キャリア決済とは? 導入方法からメリット・費用を解説

ECのミカタ編集部

近年急速に普及している「キャッシュレス決済」、1度でも利用したことがある人は多いのではないでしょうか。携帯を使用したキャッシュレス決済の中で、決済のしやすさに注目されているのが「キャリア決済」です。コロナ禍のネットショッピング利用やWebサービスの増加に伴い、キャリア決済の利用できるサイトは増えています。今回は、ECサイトやWebサービスにキャリア決済の導入を検討する事業者向けに、キャリア決済の概要、導入のメリット・デメリット、また導入の手順等を紹介します。

キャリア決済とは

キャリア決済とは、各携帯キャリアと契約をしている利用者が、携帯電話料金と一緒にECサイト等で購入した商品などの代金をまとめて支払うことができる決済サービスです。一般的に、キャリア決済は実店舗ではなくWeb上で手続きが完結するネットショッピングやWebサービスが対象となります。また、キャリアIDや暗証番号を入力するだけで決済処理を完了することができるため、クレジットカード情報や個人情報をその都度入力する必要がありません。

キャリア決済は決済金額の限度が設定されており、少額での決済が想定されています。未成年者やクレジットカードを持たない消費者でも、携帯端末さえ持っていれば利用可能という特徴もあります。またキャリア決済を導入したことにより、売り上げが拡大した事例も挙げられています。このことから、キャリア決済の導入にすることで、消費者の多彩なニーズを満たし、全体売り上げ向上に貢献することができる可能性があります。

キャリア決済導入のメリット・デメリット

キャリア決済の概要や特徴が理解できたところで、導入のメリットとデメリットを見ていきましょう。

キャリア決済導入のメリット


1.消費者層の拡大
キャリア決済では、Web上でクレジットカード情報を入力することなく決済を完了することが可能です。したがってセキュリティ面の不安から、クレジットカード情報や個人情報を入力することを避けたいと考えている消費者にも、気軽に商品を購入してもらうことが可能です。

さらに、クレジットカードの利用には審査が必要となりますが、キャリア決済は携帯端末さえ持っていれば利用できるため、クレジットカードを利用することのできない中・高生を簡単に取り込むことができます。

2.カート離脱の抑制
ECサイトでの商品の購入では、商品をカートに入れ、その後クレジットカード情報や個人情報を入力したのちに決済というのが主流です。しかし、スマホという小さい画面の中で、長いクレジットカード番号や、住所を打つことは消費者にとって手間となり、商品をカートに入れても決済まで至らない消費者も少なくはありません。キャリア決済では、キャリアの本人認証をするだけで決済が可能なので、決済へのハードルが下がり、カート離脱を抑えることができます。

3.代金回収リスク・コスト削減
キャリア決済が完了した商品代金は、キャリアに債権譲渡されるため、消費者未払いによる代金の未回収というリスクを負う必要がなくなります。さらに、キャリアから消費者に通信料金とともに請求されるという形をとるため、事業者から請求処理を行う必要がなく、事務的負担も減ります。

4.リアルタイムでの入金通知
キャリア決済では、商品の決済が終わった際に、加盟業者へリアルタイムで入金通知が届きます。クレジットカード支払いの場合、入金通知が加盟業者に届くまでに、タイムラグが生じる場合がありますが、キャリア決済ではこれがリアルタイムのため、在庫管理や商品発送をスムーズに行うことができます。

キャリア決済導入のデメリット


1.比較的決済手数料が高い
キャリア決済の決済手数料は、クレジットカードでの決済手数料と比べると比較的高めになっています。業種によって手数料は変わってきますが、クレジット決済の場合、生活用品であれば、基本的には3%前後の料率になります。しかしながらキャリア決済では5~10%の料率がかかることが一般的です。キャリア決済を導入した際の利益率を考えた上での検討が必要となります。

2.利用限度額が低い
キャリア決済の利用限度額は大体の場合5~10万円と、クレジットカードに比べ低めに設定されています。これはECサイト側から見れば、高額の商品の販売はできないというデメリットになります。つまり、単価の高い商品を販売するECサイトの運営を行う企業には向いておらず、反対に顧客単価が利用限度額に満たないサイトでは積極的に導入を考えてもいいかもしれません。

