ECモールとは?国内の主要ECモールの特徴やメリットを徹底比較!

ECのミカタ編集部

ECモールとは?自社ECとの違いって?

ECサイトを出店する際や、すでにどちらかを利用してECを展開しており、複数店舗展開を検討する際にはよく出る話題ですよね。イメージとしては、ECモールはイオンなどの大型ショッピングモール。自社サイトは路面店を想像するとわかりやすいです。

一番大きな違いは「集客構造」です。大型ショッピングモールであれば、自社で集客をがんばらなくても、出店しているショッピングモール自体がCMをしたり、広告を出したりで、たくさんの人を集めてくれます。また、路面店の場合、基本的に「そのお店に行きたい」という目的がなければ来店することがないため、自社で広告展開やSNS運用するなどでイチから集客を実施していく必要があります。

他にもカスタマイズの自由度やブランディングのしやすさなどの違いはあるものの、ECモール自体に集客力があるため、とくに立ち上げ当初のまだまだ認知度の低いショップには最大の恩恵となるでしょう。





国内の主要ECモール流通総額ランキングTOP5

BtoCのECモール流通総額を見ていくと、楽天、AmazonJapan、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWN、auPAYマーケット(旧Wowma!)などが上位に挙がっています。

1位:楽天市場/国内EC流通総額約4.5兆円(2020年度)


国内ECモールだと知らない人はいない圧倒的な認知度といえる楽天市場。直近での施策としても、モール全体として原則3,980円以上で送料無料と設定したり、「置き配」を実施したりと、通販におかえる使い勝手が一層よくなりました。
とくに2020年はコロナ禍でEC需要も高まったことも追い風になり、「楽天市場」単体でも3兆円を突破したことを表明しています。

2位:Amazon Japan/売上高約2.2兆円(2020年度)


楽天市場と並び、非常に高い認知度のAmazon Japan。アマゾンプライムなどのサブスクリプションサービスも徐々に浸透してきていますが、やはりECモール事業としての利用者が圧倒的に多いのではないでしょうか。
米Amazonが公表した、アマゾン日本事業の2020年売上高は円換算で約2.2兆円。前期比での伸び率は25.5%と非常に好調な推移をしています。

3位:Yahoo!ショッピング/売上収益1兆529億円(2019年度)


昨今大きなニュースが立て続けにあり、目を見張る成長をしているのがYahoo!ショッピングです。ファッションECモールのZOZOTOWN子会社化やPaypay決済の普及やPaypayモールの開始、SBIグループとの業務提携、LINEとYahooの経営統合も記憶に新しいですよね。2020年4月30日のZホールディングス株式会社決算説明会の資料によると、2019年度売上収益は1兆529億円。前年度比10.3%と好調に推移しています。

4位:ZOZOTOWN/流通総額3,450億8,500万円(2020年3月期)


Yahoo!の子会社化は世間のニュースで話題を呼んだことも記憶に新しいZOZOTOWN。直近でもプライベートブランド「ZOZO(ゾゾ)」や、ZOZOSUIT2の発表、ZOZOMAT・ZOZOGLASSのリリース、D2C「YOUR BRAND PROJECT」や、コスメ専門モールZOZOCOSMEのオープン、ZOZOVILLAなど多岐に渡ってさまざまなニュースが舞い込んできました。2020年3月期の流通総額は3,450億8,500万円と推移しています。

5位:auPAYマーケット(旧Wowma)/流通総額1,287億円(2019年推測)


WowmaからauPAYマーケットへとサービス名が変わり、一層auのキャリアとしてのサービスを感じるようになりました。流通総額に関しては2019年度で、かつ下記参照サイトによる推測値となります。

ECモールの種類について

ECモールは大きく分けてマーケットプレイス型とテナント型の2種類になります。

マーケットプレイス型ECモール



マーケットプレイス型ECモールの代表としてはAmazonがあります。テナント型ECモールとの違いは、各ショップはECモールに出店する形ではなく、マーケットプレイスという大きな市場に「商品」だけを出品する形です。デザイン面や機能面などは、すべてマーケットプレイス型のECモール上のフォーマットに合わせて展開されるだけとなり、ショップ側の自由度は大きく「取り扱う商品」と「販売価格」の2つで勝負する形になります。

