アメリカ発動画企業“Firework”が日本進出 50億円超の資金調達を実施

ECのミカタ編集部

ウェブストーリー プラットフォーム「Firework(ファイヤーワーク)」を提供する、Loop Now Technologies Inc.(本社所在地:米シリコンバレー)は、日本市場への本格参入をすることを公表した。

ECにもフォーカスし、日本市場でのリードを目指す

50億円超の資金調達を実施しているシリコンバレー動画スタートアップFireworkが日本に進出することを明らかにした。日本への進出については、住友商事のCVC、朝日メディアラボベンチャーズからの出資、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムとの業務提携を受けたものとなる。同社は、すでに拡大フェーズであるアメリカ、インドに次ぐ第3の重点市場として、FounderであるCEOのVincent Yangが日本市場をリードすることを目指すとしている。

同社は、出資元であるPresidio Ventures(住友商事株式会社)と朝日メディアラボベンチャーズ株式会社、そして戦略事業パートナーを結ぶデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)と連携し、EC、広告やメディアビジネス領域にフォーカスした展開をするものとみられる。

ディズニー傘下のESPNやFoxも導入

ディズニー傘下のESPNやFoxも導入

Fireworkは、ウェブサイトにInstagramのようなユーザー体験・テクノロジーインフラ・メディアフォーマット・マネタイズ方法を安価かつ手軽に導入できるSaaSプロダクトだ。ウェブサイトのエンゲージメントや滞在時間を高めることで顧客満足度が向上し、サイト内での購入意欲、LTVの向上を含めた収益性を改善し、利益率の高いビジネスモデルの構築に寄与する。

すでに世界中で約700のウェブサイト、30以上のアプリ、7つのモバイル通信会社、5つのウェブブラウザがFireworkを導入し、日本国内においても100以上のウェブサイトが導入している。これらのネットワークにはすでに月間2.5億の訪問数があるという。

ディズニー傘下のESPNやFoxは、昨年自社アプリやウェブサイトにストーリーフォーマットを自社開発・導入し、自社サイト内のユーザー体験向上を図っている。自社サイト内にユーザーを最大限誘導・滞在させることで、ユーザー行動の1次データを獲得することができるだけでなく、マネタイズのオプションも幅広くコントロールすることが可能となる。

今こそウェブサイトの体験を変革する

各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。

Presidio Ventures Senior Director 鈴木 雅史氏

「総合商社として、VCとして『企業が自らのビジネスの価値をインターネット上で最大化する手段は何か、住友商事が出来ることは何か』というのをここ何年か考え続けてきました。多くのマーケティングと動画がYouTube含めたSNSに向かう中、Fireworkの『最高のUI/UXでWEBに組み込めるショートビデオ』がその最適解になることを確信し、出資しました。この先数年にわたり、リテール、EC、メディア等の分野でFireworkがビジネスをトランスフォームし、それを住友商事がバックアップしていきます」

朝日メディアラボベンチャーズ株式会社 代表取締役・マネージング・ディレクター 野澤 博氏

「Fireworkの『オープンウェブ』というコンセプトは、多くのショートビデオコンテンツを、自社のサイトやアプリに簡単に表示できるようにすることができます。これまでのユーザ体験を大きく変え、エンゲージメントを向上できる方法として、多くの皆さまに利用されることを期待しています」

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)代表取締役社長CEO 島田 雅也氏

「動画市場が依然急成長を遂げている中、縦型・短尺動画はモバイルコンテンツのメインフォーマットとして、広告主、広告会社、EC事業者、コンテンツホルダー、メディア企業の更なるビジネス成長に貢献すると考えております。DACは日本に本格参入するFireworkの事業およびマネタイズを支援します。広告、EC領域を中心として幅広い事業展開の可能性を感じております」

近年のSNSプラットフォームの隆盛により、現在ウェブサイト(オープンウェブ)は、未だかつてない危機に陥っているとも言われる。SNS世代の若者たちは一体どれだけ「ウェブサイト」上でコンテンツを消費しているのだろうか。

企業やブランドにとって本来価値のあるトランザクションを生み出すためのウェブサイトは、テキストと画像が主流のままで、ここ数年ほとんど形を変えていない。その結果、サイト訪問者の約90%はウェブサイト上で積極的なアクションを起こすことなく、サイト滞在時間が10秒未満のユーザーは約75%にも上る。本来注力すべきウェブサイトがなおざりになり、多くのユーザーがSNSのサービス上にばかり滞在してしまっている状況があるのだ。

その上でFireworkは「この状況を一変させる」との意志を示している。これまでのウェブサイト上の体験をアップグレードし、またオープンウェブの世界をつなげることによって、本来の主役であるウェブサイトに主権を取り戻すことを目指すとしており、EC市場への影響を含めて、その日本での展開に注目と言えそうだ。

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