キャリア決済の導入方法と費用

メリット・デメリットを理解したことによって、キャリア決済の導入が具体的に見えてきたのではないでしょうか。次に、キャリア決済の導入手順とそれに伴ってかかる費用について見ていきます。まず、キャリア決済の導入には大きく分けて「キャリアとの直接契約」と「決済代行会社の利用」という2つの方法があります。手間や運用を考慮すると、決済代行会社を利用することをおすすめします。それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。

キャリアとの直接契約


事業者が独自にキャリア会社と加盟店契約を結ぶ場合、事業者は各キャリアに自ら足を運び、個別に審査を受けた上で契約を結ぶことになります。キャリアごとに異なる契約内容や運用方法を把握し、さらに決済手数料や決済へのフロー、利用可能商品を各キャリア別々に理解している必要があります。

ECサイトでは複数の決済手段を導入することが多いため、上記全てを頭に入れた上で各キャリアごとに契約を結び、運用していくには相当な労力とコストがかかることになります。さらにシステム導入のための開発や、導入後の売り上げ管理等も全てキャリアごとに個別で行う必要があります。

決済代行会社の利用


各キャリアと個別で契約した際にかかる労力やコストを一本化して請け負うのが決済代行会社です。事業者は、決済代行会社を通して、各キャリアとの契約をまとめて行えるだけでなく、各キャリアとのシステム接続も一本化して行うことができるのでECサイトを運営する事業者の負担が削減されます。

さらに、各キャリアごとの直接契約だと入金日がキャリアごとに異なってしまうことが、想定できますが、間に決済代行会社を挟むことによって、入金日の調節が可能になり、経理処理も楽に行うことができます。各キャリアによる審査から、契約、システム開発、売り上げ管理まで、代行会社とのやりとりのみで行うことが可能なので事務面の負担が大幅に減ります。

キャリア決済導入にかかる費用


キャリア決済の導入には以下の費用がかかります。

初期費用
キャリア決済を導入するために必要な初月にかかる費用
月額費用
キャリア決済のシステムの利用や運営に関わる毎月の固定費
決済手数料
決済利用時に、各キャリアに支払う費用
決済サービス利用料
決済代行会社に支払う費用
トランザクション費用
1件の売上ごとに発生する加盟店サーバーと各キャリアの決済サーバー間の決済処理の費用

当然、決済代行会社を通さず各キャリアごとに契約をする場合であれば決済サービス利用料はかかりません。また、代行会社によっては初期費用やトランザクション費用がかからず、決済手数料と月額手数料(決済サービス利用料は月額手数料に含まれる)のみでキャリア決済を導入できるサービスもあります。

キャリア決済代行会社おすすめ3選

SB payment service


ソフトバンクまとめて支払い、ドコモ払い、auかんたん決済の主要3キャリアに対応しています。さらに、集客支援や売り上げ拡大をサポートする「マーケティングプラン」、ECサイトにおける不正使用の低減に貢献する「不正検知・保証サービス」を無料で提供しており、決済代行以外のサービスも充実しています。

国際的セキュリティ基準「PCI DSS」の「完全準拠認定」を取得しており、ソフトバンクグループの決済システム、決済情報を管理してきた実績をもとに、厳重に情報管理された体制で確実な処理を行い、充実したセキュリティサービスで安心してキャリア決済を導入できます。

DG FinancialTechnology


ソフトバンクまとめて支払い、ドコモ払い、auかんたん決済の3キャリアに加え、フレッツ光回線に契約しているお客様を対象にしたフレッツ・まとめて支払いもまとめて導入可能です。業界最多の多彩な決済手段を導入している会社のため、最適な決済方法の組み合わせの提案がされ、キャッシュ決済の側面だけでない売り上げ拡大も視野に入れることが可能です。

ヤマト運輸


宅配事業を行うヤマト運輸も主要3キャリアに対応したキャッシュ決済の代行サービスを行なっています。ヤマト運輸は初期費用やトランザクション費がかからず、決済手数料と、月額手数料のみでキャリア決済を導入できるというのが大きな強みになっています。低コストでキャリア決済の導入が行えます。

まとめ

今回は、キャリア決済のメリット・デメリットを紹介した上で、キャリア決済の導入方法やその費用について説明しました。キャリア決済はECサイトの課題となる決済のハードルを非常に低くし、さらなる売り上げ拡大が狙える決済方法です。自社の増やしたい客層や、売り出す商品の単価を確認し、決済代行サービスを活用することも検討してみると良いでしょう。

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