ECから実店舗出店へ。成長を続けるEC市場においてリアルへ展開する理由とは?

ECのミカタ編集部

ShopifyやBASEなどECプラットフォーマーがリアル店舗を出店

ECプラットフォーマーである、ShopifyやBASEなどがリアル店舗の出店を進めています。BASEに関しては、「ベイス ラボ」と呼ばれる、従来のリアル店舗よりも進化したリアル店舗を展開しています。BASEが店舗を運営するのではなく、申し込みがあった加盟ショップが実際の運営を行うのです。

また、実店舗内にはハンガーラックや鏡、レジ・デジタルサイネージなども備品として備えています。そのため、店舗利用者は販売品を用意するだけで、実店舗の運営が可能です。BASE内でのショップ運営同様に、固定費や初期費用を支払うことなく実店舗運営ができるため、ECプラットフォーマーとしての柔軟さも持ち合わせています。今後はバーチャル試着を導入した、新システムの開発にも力を入れており、新しい実店舗のスタイルが構築されつつあります。

Shopifyでは「Shopify POS」と呼ばれるシステムを採用しており、EC内での販売商品管理だけではなく、実店舗の販売情報の管理が可能です。たとえば、実店舗で売れた商品の情報がPOSに自動で送信されるため、店舗に出向くことなく在庫状況の確認ができます。さらにECで販売している在庫を実店舗に回す対応もできるため、プラットフォーマーならではの施策を考案できます。

Shopify POSは、スマホにアプリをインストールするだけで利用可能となっており、ストアに商品登録や税金の設定まで可能です。そのため、Shopify POSだけでECと実店舗の売上と在庫を同時に管理できます。スマホで簡単に利用を始められるため、ECプラットフォーマー独自の進化を加えた実店舗が、今後も増える可能性が高いといえるでしょう。

EC市場は右肩上がり、しかしリアル店舗への根強いニーズがある現状

インターネットやスマートフォンの普及により、2010年頃からEC市場は急成長を見せています。実際に2019年のBtoC向けECの国内市場規模は、19.4兆円に拡大しているのです。上記で紹介しているやShopifyなどの、ECプラットフォーマーの参入により簡単にECを運営できることから、ネットショップ数も年々増えています。さらに新型コロナウイルスの影響もあり、外出自粛となったため、普段スーパーで購入していた商品もECで購入することが多くなりました。

しかし、まだまだリアル店舗への根強いニーズは残っています。EC市場の拡大により、消費者はいつでも商品の購入ができるようになりましたが、現状全体の約10%以上は実店舗で購入されています。

また、実店舗には消費者が商品の購買を決定付ける要因が多く存在していることが、リアル店舗で購入する理由になっているといえるでしょう。実店舗ならではの、「商品をその場で触れて確かめられる」や「店員とコミュニケーションが取れる」など、購買におけるメリットが存在しているためといえます。

今後もEC市場は拡大が見込まれますが、ECプラットフォーマーが実店舗を出店している動きを見ても、リアル店舗はなくならない可能性が高いです。しかし、AR技術の進化により新しい購買体験が生まれているため、今後実店舗とECのバランスがどう変化するかはわかりません。

ECサイトと実店舗を連携させオムニチャネル化を目指す

ECサイトと実店舗を運営している場合、連携させオムニチャネル化を目指す必要があります。オムニチャネル化とは実店舗とECサイトを連携させ、顧客や商品データを一元管理することで、従来以上のシームレスな購買体験を提供する戦略です。

たとえば、ECサイトで注文した商品を、実店舗で受け取ることもオムニチャネル施策の一つです。さらに実店舗で販売していない商品をECで購入する場合や、ECサイトで購入した商品を実店舗で返品対応をおこなうなど、本来であれば時間がかかる対応もスムーズに解決します。事業全体をオムニチャネル化することで、顧客を囲い込み、継続的な集客が見込めます。また、オムニチャネル施策内で獲得したデータを活用することで、より顧客が求める販促戦略を構築できるでしょう。

コロナ禍でも実店舗・リアル店舗は必要か?変化するニーズ

新型コロナウイルスが全世界的に流行したことで、実店舗やECサイトに対するニーズが変化しています。コロナ流行以前から、日々の消費行動は実店舗からECサイトに移行しつつありましたが、コロナ渦で実店舗の役割は大きく変わったと言えるでしょう。

しかし、実店舗が不必要になったわけではなく、実店舗ならではの必要性が注目されています。たとえば、ECサイトを閲覧しているだけでは出会えない商品を見つけたり、実店舗ではスタッフとの交流をしたりすることも可能です。コロナの影響により実店舗も在り方を変える必要がありますが、前述した特徴を押し出すことで、実店舗にはまだまだニーズが存在します。

さらにキャッシュレス決済の推進により、実店舗でも現金のやり取りが少なくなっています。そのため、実店舗でも決済手段を幅広く用意したり、感染症対策をしたりしながら商品購入できる環境が必要です。また、従来よりも店舗の来客数が減少しているため、実店舗自体の小型化が進められています。小型の店舗でもECサイトと連携することで、十分に収益を挙げられるスペースとなるでしょう。感染症対策を強化するうえでも、店舗の個室化も進んでおり、他人との空間を分けて密の回避が求められています。

まとめ

インターネットやスマートフォンの普及だけではなく、新型コロナウイルスの流行によって実店舗の在り方は大きく変化しています。年々EC市場は増加しており、今後も拡大が予想されますが、実店舗自体は根強いニーズが存在します。その理由として、消費者が商品の購入を決定付ける要因の多くが、実店舗に依存しているからです。画像だけでは判断できないサイズ感や質感、ファション系であればフィット感など、消費者が商品の購入を決定する要因はさまざまなです。

また、実店舗にはECサイトを閲覧しているだけでは出会えない、商品を見つけ出すきっかけが存在しています。
そのため、現在実店舗は、消費者のニーズに合わせて変化していると言えるでしょう。

さらに、ShopifyやBASEなどECプラットフォーマーが、実店舗の出店を始めています。BASEでは、加盟ショップに実店舗を貸し出す形をとっており、Shopifyは独自のシステムを構築しています。Shopifyに関しては、スマホからアプリをインストールするだけで、簡単に事業をオムニチャネル化可能です。コストをかけることなく、事業の幅を広げられるため、ECプラットフォーマーの動きが注目されています。

また、ARと呼ばれる新たな技術を取り入れていくことで、まったく新しい実店舗が構築されていくと予想できます。
今後は消費者のニーズを追求した実店舗だけではなく、ECプラットフォーマー独自の進化を加えた実店舗が、日本国内でも増えてくる可能性が高いです。


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