また、ブランディングの観点から見てもショップ名を覚えてもらえるとは言い難いです。しかし、あくまで「取り扱う商品」と「販売価格」を決定できれば、商品をサイト上に登録していくだけで販売開始できますので、非常にかんたんにショップ運営をはじめられることが最大のメリットです。

テナント型ECモール



テナント型ECモールの代表としては、楽天市場やYahoo!ショッピングがあります。前述のとおり、大型のショッピングモールに店舗を出店するイメージをするとわかりやすいです。自社ECサイトと比べると自由度は低いものの、大部分がモール上のフォーマット内でしか表現できないマーケットプレイス型ECモールと比べて、自由度は高いためショップごとの独自のカスタマイズをしやすい傾向にあります。


ECモールに出店する3つのメリット

1.圧倒的な集客力



自社ECサイトと比較すると、ECモール自体が広告展開などの集客施策を実施しているため、集客面に関しては最大のメリットといえるでしょう。たとえば、TVCMを実施するだけでも大きな予算を必要としますよね。それを自社ECで独自に展開しようとするだけでも恩恵の大きさはイメージにたやすいですよね。

また、認知度の高さやモール自体のリピーター層として利用するユーザーも非常に多いため、日々膨大な数のアクセスがあります。その中でキャンペーンやセールを打ち出したり、ときにはモール内広告を出したりして、ECモール側が集客したユーザーに対してアプローチしていくことで店舗への来客を促進すれば、自社ECに対して比較的かんたんに集客できるといえます。

2.認知度の高さからくる信頼性



通販でショッピングをする際、はじめて見る自社ECサイトで抵抗なく買える人というのは数少ないです。
それは「本当に届くのか」「商品の品質は大丈夫か」「クレジットカードの情報が漏えいしないか」など、不安に感じる点が多いことに起因しているといえます。

自社ECサイトではそういった信頼性の面を乗り越えられるかどうかが、成功の分かれ目になりますが、ECモールの場合は、すでにブランディングが確立しているため、「ここで買えば大丈夫」という絶対的な信頼性がある点がメリットになります。

3.ショップ運営のサポート体制



自社ECの場合、「どうすれば上手く集客できるか」「どういうセールをすれば効果的か」などは基本的に自分たちで考えて実施しなければなりません。EC運営における経験者からアドバイスをもらうと思うと、別途マーケティングコンサルタントなどと契約する必要があり、余分なコストを負担することになります。

ECモールに出店する場合、データ分析やセールの内容、集客のコツなどをサポートしてくれたり、学習するためのコンテンツも充実していたりと、EC運営におけるノウハウを学べる機会が多いです。そのため、はじめてECサイトを出店する場合や、社内に経験者がいない場合には、自社ECよりもまずECモールへの出店を検討する方がおすすめです。

ECモールに出店する3つのデメリット

1.カスタマイズの自由度が低くオリジナリティを出しにくい



自社ECは利用するカートにもよりますが、基本的にECモールに比べてカスタマイズの自由度が高く、ショップのオリジナリティを出しやすい傾向にあります。その反面、ECモールの場合は既定のフォーマットなどがあり、自由度は低い傾向です。

とくに購買率を上げる独自のシステム導入や、ブランドとしての世界観をデザインで表現することを重視していたり、集客拡大のために外部広告連携をしたりなどは困難なことが多く、あくまでECモールごとの規定内でEC構築していくことが前提になります。

2.価格競争に陥りやすい



ECモール内に多数のショップが出店している状態ですので、ユーザーは購入前に他店と比較検討がしやすい環境にあります。つまり、ユーザーに選んで購入してもらうためには、自社のショップと競合ショップとを比べた際に購入してもらえるだけの優位性を出さなければならないのです。

また、ECモールの場合は自由度が低く、競合と差別化するためには「価格を下げる」「クーポンを発行する」「ポイント倍率を上げる」などの手段が大半になります。自社が値引きを実施すれば、それを見た競合が自社より安い値段に引き下げ、またそれを見た自社がさらに価格を下げ…と価格競争に陥りやすいのは想像にたやすいでしょう。

そのため、価格競争に陥りやすいデメリットを事前に理解した上で、強豪との利益の削り合いから脱却できるかどうかが、ECモール内に出店するうえでの大きなポイントになります。

