WordPressでのECサイトの作り方を解説!テーマやプラグインで対応できる?
世界的なオープンソースのWordPressは、無料ですぐにWebサイトを制作できることで人気です。中小企業のホームページやブログ運営で使われる事が多いサービスですが、実はECサイトの構築もできます。
この記事では、WordPressでECサイトを作ることについて解説していきます。
WordPressでのECサイトの作り方・構築方法
WordPressは、Webサイトを制作できるサービスです。しかし、デフォルトの機能のみではECサイトには対応できません。決済や配送、在庫管理など、通常のWebサイトとは異なる機能が必要となるため、それをなんらかの方法で実装しなくてはなりません。
具体的には、次の3種類が考えられます。
- WordPressにECカートのプラグインを入れる
- ECサイトを構築できるテーマを使う
- WordPressと連携可能なECシステムを使う
- WordPressと決済サービスを連携させる
以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。
WordPressにECカートのプラグインを入れる
WordPressでは、プラグインをインストールして機能を追加できます。ECサイトを構築するためのプラグインにはさまざまなものがありますが、とくに人気があるのは「WooCommerce」と「Welcart」です。
WooCommerce
世界中のECサイトのうち、約4割がWooCommerceを利用して構築されています。しかし、もともとアメリカ発のサービスであるため、日本語化するプラグインを別途導入する必要があります。英語が苦手な方にとっては使いにくさを感じる面もあるでしょう。
WooCommerceは世界的なシェアを獲得しているため、連携できるプラグインの開発も進んでいます。常に新たなプラグインがリリースされており、機能をどんどん追加したい方にはおすすめです。
Welcart
Welcartは、国内初のECプラグインです。海外製のプラグインは、サポートが不十分だったり、日本語に未対応だったりするケースも多いため、初心者にはWelcartがおすすめです。
Welcartは、商品や会員の管理、クレジットカード決済の対応など、ECサイトにおける基本の機能は無料で利用できます。また、オプション機能を導入すれば、デジタルコンテンツの販売、複数配送、定期購入なども対応可能です。
ECサイトを構築できるテーマを使う
WordPressは「テーマ」と呼ばれる自作、もしくは公開テンプレートを使ってサイトを構築します。
テーマには無料も有料も多種多様で、ECサイトの構築のために作られたテーマも存在します。公式ドキュメントを読みながら設定するだけでECサイトを構築できるテーマもあるので、いくつか試しながら構築してみるとよいでしょう。
ただし、多くの記事やSNSでWordPressでの構築におすすめのテーマが紹介されていますが、大半が前述の「WooCommerce」「Welcart」のようなプラグインとの連携を前提に作られています。
この場合、テーマをインストールすればそれでECサイトが作れるわけではないので要注意です。
WordPressと連携可能なECシステムを使う
ECサイトを構築する際、カートASPと呼ばれるECシステムを利用する方法もあります。WordPressと連携可能なECシステムを選択すれば、基本的なシステムはカートASPで構築しつつ、WordPressでサイトを運営できます。
カラーミーショップ
カラーミーショップは、GMOグループが運営するカートASPです。もっともメジャーなレギュラープランは月額3,300円で利用できます。基本的な機能はデフォルトで備えているほか、カラーミーショップ内でアプリをインストールすれば機能の追加も可能です。また、サポート体制が手厚いため、初心者の方でも悩むことなくECサイトをデザインできるでしょう。
ショップサーブ
ショップサーブは、株式会社Eストアーが運営するカートASPです。もっともリーズナブルなパブリックプランでも開通料15,000円と月額11,400円がかかります。しかし、その分サポート体制が充実しており、社内にノウハウのない事業者でも売れるECサイトを作りやすい仕組みが整っています。また、決済手段の豊富さもショップサーブの魅力です。新たな決済手段の導入にはコストがかかりますが、カゴ落ちのリスクも低減するためにも力を入れておくべき部分です。
WordPressと決済サービスを連携させる
ECサイトで重要な決済サービスに関しては、プラグインなしで連携できる場合があります。
Stripe
オンライン決済サービスのStripeは、ECサイトで使える決済処理のAPIも提供しています。Stripeのアカウントを用意して事前準備を済ませ、WordPressに直接連携させることでクレジットカード決済やコンビニ決済を行えるようにできます。継続課金(サブスク)の機能もあるので、汎用的に利用ができます。
WordPressなら無料でECサイトを構築できる?
