ヤフー、2020年度は1億7千万件の広告素材を非承認に 最多の非承認理由は「最上級・No.1表示に抵触」

ECのミカタ編集部

ヤフー株式会社(以下「Yahoo! JAPAN」)は広告サービス品質向上のための審査実績をまとめた2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の「広告サービス品質に関する透明性レポート」を公開した。

2020年度は約1億7千万件※の広告素材を、Yahoo! JAPANが定めた基準に抵触する素材として非承認にしたという。

※Yahoo! JAPAN 広告掲載基準や広告入稿規定、広告販売ルールに抵触した広告のタイトルや説明文、画像、リンク先のウェブサイト、キーワードなどの各非承認数を合計した件数

2019年度より非承認件数が減少

Yahoo! JAPANの広告審査では、広告単位の対応だけでなく、違反表現を繰り返したり、大量の非承認広告の入稿を行ったりする広告アカウント自体の停止措置を行っており、2020年度には5215件のアカウントを停止した。

これにより、非承認となる広告素材を入稿する広告主が減少したため、2019年度よりも非承認数が減少する結果となった。

最多の不承認理由は「最上級表示、No.1表示」に抵触

本レポートは、広告主や広告会社、広告配信パートナーが、Yahoo! JAPANの広告サービスを安心して利用できるようにすることを目的に2019年度から公開が開始されたもので、2020年度上半期に次ぐ今回で3回目となる。

Yahoo! JAPANの広告掲載基準では、「最上級表示、No.1表示」をする際は、1年以内の調査データで実証されている場合のみ掲載を認めているが、2020年度は、その基準に抵触する広告素材が最も多くあったという。

虚偽・誇大広告は、東京都でも厳しく監視している。特に健康食品や化粧品の広告において、誇大な効果をうたう表示が多くあり、その中には「満足度第1位」や「人気No.1」など、客観的に実証されていない優良誤認のおそれがある事例も見られる。

そのため、東京都からは、関連の業界団体やインターネット関係事業者に対し、客観的な事実を確認した上で広告・表示を行うことや景品表示法および関係法令の遵守についてより一層の周知を図るよう要望が出されている。

ユーザーに不快感を与える広告を一定の条件で停止

また、Yahoo! JAPANは、広告品質の向上を目的にユーザーからの意見に基づいた新たな取り組みも行っている。2021年1月に、ユーザーに不快感や嫌悪感を与えるおそれのある表現が掲載された広告に対して、広告の入稿数やユーザーからの意見数など複数の要素を加味して算出し、一定の閾値を設け、それを超えた広告の掲載を停止することを周知した。

Yahoo! JAPANは、以前より広告配信面(広告掲載メディア)においても厳正に審査しており、2018年10月にアドフラウド(広告詐欺)への対策を強化し、約5,900件の広告配信を停止。また2019年5月には、独自の“広告品質における3つの価値と6つの対策項目(広告品質のダイヤモンド)”を定義するなど、さまざまな取り組みを実施している。

今回のレポートでは2019年度よりも非承認件数が減少するという結果になったが、インターネット上における不正な広告・不快感を与える広告への目は厳しさを増すばかりだ。

2021年5月には「popIn Discovery」が誇大広告や差別的広告の配信を停止すると表明し、消費者庁は6月10日に「アフィリエイト広告等に関する検討会」の第1回を開催したばかりだ。

今後もプラットフォームによる自主規制や当局による取り締まりの強化により、不適切な広告への包囲網は狭まっていくだろう。

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