ゾゾの前澤社長に聞く、新サービス「ウェア」の実力は? “館に手数料払う仕組みある”

──商品をスキャンした後、商業施設が運営する通販サイトに飛ばすことも可能か。

「可能だが、デベロッパーさんとはそこまで詳しい話ができていない。店頭に商品があってもネット用の在庫がないと飛ばす意味がないので、現時点で対応できる商業施設は少ないのでは」

──商業施設でスキャンした商品をECで購入した場合、デベロッパーに手数料を支払うのか。

「パルコさんとの取り組み云々ということではなく、あらゆるバリエーションを想定していて、デベロッパーさんに手数料を支払う仕組みは持っているし、ブランドの自社通販サイトに送客した場合には成功報酬型で手数料を頂く仕組みもある」

──"仕組み"を伝えていくことも大切だ。

「何が正しくて、どうなっていくのかが見えていないので、当社としても『こういう事業モデルです』と言い切れない。だからこそ、具体的な提案ができずにジレンマの状態にある」

──近距離無線通信の技術開発も進んでいるようだ。

「将来的には非接触でもスキャンできるようになる。NFCやICタグ、『アイビーコン』などの技術開発が進んでおり、しっかりとバーコードにピントが合っていなくても読み込めるようになっていく。そうしたすべての通信技術に『ウェア』は対応していくつもりだ。そういう時代になると、『店頭での撮影禁止』という規制はあっという間に古くなるし、止められなくなる可能性もある。もちろん、『ウェア』としてはNGの店舗では利用できない仕組み、対策を今後も極力考えていく」

──パルコが試験導入するが、どんな数字を計測し、評価するのか。

「具体的なKPI(重要業績評価指数)はないが、どれだけの消費者に良い体験をしてもらえるかが成果指標になる。店頭の売り上げが落ちず、ECも盛り上がれば単純に規模が拡大したことになるわけで、そういう結果が出ればいい」

──欲しい商品が最寄りの店舗にあるかを表示する機能などを用意することは。

「将来的には位置情報を使ったプッシュ通知のようなことは考えている。ただ、スタート時はサービスの内容が分かりやすいよう機能を絞った」

──「ウェア」として収益を出すスキームは。

「近々にはあまり考えていないが、将来的には収益事業化したい。ブランドの通販サイトへ送客した際の成功報酬などが一番分かりやすい。それ以外にも、ユーザーのクローゼットが一堂に集まるので、利用者同士が不用になった服を売買するなどCtoCのプラットフォームにもなり得る。いろいろなマネタイズの手法があり、広範囲に検討しているが、あまり慌ててはいない」