけることから、その需要はさらに拡大していきます。これらを背景に、『デジタルD2C』の市場規模は中長期的に高い成長を継続し、2025年には3兆円に達すると予測されます。さらに、コロナ禍における購買行動の変化は D2C市場の成長をさらに加速させることが予想されます。一方で成長途上の市場だけに事業者側のノウハウも不足しています。当社は今後も、『デジタルD2C』市場の発展と事業者の成長に寄与すべく、“最強の売れるノウハウ®”を用いてサービスの向上に努めてまいります」

インターネットの普及以来、そのネット上で展開されるビジネスも発展を遂げて来ており、その最たるものがECだろう。そしてECとも親和性が高く、SNSなどデジタルプラットフォームを最大限活用して、勢いを増しているのがD2Cモデルと、それを活用する新進気鋭の企業群だ。メーカーやブランドなどが、直接消費者とコミュニケーションをとり、ストーリーを共有する中でロイヤリティを醸成できるD2Cモデルは、これまでの大企業優位の消費市場において、大きな可能性をもたらしている。D2Cとしての成功例も積み重ねられる一方、既存の大手企業もD2Cに参入する動きがあり、D2C市場全体が拡大する中で、競争が激化することが予想されており、D2Cモデルでビジネスを展開する各事業者にとっても、しかるべき施策がさらに必要となってきそうだ。

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