ECでは過去に購入したことのないブランドを購入する割合が高まる~増すアッパーファネルマーケティングの重要性

ECのミカタ編集部

視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長:宮本淳)は、「ニールセン オンラインショッピングレポート2021(Nielsen Online Shopping Report 2021)」のデータをもとに、2021年の日本におけるEC利用動向を発表した。

なお、本調査は2021年12月に、パソコン、スマートフォン、タブレットのいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の18歳以上の男女、約6,000人を対象に行われたものだ。

ECでは過去に購入したことのないブランドを購入する割合が高い

ECでは過去に購入したことのないブランドを購入する割合が高い

Nielsen Commspointによると、米国の消費財(CPG)市場では、実店舗で「過去に購入したことのないブランド」を購入する割合はわずか4.3%だったのに対して、オンラインでは、12.1%と約3倍になっている。

日本市場も同様に、オンラインでは過去購入したことのないブランドを購入する傾向がみられた。化粧品を実店舗で購入した人では13%が過去に購入したことのないブランドを選択したのに対し、オンライン購入では過去購入したことのないブランドを購入した人は22%にのぼっている。

日用品の場合でも、実店舗の7%と比べてオンライン購入では19%と、倍以上になっていた。特に若年層の化粧品の購入においては、オンラインで新しいブランドを購入する可能性は高く、実店舗購入と比べると新しいブランドを購入した人は約2倍に達している。

実店舗と違って、無限に棚があるオンラインショップで新しいブランドと接するようになると、それまで定期的に購入していたブランドを買わなくなる可能性も出てくる。このことから、従来は実店舗で行われていたようなブランド体験をオンライン上のマーケティング活動で補う必要性が高まっていると言える。

継続的に自社ブランドを購入し続けてもらうためにも、マーケターは、商品購入のニーズが現れた際に真っ先に想起されるよう、事前にアッパーファネルマーケティングを通して認知を高めておくことが重要になる。

実店舗での購入においてもオンラインの重要性が高まる

実店舗での購入においてもオンラインの重要性が高まる

オンライン化が進む中、実店舗での購入においてもオンラインは重要な情報源となっている。例えば化粧品では、実店舗で商品を購入した場合、その商品を実店舗で認知したという人が36%を占める一方で、同程度の34%もの人がオンラインで商品を認知していた。

検討段階においても、実店舗で化粧品や日用品を購入した人の10%前後が、検索サービスやオンラインショップなどのオンラインサービスを活用している。ターゲットの属性や商品カテゴリーによって商品の購入検討をする際に必要とされる情報は異なるが、店舗で実際に手にとって商品の使用感を確認するかわりに、商品説明動画や口コミを参照するなど、オンラインで代替するケースも増えている。

実店舗での体験だけに頼ることができなくなった環境では、このようなブランド体験をオンラインで提供し、購入の意思が現れたときに真っ先に想起してもらえるよう、潜在的な顧客にアプローチすることが求められている。

ターゲットの属性によって活用すべきプラットフォームが異なる

ターゲットの属性によって活用すべきプラットフォームが異なる

商品やターゲットの属性によって活用されるオンラインプラットフォームも異なることから、マーケティング担当者は自社ターゲットの動向を理解し、使用するプラットフォームを見直すことも欠かせない。

例えば、18~34歳では30%が商品の購入を検討する際にTwitterやYouTubeを活用しているのに対し、35歳以上では検索エンジンやオンラインショップを活用する傾向がある。したがって、ターゲットが商品を検討する際に求める情報が異なるのに合わせて、ターゲットにアプローチできる適切なプラットフォームを見直す必要がある。

ターゲットのメディア利用状況を把握し、ソーシャルメディアプレゼンスを高めるべきか、それともSEOに力を入れるべきか、認知や検討などの指標を最大化するためにどのようなプラットフォームを活用すべきかといった判断をすることが大切だ。

高まるアッパーファネルマーケティングの重要性

買い物体験のオンライン化によって、商品が購入される場所がオンラインに移行しているというだけでなく、購入に至る過程においてもオンラインの情報やオンライン空間での体験が大きな影響を及ぼすようになってきている。本調査結果から、オンラインで商品を購入する際は、過去に購入したことのないブランドを選ぶ割合が高くなるなど、現代の消費者のさまざまな傾向が浮かび上がってきた。

ニールセンの知見によると、認知や検討などのアッパーファネルのブランド指標が 1 ポイント上昇すると、売上が平均 1%増加することがわかっているという。

マーケターは、目の前の売上につながるコンバージョン目的のマーケティングを重視しがちだが、昨今は、より多くの消費者にブランドを認知してもらい、長期的なブランド・エクイティを構築していくことを目的としたアッパーファネルマーケティングの重要性が増している。

ブランド認知や検討などのブランド指標の改善を重点においたマーケティング戦略は、長期的な成長へのカギとなる潜在的な顧客の獲得につながり、売上の確保においても重要な役割を果たすだろう。

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