【完全解剖】楽天スーパーロジスティクスについて解説。メリットからAmazonとの比較まで。

ECのミカタ編集部

【完全解剖】楽天スーパーロジスティクスについて解説。メリットからAmazonとの比較まで。

ECサイトを運営する上で物流管理は大きな負担です。
物流を全部アウトソーシングできれば...と思う方もいるのではないでしょうか?
今回はそのような悩みを解決する、楽天が提供する「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」について特徴やメリット、Amazonのフルフィルメントサービスとの違いを解説します。
楽天市場出店者に限らず、今後楽天市場に出店を考えている人は要チェックです。


楽天スーパーロジスティクスとは

楽天スーパーロジスティクスは、楽天市場出店店舗向けの物流アウトソーシングができるフルフィルメントサービスです。
楽天が店舗に代わり、商品の入荷作業、保管、配送までの物流業務を一括して行うため、店舗は商品企画や販売促進といったコア業務に集中できるようになります。
店舗はセール時も出荷増減の波動対応などに追われることなく、売上を最大化することが可能で購入率の向上にも繋げることが出来ます。
下記は楽天と店舗の役割を図に表したものです。

引用:楽天スーパーロジスティクス(https://logistics.rakuten.co.jp/rsl/flow/

楽天スーパーロジスティクスについて、メリット・デメリットと仕組みや料金体系などを解説していきます。


楽天スーパーロジスティクスのメリット


楽天スーパーロジスティクスのメリットは以下の6点です。
・店舗の物流業務軽減
・あす楽による365日翌日配達
・オプション要件の細かい対応
・店舗への専任担当者制度
・RSLカルテ(分析レポート)によるデータ管理

順に解説していきます。

店舗の物流業務軽減
1つ目のメリットとして挙げられるのは、「店舗の物流業務軽減」です。
楽天が入荷〜配送まで一気通貫して行うので、店舗の物流業務の負担を減らし販売促進や商品企画といったコア業務に集中が出来ます。
また楽天市場と連動をしているので市場の情報をリアルタイムで把握ができ、セール時の急激な出荷増減の波動対応等の心配をすることなく出荷対応をすることも可能です。

あす楽による365日翌日配達
2つ目のメリットは、365日当日15時までの依頼で翌日配送が可能である「あす楽」が利用できる点です。
※利用拠点によって、あす楽対応エリアは異なります。
このような他社サービスにない配送スピードであるので、競合に差別化出来る点がメリットとなっています。

引用:楽天スーパーロジスティクス(https://logistics.rakuten.co.jp/rsl/flow/

オプション要件の細かい対応
3つ目のメリットとして、「オプション要件への細かい対応」があります。
楽天スーパーロジスティクスは商品のギフトラッピングやチラシ・販促物の封入などの対応も可能です。
また、海外から入荷する際のコンテナ入荷も可能で、大量入荷に対する受け入れ体制も整っています。
不着返品も楽天の倉庫で荷受け可能で荷受け時に検品し、良品の商品に関しては在庫計上されます。
対顧客面だけでなく、物流面でのオプションに対しての細かい対応もメリットの1つです。

店舗への専任担当者制度
4つ目のメリットは、「店舗への専任担当者制度」です。
楽天スーパーロジスティクスは、2022年6月現在、5000店以上のショップ立ち上げ経験があり、EC特有のポイントを熟知した担当が専任としてつくので、プロの目線から物流改善や売上向上のサポートを行ってくれます。

RSLカルテ(分析レポート)によるデータ管理
6つ目のメリットとして、効果的かつ効率的にRSLを活用できるよう、「RSLカルテ」という分析レポートを利用できることが挙げられます。

RSLカルテは、①物流コスト推移、②基本情報(入荷数・出荷数・保管数)、③長期保管傾向、④売れ筋商品の欠品日数の主に4つの機能で構成されており、物流課題の特定、対策につなげることができます。