無料のテーマで、無料のプラグインを組み合わせて構築すれば、無料でECサイトを構築できます。ドメインの取得やサーバー代を考慮しても、BASEなどの無料のASPカートより安くECサイトを作れる場合があります。
ただし、決済手数料などは別途かかるので、運用コストまで無料にはならないと考えておきましょう。
WordPressでECサイトを作るメリット・デメリット
WordPressでECサイトを作るメリット
- 費用をおさえて始められる
- ブログによる集客効果が見込める
- 使いやすい管理画面で簡単
- カスタマイズ性の高さ
WordPressは、オープンソースのサービスであるため、導入費用や月額費用がかかりません。ドメインの取得費用やサーバーの契約費用など、最低限のコストのみでWebサイトを開設できます。機能を追加するためのプラグインも無料のものが多く、基本的な機能のみであれば費用はかからないでしょう。本格的なECサイトを構築する場合、一般的に数十万~数百万円の費用がかかることを考えると、コストを大きく削減できます。
また、WordPressはオウンドメディアやブログサイトの構築を得意としています。ECサイトと同一ドメインでブログを運営することが容易なので、効果的なSEO対策を実施できます。
そして、WordPressはHTMLやCSSを編集せずにWebサイトを構築できます。直感的な操作のみでテキスト、画像、検索窓など、Webページ上の要素の追加や編集ができるため、専門的な知識なしで運用したい方には非常に便利でしょう。また、コーポレートサイトやブログサイトとECサイトを一元管理する場合は、ワンストップで商品の管理からサイト編集までを完結させられる点も大きなメリットです。
さらに、カスタマイズ性の高さも魅力です。プラグインをインストールすれば簡単に機能を拡張できる上、世界中のパートナーがつねにプラグインの開発やアップデートをしています。また、コーディングできるエンジニアがいれば、HTMLやCSS、Javascriptを直接編集してのデザインも可能です。自由にカスタマイズできる点は、オープンソースならではのメリットです。
WordPressでECサイトを作るデメリット
WordPressを利用したECサイトの構築には、メリットだけではなくデメリットもあります。とくにセキュリティ面や決済方法に関するデメリットは、導入前によく確認しておくべきです。以下では、WordPressでECサイトを作るデメリットについて解説します。
- セキュリティ面のリスクが高い
- 決済方法の種類が少ない
- EC向けの機能カスタマイズが難しい
WordPressをはじめ、オープンソースのサービスはソースコードを公開しているため、内部のシステム構成がわかってしまいます。無償で公開しているからこそ、プラグイン開発やコードの改変が自由にできるわけですが、セキュリティ面のリスクがあるのも事実です。とくにECサイトの場合は、会員情報や決済情報などの個人情報を扱うケースが多いため、セキュリティ対策を講じる必要があるでしょう。
近年は、AmazonPayやPayPayをはじめ、オンラインショッピングにおいても決済方法の多様化が進んでいます。多様な決済方法への対応は、ECサイトの集客においても重要な役割を担っているといえるでしょう。しかし、WordPressで構築したECサイトの場合は、使える決済方法に制限があるケースも多くみられます。
まら、ECサイト向けのテーマを選択しなかった場合、機能をカスタマイズしにくい面もあります。ECサイト向けのプラグインがあるとはいえ、インストール後のカスタマイズや設定が必要です。WordPressの場合、サポートセンターや相談窓口などもないため、みずから調べて解決できるITリテラシーがないとECサイトの構築は難しいかもしれません。
WordPressで作るECサイトに必要な機能
ECサイトの場合、一般的なWebサイトとは必要な機能が大きく異なります。ECサイトにおいて求められる機能の例は、商品を購入するカート、オンライン決済、商品や在庫の管理などです。
ここでは、WordPressでECサイトを構築する上で必要な機能について解説します。
ショッピングカート
ショッピングカートは、ユーザーが購入予定の商品を記憶しておくシステムです。商品の記憶だけでなく、消費税や送料などの自動計算、クーポンや会員限定割引などのディスカウント適用などの機能もあります。
決済機能
オンラインで決済するためのシステムです。各種クレジットカードのほか、AmazonPayやPayPayなど、多様な決済方法があります。決済方法を追加するには、プラグインの導入や決済事業者との契約が必要です。
