消費者庁、「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催 不当表示の氾濫を受け

ECのミカタ編集部

消費者庁は、アフィリエイト広告における不当表示が頻発している現状を踏まえ、実態調査と並行して検討会を開催すると発表した。検討会は2021年6月中に第1回を開催し、2021年中を目途に一定の結論を得るという。

アフィリエイト広告における表示の問題点

近年、インターネット上の広告手法の多様化・高度化等に伴い、アフィリエイトプログラムを利用した成果報酬型のアフィリエイト広告が多く見られる。

一般的に、広告主は商品・サービスの供給主体と同じであることが多いが、アフィリエイト広告においては、広告主ではないアフィリエイターが表示物を作成・掲載するため、広告主による表示物の管理が行き届きにくいという特性や、アフィリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすいという特性がある。

また、消費者にとっては、アフィリエイト広告であるか否かが外見上判別できない場合もあるため、不当表示が起こりやすいことが懸念される。

このような状況を踏まえ、消費者庁は、アフィリエイト広告等に関する実態調査を行っているところだ。加えて、関係者から実態や課題について聴取してアフィリエイト広告の現状および課題を明らかにし、不当表示が生じない健全な広告の実施に向けた対応方策を検討するため、「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催する。

検討会の概要

◆開催時期
2021年6月中に第1回を開催。以後、関係者からのヒアリングを行い論点の整理等を行った上で、2021年中を目途に一定の結論を得る。

◆検討事項
(1)景品表示法の適用等に関する考え方
(2)不当表示の未然防止等のための取り組み

◆委員等名簿
(委員)
・池本 誠司 弁護士
・岩本 諭 佐賀大学経済学部経済法学科教授
・笠井 北斗 一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事
・河端 伸一郎 日本アフィリエイト・サービス協会会長
・佐藤 吾郎 岡山大学大学院法務研究科教授
・白石 忠志 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・中川 丈久(座長) 神戸大学大学院法学研究科教授
・増田 悦子 公益社団法人全国消費生活相談員協会理事長
・万場 徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
・森田 満樹 一般社団法人Food Communication Compass代表
・柳田 桂子 一般社団法人日本インタラクティブ広告協会事務局長

(オブザーバー)
・警察庁
・独立行政法人国民生活センター
・東京都

(事務局)
・消費者庁表示対策課

アフィリエイト広告に対する表示責任が問われる例も

前提として、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)においては、商品・サービスを提供する事業者が消費者に対して不当表示を行った場合に、同法に基づいた処分がなされる。

言い換えれば、成果報酬を目的としてアフィリエイターが虚偽誇大広告を作成・掲載したとしても、アフィリエイター本人はアフィリエイトプログラムの対象となる商品・サービスを自ら提供しているわけではないため、景品表示法上の責任を問われることはないということだ。

従来はこの点が法の抜け穴になっていたが、2021年3月、消費者庁は景表法に基づき、アフィリエイト広告に対し、アフィリエイトプログラムの対象となる商品・サービスを提供する企業の表示責任を問う措置命令を初めて下した。

直接その商品やサービスを提供しない第三者が作成・掲載するアフィリエイト広告では不当表示が氾濫していたが、消費者庁による実態調査や検討会を経て、今後はアフィリエイト広告に対する企業の表示責任がより厳しく問われるようになる可能性が高いだろう。


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