楽天スーパーロジスティクスの注意点


楽天スーパーロジスティクスを利用する前に知っておきたい注意点は以下の4点です。
利用前に必ず自社の運用に適しているか確認しましょう。

取り扱いができない商品がある

ドラッグストアや大型の家具を扱うショップは、自社の製品が楽天スーパーロジスティクスの対象か確認しましょう。

受注管理システムの導入が必要
楽天スーパーロジスティクスでは倉庫との連携のために受注管理システムの導入が必要で、BOSS、ネクストエンジン、クロスモール等が使用できます。
アマゾンのFBAマルチチャネルは使えないので、注意しましょう。
上記の中でも楽天市場×楽天スーパーロジスティクスに絞るのであれば、BOSSが費用が0円なのでおすすめです。
アマゾンやYahoo、自社サイトなどと連携する場合は、他の受注ソフトを検討しましょう。

管理上の注意点
管理上の注意点がある事も覚えておきましょう。
楽天スーパーロジスティクスの倉庫では空調設備がないので、最大35℃から最低0℃の環境での保管となるため、極端に熱や冷えに弱い商品は楽天スーパーロジスティクスには向かないので注意しましょう。
また、配送可能なサイズが3辺の合計が160cmおよび25kgまでとなっているので、自社商品のサイズや重量の確認をしっかり行いましょう。


楽天スーパーロジスティクスの流れ


メリットや注意点に関して説明したところで、楽天スーパーロジスティクスの申し込みの流れと実際の運用の流れについて解説していきます。

申込の流れ

引用:楽天スーパーロジスティクス(https://logistics.rakuten.co.jp/rsl/flow/

楽天スーパーロジスティクス利用開始には、まずお問合せをする必要があります。
(楽天市場出店者でない場合は、楽天市場への出店も必要です。)

楽天市場の「店舗運営Navi」で詳細を確認し、担当のECCに問い合わせましょう。
https://logistics.rakuten.co.jp/

問い合わせ後はヒアリングと見積もりのやり取りをし、契約に移ります。
申し込みから稼働まで1.5ヶ月ほどかかります。

実際の運用の流れ

引用:楽天スーパーロジスティクス(https://logistics.rakuten.co.jp/rsl/overview/

楽天スーパーロジスティクスではBOSS等の受注管理システムを使って、倉庫とのやりとりを行います。
入荷連絡や出荷指示も受注管理システムを通して行います。


楽天スーパーロジスティクスの料金


楽天スーパーロジスティクスは出荷作業費、配送費、保管料金が主にかかる費用です。
値段は変動する可能性があるので、実際にどれくらいかかるのか知りたい場合は楽天へ直接問い合わせをしましょう。


出荷作業費と配送費
楽天スーパーロジスティクスの出荷作業費と配送費は全国一律100サイズまで380円になります。

後ほどアマゾンの出荷作業費と配送費と比べますが、比較的安めの設定となっています。

保管料金
保管手数料はサイズと保管日数から算出されます。

▼算出の計算式
7.5(円/月/PCS)×商品体積(cm3)÷ 1000 × 保管日数(日/月)÷ 当月の日数(日/月)

ポスト投函サイズは1個あたりの費用は高くはありませんが、宅配便サイズになると高めの保管料が発生するので数量と大きさを確認しておきましょう。
また納期通りの納品ができない場合や納品数にズレがある場合などは、罰則も発生するので楽天スーパーロジスティクスの納品には注意が必要です。


楽天スーパーロジスティクスの評判


楽天スーパーロジスティクスの概要について説明しましたが、実際の利用者の声をもとに、良かった点と悪かった点をそれぞれ紹介していきます。

良かった点


・365日全自動で発送可能
・あす楽が便利
・オプションなどの融通が効く
・他販路注文の発送料金も一律で良心的

評判まとめ

実際の使用者のレビューでは、楽天スーパーロジスティクスはECサイト運営者にとってメリットが高い仕組みになっているので全体的に満足度が高い印象です。倉庫とのやりとりが分かりにくい部分があったり、キャンセル料や保管料が高いなどの声もあったりするので注意しましょう。保管料は在庫化しなくても販売できる点を活かし、顧客に事前に配送までに時間がかかる点を表示することにより抑えることができます。