商品・在庫・受注管理機能
ECサイトにおいて商品や在庫の管理は、実店舗以上に重要です。実店舗の場合、店舗にストックがあるため、スタッフは在庫の数をいつでも確認でき、在庫のない商品の注文が入ることはありません。
しかし、ECサイトでは在庫をシステム上で管理しつつ、販売状況をリアルタイムで反映する必要があります。とくに実店舗とECサイトで同じ商品を販売するのであれば、連携方法もあわせて確認しておかないとトラブルにつながりかねません。
顧客情報の管理機能
顧客情報の管理システムでは、氏名や購買履歴、配送先などの情報を管理します。会員登録時に、性別や年齢の入力フォームを設ければ、セグメントごとの購買状況を分析するためのデータベースにもなります。ログイン時に閲覧履歴や購入履歴をもとにレコメンドを表示したり、DMやメルマガでカゴ落ち後の追客をしたりと、顧客情報の活用法は多種多様です。
お問い合わせフォーム機能
ECサイト内に問い合わせフォームを設ける機能です。サイト内に送信用フォームを表示したり、宛先の入力された状態でメーラーを起動したりと、さまざまなタイプがあります。とくにECサイトの場合、顧客からの問い合わせを受ける窓口がないと不親切な印象を与えてしまいます。販売開始前にかならず導入しておくべきでしょう。
WordPressを活用したECサイト事例
WordPressを用いたECサイト構築を検討するのであれば、実際にWordPressで制作されたECサイトの事例をみてみるとよいでしょう。実際のWebサイトをユーザー目線で操作してみることで、イメージもわきやすくなります。以下では、WordPressを活用したECサイトの事例について紹介します。
なお、この章は2022年1月時点の情報を含みます。
サンクワシカカンパニー
鹿肉料理を専門に扱うサンクワシカカンパニーは、販路拡大を目的にECサイトを開設しました。システムはWooCommerceを利用しており、WordPressで構築したコーポレートサイトと同一ドメイン内にECサイトをオープンしています。導入している決済方法は、主要5ブランドのクレジットカードおよび銀行振込、代金引換です。多様な決済方法への対応は、世界的に利用されている決済サービスのStripeによって実現しています。
.comm
ジビエを中心としたソーセージの販売を手がける.commは、インパクトを重要視したECサイトが特徴的です。ファーストビューは大きなメイン画像を背景に「ソーセージで世界を熱狂させる」とのコンセプトが記されています。また、商品のバリエーションをプルダウンで展開するサイト設計もユニークです。一方、直感的な操作性も意識しており、ラジオボタンで購入できるようなUIを組んでいます。
PHENOM
岐阜県のセレクトショップPHENOMは、WordPressとWooCommerceを用いて、コーポレートサイトと一体型のECサイトを構築しています。おおがかりなカスタマイズはしていないものの、画像ギャラリーを縦並びにすることにより視認性を高めています。ECサイトのデザインでは、シンプルな中にもユーザビリティを意識する姿勢が大切です。
NovaSELECT
ドライフルーツやワインを販売するNovaSELECTは、ニーズに合った商品を探しやすいようレイアウトが工夫されています。幅広い商品を取り扱っているからこそ、ユーザーに寄り添った設計となっています。また、ファーストビューにイチオシ商品、メガメニュー、問い合わせなど、あらゆるコンテンツが配置されている点も特徴的です。
リビスコ
ジェラート専門店のリビスコは、実店舗で販売していたジェラートをオンラインでも販売すべく、ECサイトを開設しました。スライダーやバナーを配置して視覚的に楽しい印象を与えています。リビスコのように、デザインによって店舗のコンセプトを示すのもよい方法です。実店舗のアクセス、マップを起動するQRコードなども掲載しており、ECサイトへの流入を実店舗の集客にも活かしています。
ECサイトの構築方法は制作会社への相談がおすすめ
WordPressでのECサイト構築は、コストを抑えられ、カスタマイズ性を活かして集客できる点が強みです。カスタマイズ性の高さは、無料のASPカートにはない魅力ですね。
しかし、もし本格的にECサイトを運営していく予定があるのなら、WordPressでの初期運営が将来のリスクになることもあります。そのため、制作の時点で専門的な知見を持つ制作会社などに委託することも検討することをおすすめします。
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