3.ランニングコストが高い



自社ECはカートシステムの利用料とサーバー費用がかかりますが、無料のカートシステムなど上手く利用すれば月々0円からでも運営できます。ただしECモールの場合は、初期費用や月額費用、販売金額に応じたロイヤリティが発生するなど、有名なモールになればなるほど費用が高くなる傾向にあります。

たとえば、自社ECであれば初回購入までに広告費がかかったとしても、以降のリピート購入に関しては基本的に広告費用はかかりません。ECモールであれば、初回購入も2回目の購入も、5回目、10回目と同じお客さまが、何度リピート購入をしてくれても、すべての購入金額に応じたロイヤリティ、つまり販売手数料がかかるのです。

そのため、長期的に見た場合の利益率は自社ECの方が良いといえるでしょう。

主要ECモール5サイトの特徴

楽天市場



楽天市場は、いわずと知れた最大級のECモールです。3ヶ月に1度、定期的に実施される「楽天スーパーセール」は毎回テレビCMも放送されており、爆発的な集客を実現しています。

その他毎月開催される「楽天マラソン」「5と0のつく日」、楽天ゴールデンイーグルスが優勝した年には「楽天イーグルス感謝祭」とさまざまなイベントが用意されており、集客力に関しては非常に高いECモールです。また、楽天カードでのお買い物はポイント優遇があるなど、昔からのヘビーユーザーやファンが多数いるため、他モールECに比べて購買率も高い傾向にあります。

Yahoo!ショッピング



年々急成長を遂げているYahoo!ショッピング。PayPayモールやZOZOTOWNの子会社化で近年より一層めざましい成長をしています。

「5のつく日」「ゾロ目の日」「ウルトラセール」やをはじめ、福岡ソフトバンクホークスが優勝した年には「福岡ソフトバンクホークスセール」、「超Paypay祭」、ソフトバンクユーザー優待のキャンペーンなど、楽天市場と肩を並べるほど多くのキャンペーンを実施しています。その他、新しいキャンペーンが出たり消えたりしているものの、集客面に関しても購買率向上のための施策面も、非常に充実しているといえるでしょう。

Amazon



マーケットプレイス型のECモールとして一番に出て来るのがAmazonです。楽天市場やYahoo!ショッピングと比べると華やかなイベントやキャンペーンは少ない印象がありますが、「Amazonプライムデー」「Amazonブラックフライデー」「Amazonサイバーマンデー」「Amazonの初売り」などショップの売上を強力に後押ししてくれる大規模イベントがあります。

また、商品は1つからでも出品できる点や、「フルフィルメント by Amazon」通称FBAを利用することで、保管や梱包、出荷、配送、返品対応などを一貫して代行してくれる点など、個人や小規模のショップでも販売を開始しやすいのが特徴です。

au PAY マーケット(旧Wowma)



KDDI株式会社と、auコマース&ライフ株式会社(旧KDDIコマースフォワード株式会社)が共同で運営するECモールです。「三太郎の日」や「au PAYマーケット 還元祭」などポイント還元率の高いイベントが特徴です。

Yahoo!ショッピングがソフトバンクユーザー優遇のイベントを開催しているように、au PAY マーケットではauユーザー優遇のイベントが開催されるので、より一層お得に購入できます。

Qoo10



Qoo10は、10代~20代の女性層がよく利用している傾向があり、商材の相性がよければ効果的に販売できるでしょう。新規登録キャンペーンでクーポンを配布したり、リピーター限定クーポン、アプリ限定クーポンなどクーポンキャンペーンが非常に多く、その中でも年4回開催されるQoo10最大のショッピング祭「メガ割」ではユーザー間では非常に盛り上がりを見せています。

まとめ

ECモールと自社サイトの違いや、ECモールの種類、代表的なECモールについての解説をしてきましたが、もしこれからはじめてショップ運営をするのであれば、集客力のあるECモールから出店するのがおすすめです。

ただ、長期的に見たときには自社ECに軍配があがりますので、ノウハウが溜まってきた段階で複数店舗展開する際に検討してみるのがよいでしょう。とはいえ、ネットショップをはじめるには他にもたくさんあります。事業の規模や目標とする売上規模、扱う商材、ターゲット層によってどの選択がベストかしっかり考えることが大切です。


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