また、キャンセル料も購入後のキャンセル不可対応をすることによって防ぐことが出来ます。工夫によっては悪かったレビューの改善の余地がありそうです。

楽天とAmazonのフルフィルメントサービスの違い

楽天と並んで、アマゾンもフルフィルメントサービスを行っています。
楽天スーパーロジスティクス(RSL)とフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)の違いについて、料金体系/納品/仕様の3つの観点から解説していきます。

料金体系の違い


楽天とアマゾンの料金体系を比較していきます。

アマゾンには200サイズ以上の超大型商品も取り扱っていますが、楽天では160サイズの取り扱いまでしかありません。

楽天は他販路注文でも料金が変わらないのに対し、アマゾンは他販路注文だと割高の料金が課されます。また注意したいのが、アマゾンは「複数注文同梱不可」であり、楽天は「複数注文同梱可」であることです。

納品に関しての違い


上記の表が納品に関して主に楽天とアマゾンで異なっている要素を表したものです。アマゾンはアマゾンセラー登録をすれば利用可能ですが、楽天では納品の際に指定の受注ソフトを使用する必要があります。商品ラベルは、セット品の場合は楽天でも必要なので注意しましょう。要期限ラベルは楽天では不要です。

楽天で要期限管理を依頼する場合は、別途オプションで追加する必要があります。また、大型商品や危険物は楽天では取り扱いができないので、こちらにも留意しましょう。

仕様についての違い


楽天とアマゾンは仕様が違う点があるので、代表的な違いをまとめて解説していきます。
楽天が優れている点、アマゾンが優れている点がそれぞれあるので確認しましょう。

配送スピード
楽天とアマゾンでは配送スピードが異なります。
アマゾンは出荷までのリードタイムに明確な基準がないのに対し、楽天で「あす楽」を設定していると、15時までの依頼で翌日配送が可能です。
購入者が緊急を要する商品を扱う場合は、「あす楽」が便利です。

在庫有無での販売可否
アマゾンでは倉庫に納品されていないとアマゾンでの販売が出来ないのですが、楽天では倉庫に納品されていなくても楽天市場で販売することが可能です。
楽天の場合は在庫を抱えるリスクを減らすことができるので、店舗側のメリットとなります。

顧客対応
アマゾンは納品が済んだ後はアマゾンが発送から顧客対応(返品やクレーム対応)を全て行います。
一方楽天は顧客対応を出品者が行わなければなりません。
アマゾンと楽天ではビジネスモデルに差があり、小売販売型モデルのアマゾンは顧客対応をアマゾンで行うのが特徴ですが、一方の楽天はモール型モデルなので店舗が主体となり顧客対応する点が特徴です。
両者のECサイトのモデルがフルフィルメントサービスの特徴にも表れていると言えます。

倉庫返送
楽天はアマゾンと違い出品者返送規定がないので、エンドユーザーへの発送料金がそのまま返送の際にも適用されます。
小さい商品であればアマゾンより安く済む場合もありますが、大きい商品の場合は高額になる可能性があるので要注意です。

それぞれのサービスでの互換性
楽天は在庫をアマゾンに移したい時に直接移送が可能ですが、アマゾンの場合は移送できません。
楽天の方が互換性には優れており、店舗側に優しいと言えるでしょう。

以上が楽天とアマゾンの比較結果でした。
楽天はデメリットもあるものの、アマゾンに比べてコストパーフォマンスが良いと言えます。

まとめ

楽天スーパーロジスティクスについて、特徴からFBAとの比較まで解説しました。
ECサイトにおける物流業務は面倒な作業や管理が発生します。
楽天出品者は楽天スーパーロジスティクスに委託することにより、自社の経営やマーケティングに集中できる環境を作ることができます。
「自社での業務負担を減らしたい」「物流業務をアウトソーシングし効率化を図りたい」などのECサイトの運営課題がある場合は導入を検討しましょう。



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