米ボーイング社の貨物市場予測 20年間で倍以上になると見込み
最大数が予測される年間輸送量 増加数に合わせ辿る拡大路線
ボーイングは、2014年国際航空貨物フォーラム展示会で、2014年から2015年の世界の航空貨物市場予測を発表した。これによると、今後20年間の国際航空貨物市場は年率4.7%で拡大していき、輸送量は2033年までに現在の倍以上になると予測した。
航空貨物量の増加に伴う貨物機の新造機引き渡し数も増加する見込みで、今後20年間のデリバリー数は新造機が840機、旅客機からの貨物機改修が1,330機との予測。デリバリー機の52%超が退役機の後継機で、それ以外は市場拡大に合わせた純増となる。
ボーイングでは、航空貨物市場は数年間は停滞期間があったとしているものの、その後は好調さが継続し、復調は確かであるとしている。国際航空貨物量は2013年第2四半期に上向きに転じ、2014年1月から7月は前年比4.4%増を記録している。この傾向が続けば2014年の年間輸送量は2010年以降で最大となる見通しである。
また、ほぼ一世紀にわたり軍用機を開発してきた同社だが、戦闘機のない未来も視野に入れるとし、今回の20年計画を通じて大幅な改革を目指す姿勢がうかがえる。
増え続ける海外出荷 EC市場の発展が大きく数字に影響か
これまでの停滞の要因として、世界経済の停滞や、航空貨物として輸送される貿易量の低迷等が挙げられていた。一方、アジアと北米間、ヨーロッパとアジア間の輸送量が航空貨物の大半を占め、発展途上国や新興国が市場成長を支え牽引していくとしている。特に、アジア域内、中国国内、アジア北米間の市場は今後20年間で非常に早いスピードで拡大していくと予測している。また、最新民間航空機市場予測に関する説明会では、今後20年間で旅行者数は年率2.7%のペースで増加する見込みであり、それに応じ運航機数も増加するとし、新造機需要は1,340機であるとも発表した。
この成長の背景には、近年急速な発展が世界中から注目を集めているアジア地域でのEC市場の影響が強く反映されていることは言うまでもないであろう。日本国内でも海外発送に対応するEC企業は増加の傾向にあり、今後ますます拡大していくだろうとされている。
新規受注の枯渇が進んでいるとはいえ、軍用機開発事業からの撤廃を視野に入れるなど大きな事業改革にも注目が集まる。EC市場の発展が戦闘機のない未来にもつながっていくということは、単純に嬉しいニュースでもある。
ボーイングの予測数値と20年計画がどのように経過していくのか、今後の展開が非常に興味深い。